【2022日本帰省-14】JR西日本のとんでも赤字垂れ流し区間をこの目で確かめてみる


前回の続きです。伯備線の特急「やくも」から各駅停車に乗り換えて上石見駅で岡山方向から来た昭和色のやくもとすれ違ったところ。

各駅停車はすれ違いのあと発車。私は備中神代(びっちゅうこうじろ)駅で降りる。ここから芸備線にのりかえ。ここが今回の旅のハイライトの一つ。今から通過する東城と備後落合の間の営業係数が23687(100円稼ぐのに23687円の費用がかかる)とかいうあり得ない数字をはじき出しているとんでも区間というのはどういうことなのか見に行こうと。

昼下がりの伯備線各駅停車に乗っている人はほとんどいない。懐かしい感じのする車内。

備中神代駅はさっきの生山駅が大都会に思えるほどの駅前。自販機一つない。

駅前の目抜き通り。
逆方向。あるいは昭和の頃は商店くらいあったのだろうか。

この駅で降りたのは私ともう一人。その人は明らかに地元民じゃない…有り体に言えばマニアさん。どうやら私と考えていることは同じらしい。

さすが駅前。バスが来ている。交通結節点としての役は果たしているのだなと思い時刻表確認。

平日のみながら毎日運行されているのでまだいいほうだと思う。ちなみに鉄道との連絡は全く考慮されていない模様。

市営バスは減便。しかも、新設のオンデマンドタクシーで自宅まで300円で送迎してくれるらしいから、民間のバスも早晩運行をやめてしまうのではないだろうか。

話を鉄道に戻すと、この駅、伯備線と芸備線の乗換駅。私が訪問したとき(2022年10月)はなにか工事していた。何やってたのかなと思ったら

写真はWikiより拝借。工事現場の仮設プレハブではありません。

新しい駅舎の工事だったらしい。ちなみにこの前はというと…

なるほど。建て直したのね。駅の様子がよく分かる動画でした。ちなみに上の動画は私のものじゃありません。私は上の動画の権利を一切有しておりません。念のため。

駅全景。奥が岡山方向。
上の写真の逆方向。左奥が備後落合。右奥が米子方向。

このへろへろと脇にそれていくのがこれから乗る芸備線。

無為に20分ほど過ごしてようやくのりかえのレールバスが到着。

一便ではなく一日の輸送密度が13人とかいう車内だからおそらく誰も乗っていないに違いない…と思いきや、なんとまあ少なくとも一日の輸送密度以上の人が乗っている。なんのことはない、平日だというのにほぼ全員が物好きな人たちっぽい。これだけの変人が乗っててなんで営業係数が23687になるんだ?

そんな人たちだから途中駅での乗り降りはまったくない。途中駅で列車を待っている人がぱらぱらといるのだが、皆一様に列車にカメラを向けるだけで一向に乗ってこない。JR西日本の立場からすればまったくお金にならない人たち。こんな言い方は良くないのかもしれないけど、もう地元民の足としてはこの列車は機能してない。だって一日に3本しか運行がないんじゃ使い勝手が悪すぎる。挙げ句に中国自動車道が並走あるいは鉄路より短絡しているという。

駅から見て一番目立つ建物が老人保健施設というのがもう…。

東城駅に到着。ここから例の100円稼ぐのに23687円かかる区間へ。

一日3本しかない列車はさらに悪いことに速度が恐ろしく遅くなる。保線作業を最小にするために最高速度を25キロに制限している区間があちこちにあるのだ。道路で例えたら舗装をしてない砂利道くらいの整備しかしてない感じなんだろうと思う。つまり、JR西日本はもうこの線路を整備して高速化などの利便性向上をする気などさらさらないということ。このままだと間違いなく廃線まっしぐらだろうなあ…というのが部外者の率直な感想。

そもそも高速バス会社が高速道路の整備の義務を負わないのになんで鉄道会社は保線の義務を負うのか謎。勝負の前提がおかしい気がする。そういう意味ではJR西日本ほか鉄道事業者が沿線自治体との話し合いを求めているのはある意味当然で、かつ、たいがいの沿線自治体は無い袖は振れぬという対応をするだろうから…うん、考えれば考えるほどお先真っ暗よね。

そんなことをつらつら考えていると備中神代駅から76分ほどかけて備後落合駅に到着。移動距離は44.6キロ。時速にして35キロ。

午後3時前に一日に一度だけ三方向の列車がきれいに接続する。

備後落合駅からは乗り換えればこのまま芸備線を広島方面へ進めます。と書けば一瞬だけど、途中の三次で乗り換えて3時間以上かかります。しかも2023年6月現在災害運休中。正直乗換駅でもあるはずなのにこの駅の将来も怪しい。そうあってほしくはないけど、そう遠くない将来に「ああ、あのときに無理してでも行っててよかったな」と思う日が来る気がする。

構内踏切。なんか好き。

広島方面に進みたくなければ、木次(きすき)線と乗り換えができ日本海方向に進むこともできます。午後2時半過ぎにこれら3方向から列車がいっぺんにやってきて戻っていく。つまり、一日にたった一度のことながら、乗り継ぎは考慮されている。そのせいなのかなんなのか

人がうじゃうじゃと。

奥が木次線が発着する1番線と駅舎。

正直びっくりした。この駅にはおそらくだれもいないだろうと思っていたらまったく違っていた。実際はその筋の変人さん(ドイツから来たお前が言うな案件)が写真撮影したりなんだりで忙しそう。

(Wikiよりコピペ)

備北地区の基幹駅の一つとして機関区宿泊所・保線分区・通信分区などが設置され、一時は200人超の職員が勤務し、準急/急行「ちどり」などの優等列車の機関車付け替え・分割併合・スイッチバックなどが行われていた。また、駅前には2軒の旅館・タクシー・食堂・理髪店などが進出し、「落合銀座」と呼ばれるほど盛況した。

(コピペここまで)

…ここが?!

