【2011年日本帰省記(4)】ダブリンに戻る(…って略しすぎやろ)

その後、東京に戻ったわけですが、東京ではあまり書くことがない。というのも、東京では親類縁者以外今回は一切不義理をしてしまったので(申し訳ありません)。


そんな中、こっそり向かったのが、神保町にあるキッチン南海。30席くらいしかない、相席が当たり前で、どーみても常時戦場状態の店。とても落ち着いて食べられる状態じゃないので、落ち着いて食事をしたいと言う人にはとても薦められないけど…味は保証する。神保町に行くたびについと行ってしまう店なのだ。


ここ、いつ行っても店頭に数人が並んでいる。今回もいい加減お昼のピークは過ぎただろうという1時過ぎに行ったのに数人が並んでいる。並んでいると、ホールを切り盛りするおじさんが「ご注文はなんでしょう」と聞いてくる。慌ててしどろもどろで「あ、ろ、ロースカツ(定食)を」という私。座る前から注文を聞いて客の回転率を上げようという魂胆か。


店内は、厨房に3人、ホールに1名が常に忙しそうに料理を作ったり、皿の上げ下げなどをしている。どの人の動きにも寸分たりとも無駄がない。ホールのおじさんも、動きにまったく無駄がないもんだから、ややもすると仏頂面で愛想のない感じすら受ける。


厨房の3人のうちふたりは学生時代以来通い詰めてて、名前こそ存じ上げないものの見慣れた顔。そして、明らかに新人さんと思われる若い男性も。なんかかわいいのだ、カレーの盛り方などの指導を受けている。それにしても常時戦場の勢いのこの店に弟子入りするとは思えば根性のある(イバラの道を進む覚悟のある)人だろうなあ。


カウンター席でロースカツ定食を待っていると、並んでいた二人がテーブル席へ。さあ、50歳になろうかというご夫婦とおぼしき方。例のホール担当のおじさんが無愛想に水を置く。そこで、今まで黙っていた新人さんと思われる厨房の男性が


「あ、両親です」


と一言。


勝手に脳内で妄想を膨らませたのだけど、このご両親、どこか地方にお住まいで、息子の様子を初めて見に来られたのではないだろうか。そして、戦場のような仕事場に驚かれたのではないだろうか。


ここでねえ、ちょっといい風景を見ちゃったのよ。今まで仏頂面で愛想のかけらもないと思ってたホール担当のおじさんが、その新人さんに向かって


「ビール、お出しして」


って。そう、新人さんは冷蔵庫も担当。これも勝手な推理だけど、おそらくこのビール代は請求されていないと思う。なんかさあ、愛想のかけらもないおじさんだと勝手に思ってたけど、そんなことないのねとなんかちょっと感動した。ちょっといい話でしょ(と自画自賛)。


その他のどーてもいい小ネタ。


なぜか東京からタバコが消えていた。


一瞬、アイルランドの国花、シャムロックかと思ったらシャモロックというわけのわからん名前の酒場。


そんなこんなで、いよいよアイルランドに戻ることに(←って、相当はしょったなあ。俺)。初めて新しくなったスカイライナーに乗る。…ぶっちゃけ早い。下町の雑然としたエリアを抜け、高砂から北総公団線(ってもう言わないんですね)に入ると、列車はものすげー勢いで成田空港へ一直線。車窓からの初めての風景を見ていたらあっという間に成田に着いてしまった。2400円はあんまりに高いけど(ロンドンのヒースローエクスプレスといい勝負)その価値はあるなあと感じた。


んで、成田空港。今回宅急便で大きなスーツケースをQ州から直送していたので、まずはそれを受け取る。…お、重い。


定刻70分前といういい時間に搭乗手続きカウンターに向かったにも拘らず、搭乗手続きをしている乗客はいない。カウンターの全日空のお姉さん


係:「この(大きなサイズの)スーツケース、重すぎます」


へっと思って、カウンターのはかりを見ると、おーい、このスーツケース30キロ以上あるじゃあないか。


他は知らんがスカンジナビア航空の場合、エコノミークラスの乗客の荷物は23キロまで。ビジネスクラスになると、その制限が32キロまで引き上げられるが、32キロを超える荷物は、係の健康のため(よーするにぎっくり腰対策なんだろうなあ)受け付けてくれない。で、わしのスーツケースはその32キロよりもはるかに重い。


