平日の午後。仕事をしていると家の電話が鳴る。嫁の姉の自宅の番号。
ほかは知らないけど私の周りの人は未だに固定電話を好む傾向がある。嫁の姉もかけてくるのは必ず固定電話。別に構わないけど嫁は仕事中ですよ。ここにはいませんよー…と思いつつ電話に出ると、あにはからんや相手は嫁の姉のダンナ…私の義理の兄弟になるの?私こういう親類関係の言葉や関連性にすごく弱いのです(アホなことを自白してますが)…まあ、とりあえず彼からの電話だったわけ。
「嫁さんは?」
「え?仕事中ですよぉ。ここにはいませんよぉ」
「コロナの大規模接種センターで予約できそうなんだけど、どうする?」
「予約しちゃってください(即答)」
話は数日前にさかのぼる。嫁の姉夫婦が大規模予約センターに予約をした際に、嫁のことも思ってくれたらしく一緒に予約をしてあげよう…というふうに思ったらしいのだが、嫁に連絡がつかずにまごまごしているうちに予約枠が埋まってしまった…ということがあった。そのことを前日もわたしにぐちぐちぐちぐち語っていたので私としてはもう迷うことなくその枠抑えといて…とお願いした次第。なんでも、やはりネットに疎い彼の父のために予約をしようとしていたついでだったらしい。ついでだろうとなんだろうと嫁のことを思ってくれるのはありがたい。
そもそも現在のドイツの私達の住む地域、センターでの接種対象は老人のみ。それ以下の人は未だに待機のはずなのだが、持病がある人、または職業上の理由がある人などは下駄を履かせてもらう形で接種できるらしい。あまり詳しくは書かないけど、嫁も嫁姉夫婦も諸々の事情によりこの下駄を履かせてもらう対象になるらしいのだ。ちなみに、自宅に引きこもりでかつ取り立てて持病のない私には履かせてもらう下駄がない。
結果としてこうして勝手に決めた予約に喜んでまして判断は間違ってませんでした。仕事中の嫁にスマホでの連絡はつかないし、職場あてにかけるのも面倒だし、そんなことをしているうちに予約枠が埋まったらまた嫁の愚痴を延々聞く羽目になっていたので判断は完全に正しかったと思います。
ところが、予約したあとに気がついた。どうもその大規模接種センターが遠いのだ。その場所はAlfeld(アルフェルド)という街。たぶんカタカナで検索をかけてもほとんど情報は出てこないと思われる。世界遺産の工場はあるけどたぶん「世界遺産オタク」(そんなのがいるかどうかは知らんが)の日本人でも知らないのではないかと思われる。
人口2万人程度の街なのだが、なんというか、街に元気がない。日本にもあるようないかにも過疎が進んだ街で、関係者には失礼ながら、観光客も買い物客も寄りつくとは思えない。しかもうちからどんなに急いでも30分はかかる。遠い。うちから30キロ圏を軽く超えてるから私が運転するはめになるんだろうなあ。実際そうなった。
こうして金曜日の夕方、私は嫁を乗せてAlfeldへ。
ここかい?