駅待合室。人が多かったので展示をよく見なかった。後悔。

折返しとなる木次線のレールバスも定刻通りに到着。ありがたい。もしここで接続失敗したりしたら生山や備中神代同様中国山地の最奥地に取り残されるという笑えない事態になる。いや、運行頻度という意味ではここが一番乗り遅れたくない駅だな。そういえばここまでずっと旅してきたけど、JR各社は遅れも運休も何もない完全なる定時運行をしてくれている。さすがは日本。

色こそ違えどみんなおんなじレールバス(だよね)。

木次線もまたのんびり屋さんの運行。25キロでの徐行運転を繰り返しながらちょっとだけ山を登るといきなり木次線のハイライトへ。

木次線と並走する国道314号線にある奥出雲おろちループ橋。正確に言えば、左は三井野大橋で右の奥出雲おろちループ橋へそのまま続いている。なんていうの、高低差とかを現在土木の力で一切無視しちゃってる。

おかしいだろう。これ。かたやガソリン税だかなんだか知らんが血税で整備されどんどん便利になる道と、

そのとなりではJR西日本が投資しないから旧態依然としたガタガタの線路。しかもループ橋とほぼ同じ場所で三段スイッチバックをするおかげで相当な時間のかかる列車。こんなのでJRがまともな勝負に出られるはずがない。

そう。国道は現代的なループ橋、木次線はスイッチバックという昔ながらの方法で高低差を克服している。乗っていて楽しかったけどこんなのは少数派の変人の意見でおそらく世の中のほとんどの人はさっさと車でループ橋を通過したいと思うよね。かくして木次線の営業係数は7453。残念なことですが私が見る限りこちらも廃線まっしぐらコースです。

出雲横田駅にて対向列車とすれ違い。ここまでが例の営業係数7453の

もう一つ余計なことを言っていいなら、このループ橋とスイッチバック駅の詳しい展示がループ橋脇の道の駅にあるらしい。鉄道を使っての訪問は一度列車を降りて、ループ橋上を片道40分歩いて、一日3本しかない次の列車を待って…ということを考えると実質的に無理筋。やっぱり車じゃないと…という悲しい結論に至る。

山を下って途中の木次駅にて。停車時間があるので駅の写真を撮ってくる余裕があった。

木次線の旅ももういい加減飽きてきたという頃に南大東駅に停車。沖縄と間違えてここに来た人はいない…と思う。

そして日も暮れかけた頃、定刻では17時37分にようやく山陰本線との接続駅宍道駅(しんじえき)に到着。結局80キロほどの行程にかかった時間は3時間超。下りであることも考慮に入れたらおそらくママチャリでもどちらが速いかいい勝負ができる気がする。

うーん。上の案内に嘘は書いてないけどおそらくここから広島まで木次線で行く人はいないと思う。というのも、ちなみにこのあたりの中心都市、松江から広島に行こうとすると

まさに一日がかりの移動。

バスだと

運賃ほぼ同額(むしろバスのほうが安い)で所要時間半分…誰が好き好んで列車を使うかっての。これが悲しい現実。しかも上にも書いたけど芸備線は目下(2023年6月現在)災害運休中というオチまである。

本日の目的地は玉造温泉。玉造温泉まではわずか240円の距離ながら例の変態片道切符では折返しになってしまうので別にきっぷを購入しなければいけない区間。ここでちょっとした事件発生。

もともと5分しかない短い接続だったんだけど、木次線の逆方向の列車とのすれ違いの遅れで到着が5分ほど遅れた。幸い山陰線の列車も同じ理由で若干遅れており上の写真を撮った上でなんとか乗り換えることができた。…なんだけど有効な乗車券を持ってない。改札を出て買っている暇などなかった。

やむなく山陰線の各駅停車に乗ったのだが、下車時も運転士さんが乗車券を回収しようとしない(あるいはそんなことより列車の遅れの回復を狙っていたのかも)ので結局運賃240円を払わないまま。駅もすでに無人。これは目覚めがよろしくない。

なので、話は前後するんだけど、翌朝玉造温泉駅に戻ってきたときに窓口にいた駅員さんに事情を申告。すると「それは不正乗車じゃ。警察に突き出すぞゴルァ」なんて怒られることもなく、へいへいと240円を受け取ってくれた。こういう申し出は珍しくないのかも。

話を戻して玉造温泉へ。宿の送迎で宿に到着。

朝食のみプランでここを選んだ。一人でも気軽に泊まれそうだったし、宿代も信じられないくらい安かったのにしっかり天然温泉付き施設だったし。

部屋。宿というよりは友人宅に泊まった感じ。これはこれで悪くない。ちなみにここは二番目に安い部屋で、一番安い部屋はほぼカプセルホテル状態。翌朝別のテーブルでおじさんが「あの部屋にはさすがに連泊できねえ」と言っていたので推して知るべし。

この昭和感あふれる窓も素晴らしい。

「ないものはない。」と言い切ったぁ。

夕飯は近所のそば富というお店へ。ここ、蕎麦屋さんを標榜しておきながら実はなんでもあるという万能選手なお店。一人で涼しい顔して入ったのだがここがまたすごいシュールな状況で。お客さんは私を含んで4組4名…つまり全員お一人様。皆様当然「黙食」。静かな店内にテレビのバラエティ番組の音声のみが響き渡る変な食事でした。

こちらは宿の温泉。いいお湯でしたよ。

いよいよ明日は大分の実家まで戻ります。感動の(弊社基準による)ゴールは間近だぁ。