わかりましたー。ちょっと荷物整理してきますと、一度カウンターを離れる。件の計画停電だかのおかげで空港の隅のほう、けっこう薄暗かったりするのよねん。そこでこっそり荷物を入れ替える。


Q州から荷物を送ったときに、正確に量ったわけではないけれど、すでにスーツケースがかなり重かったので、けっこう隙間がある状態で送ったのだ。それでも重すぎたか…と思って開けてみると


なんじゃこりゃ?(ダブリンに帰宅後撮影)


そういえば、うちのおかんがなんか言ってた気がした(だけどB型の男だから人の話を聞いてない)。なんかスーツケースにものを足したとか何とか。そう、うちのやさしいやさしいおかん、スーツケースに隙間があってはもったいないと、お米その他を「つぎ足して」くださったわけ。それでスーツケースは信じられない重さになったと。いい親を持ってシアワセです(涙目)。


それ以外にもね、某紳士服の量販店がアキバの催事場を使ってスーツの投売りをしており、調子に乗った私はスーツをなんと3着もまとめて購入(スラックスは各二本…)。それ以外にもコムサだユニクロだで大量に服を購入。それ以外には近所のスーパーで醤油にソースにと思いつく限りのものを買い、本は30冊以上購入。極め付けには有楽町でがんばろう東北物産直売会をやってたのでひとめぼれを5キロ購入(つまり、お米だけで10キロ…それとは別にもち米もあった)。


そんなこんなで荷物は余裕で80キロを超えてしまったと…。思えば、本人よりも荷物のほうが重いってどんな状態なんだよ。


というわけで、重いスーツケースの荷物をスポーツバックなどに詰めなおしてカウンターに戻る。…まだ重いスーツケースは30キロ近くある。カウンターのお姉さんは渋い顔。


私:「もう一度詰めなおしてきます」
係:「あ、ここ(カウンター前)で詰めなおしていただいてけっこうです」


冗談じゃない。食品しか入ってないような冗談としか思えないスーツケースをこんなとこで開けられるかい。恥ずかしい。


かくして、もういちど暗い空港の片隅で荷物を入れ替えてカウンターに戻ると、大きなスーツケースの目方は25キロまで減った。これで大目に見てもらう。ちなみに公式には預け入れの荷物は69キロ。持ち込んだ荷物も目いっぱいあったので全部で85キロとかあったんじゃないかな。


こんな荷物を全部じゃないとはいえ空港まで抱えてきたりしたのでひざの調子は最悪、だめだこりゃというわけで、カウンターでマイルを使ってのビジネスクラスへのアップグレードをお願いする。「できれば隣が空いてそうな席を」とお願いしたものの、空いていないとのこと。荷物の詰め替えに手間取ったこともあり、そのまま搭乗口へ。すでに搭乗は終わろうとしていた。


搭乗後、空いていないはずの並びの二席の空席が私の斜め後ろに。乗務員さんの承諾を得てそっちに移動。離陸後気がついたのだが


ビジネスクラスの後ろのコンパートメントは完全に空席。そう、このヒコーキは搭乗率は4割程度のがらがらすかすか状態。


もう前にもしているのでビジネスクラスの搭乗記は省略。だけどこれだけは書いておきたい。コペンハーゲン到着前の食事


拝啓スカンジナビア航空様
マイルでアップグレードされた分際でこんなことを言うのは分不相応ですが、なんですか、この食事は。この味のないオムレツと、伸びきったゴムのような麺は。いくら機内とはいえ、この食事はひどすぎます。すこしは考えてください。


で、ダブリンに到着。空港からはおとなしくタクシーを使って帰りましたとさ。