そこは明らかに体育館。そこが急ごしらえの大規模接種センターになっている模様。外には行列ができている。ここで嫁を車から降ろし、暇な私はセンターの近所のスーパーで買いもの。
以下、嫁の報告によると、センターの外には行列はできていたものの、中にはいるとほとんど待ったりすることなくスムースにことがはこんだとのこと。接種そのものも痛みはなく接種後の待機時間も含めて1時間ちょいで終了。
嫁いわく、首の周りに若干の息苦しさと、若干の動悸を感じるとのこと。で、その日の夜はいまいち熟睡できなかったそうな。通常のインフルエンザの予防接種ではほとんど何も感じないのでやはりコロナのワクチン接種は体に負担を感じる…とのことです。なお嫁が接種したのはファイザー製のもの。とりあえず問題が起こらないことを祈ってます。
女もすなる湯煎といふものを男もしてみむとてするなり
私にとって湯煎とは特別な行為です。
18歳で家を出て以来自炊をはじめて今ではおそらく人並み程度には料理はできる人になりましたが、家を出るまではお米すらまともに研いだことがないような子でして、湯煎などはとんでもなく難易度の高い行為に違いないと思ってました。
湯煎…いつするかはご賢察の通り。そう、あの忌まわしきバレンタインデーですよ。手作りチョコの定番。他にどんな機会があるかは私は知らない。
未だにバレンタインデーにチョコレートをもらったことがないというある意味とっても残念な記録を更新中の私、当然そんな湯煎されてハート型にかたどられたチョコレートなどというものをもらったことがない。というかそんなものがマンガ以外の現実の世界に存在するのか知らない。とにかくね、女子が湯煎をして作るチョコレートは特別なものだ。湯煎とは特別な行為だ…という悲しい少年時代の思い込みが未だに私の中にあるわけ。
そして今日、ついに手作りチョコを女子からもらうというイベントが私の現世にはおこらないと諦めをつけ、自分でやっちゃいました。湯煎。
50度くらいのお湯に漬けた鍋の上に別の鍋を置き、そこにチョコレートを乗せる(今回は生クリームも一緒に温めてます)。
…ってか簡単じゃねえか。猿でもできるじゃねえかっ。ずっと湯煎とは特別な行為だと思いこんでいた自分が恥ずかしい。
チョコレートケーキを作ってみたわけですが、気づいちゃったよ。これって、チョコを溶かして、生クリームとさらに追い砂糖(そんな言葉があるかは知らん)でさらに凶悪な食べ物にしただけじゃねえかっ(注:その他にもココアパウダーや小麦粉も足してますが基本それだけなのよねん。そういえばベーキングパウダーも入れてないわ)。
なんというのか、こんなもんに幻想をいだいていたのかと呆れるやら。ああ、でももし日本にいるときにこの簡単に作れるチョコレートケーキを女子からもらってたらたぶん…いや、間違いなくその娘に惚れてたわ。そうなってたらたぶん今とは違う人生になってたんだろうなぁ。と詮無いことを思った週末でした。まる
姉は以前。普通の料理学校の先生をしておりました。生徒さんは料理を習いに来られる位ですから料理経験の乏しい花嫁に向かっての修行中の方々ばかりだったそうです。当然、テキストは読んで来ない。説明は聞かない。「小鍋の水を火に掛けて。」と指示すればレンジの火に水をぶちまける如きは当たり前、極めつけは「お米を洗って。」と指示すると、米の入ったボールが何故か泡だらけに成っていたそうです。姉曰く「あなた方は母親の料理姿を見とらんのかい。」と嘆いていました。湯煎で料理!! 今時そんな女の子がいたら国宝級です。
いらっしゃいませ。
ホントなんですかね…。いや、飛び丸さんがウソ書いてるとか言ってるわけじゃなくて、にわかに信じたくないんですよね。いくらなんでもそこまでなの?…という感じで。マンガの世界では砂糖の代わりに塩入れて失敗しちゃったてへぺろ…みたいなのを見かけますが、あれもまんざらありえない話じゃないんですかね。
私の場合、母に教え込まれたのは時短。正直本だし使ってもハウス食品のなんとかのもとを使っても問題なし。片付けながら作れ!ということだったと記憶してます。というわけで私は手早いですがかなりでたらめな料理を作ります。
それにしてもお米を洗剤で洗うような人がそれなりの料理を作れるようになるまでどれくらいかかるのでしょう。
なぜいきなり湯煎のネタ?
日本の日曜日夕方の国民的アニメみたく2本立てにしてみたんですが(あれは3本か)…確かに分かりづらいですね。あとでちょっと細工します。
管理人さんが疑うのも理解できます。でも本当なんだってば!! 私も話を聞いた時は「幾ら何でも。」と思いました。しかしその後、私も以前勤めていた職場の夕食当番で見習いの男の子(40年前は19歳)がお米を泡立てた時以来この世に信じられないものは無くなりました。今ならスマホに証拠が録画出来たろうに、残念なり。
ええ、信じたくないですが信じます…。ふと思ったんですが、世帯を持ってもどちらもご飯を作らない…とかいう家庭も存在するかもですね。ちょっと金銭的に余裕があればできあいのものや配膳サービスなどを使い続けるというのも選択肢ですよね。