アイルランドの病院へ行く…大丈夫なのか?(1)

日本帰省記の中で膝がいてえ膝がいてえと騒いでましたが、そう、痛いんです。諦めました。医者にかかることにしました。


なぜか社内に医者の資格を持った人がいるんです。…ってか、医者なんです。その人に相談しました。


医者:「VHIのSwift Clinicに行くのが一番じゃないかしら。設備も整っているし」


ですよねー。


アイルランドの医療、公立病院なら基本的に無料(ただし、専門医の診察だとか、入院費用とかはかかる)。ならいいじゃんとか思ってはいけない。とんでもない待ち時間がかかるのだ。たとえばね、私の友人の旦那さんの場合。突如腰痛を患い、公立病院に予約を入れた。で、予約が取れたのは16ヵ月後!16日じゃありません。一年4ヵ月後です。


16ヵ月後に彼が医者に言われたこと。
医者:「あなたはどーみても健康です」
そう。腰痛はすでに治ってしまっていたのです。こうなるともうネタでしょ。


かくして、そんな悠長に待っていられない人は私立の病院に行きます。これがまた高いんだ。とても自腹では払えないから、保険に入っている人が多い。会社勤めしている人なら、会社と折半して保険料を納めている人も多いんじゃないだろうか。


もうちょっとこの話を続けると、例えば腕をざっくり切っちゃって、こりゃ縫わなきゃダメだって怪我をしたとします。こんな時に公立病院の救急室に駆け込んでも数時間待ちとか当たり前。そんなの待ってられんって言う人のために、VHIのSwift Clinicってのがダブリンには2ヶ所あるわけ。ここだと待ち時間はほとんどなく、すぐに手当てをしてくれます。ただし、この場合の費用は2万円以上。アイルランド国内で保険に入っていれば半額は返ってくる感じになる(かなり大雑把な計算です)。


話は最初に戻ります。会社で同僚の医者に相談しているとこね。


私:「わかりました。じゃあ、Swift Clinicに行ってみます」
同僚:「どんな症状なの?…なるほど…そんな時痛むのね。わかった。紹介状書いてあげるわ」


とありがたいことに紹介状を書いてくださった(しつこいけど、この人、医者なので正式なGP<家庭医>からの紹介状扱いになります)。いい人だわ。この人。


とりあえず、Swift Clinicに電話。電話の向こうのお姉さん


相手:「申し訳ありませんが、ここでは対応できません。GPからの紹介状をお持ちなら、別の病院をご案内しますので、そちらに電話をしていただけますか。電話番号は…」


で、別の病院に電話をする。


相手:「わかりました。予約をお取りします。来週の木曜日の午後6時半でご都合はいかがでしょう」


はーい。


なんだか知らんが、ものすごーく丁寧な応対で好印象を持つ。とはいえ、1週間後かよ。もっと早くならんもんかな。ぶつぶつ。


電話を切るなり、斜向かいのアイルランド人の同僚にそんな不満をぶつける。


同僚:「1週間後に予約が取れたあ?なんでそんなに早いんだよ」
私:「早いんかいっ」
同僚:「ありえないくらい早い。いったいどこの病院に予約したんだよ」
私:「ええっと、Beacon Hospitalっていうとこ」


絶句する同僚。なんでよ?


同僚:「お前、そこ、アイルランドでも1-2を争う(医療費が)高い病院だぞ。下手したら、保険、利かんぞ」


へっ?


慌てて調べてみると、げげげ、ホントだ。わざわざこの病院は名指しで別扱いになってる。掛け金の安いプランだとフツーの私立病院は自己負担なしなのに1割の自己負担が発生する。ってかなんでそんな病院を紹介するんだ。Swift Clinicは。


封すら切ってなかった、VHIから送ってきてた保険の約款を慌てて確認すると…よかったー基本、カバーされるらしい。改めて契約内容を確認すると、なに?俺、年間1000ユーロも掛け金払ってるの?(ただし、会社が一部肩代わりしてくれている)


かくして、1週間後。行ってきましたよ。Beacon Hospitalに。夕方の渋滞も見越して早めに出たこともあり(でも全然渋滞には巻き込まれなかった)30分も前に到着。


うう、なぜか白い巨塔を思い出したぞ。


中は…うん、三ツ星ホテルくらいのロビーの印象。整形外科は地上階。受付には偶然にも私の電話を受けてくれた女性がいた。もう向こうは私の顔を見ただけで私が誰かわかった様子(こんな名前ですから)。受付を済ませて、待合室で待つ。


20分後、専門医の先生が受付まで来て、私の名前を呼ぶ。そう、日本だったら看護婦さんが呼ぶんだろうけど、アイルランドではセンセイ自らが呼んでくれる。考えてみると、礼儀正しいシステムだけど、そんなことしてるから効率が悪くなるんだろうという気もする。


センセイに診察室でおおよその状況を説明。で、診察台に横になるように言われて横になる。センセイ、足を持って、伸ばして、まげて、ひねって…


センセイ:「はい。90%問題ないですね。まあ残りの10%も安心するためにMRIスキャンを撮りましょう。明日この番号に電話してくださいね。はい。おつかれさまー」


…って、あんた、今の数秒でいったい何がわかったの?そして、この10分以下の診察で150ユーロも取るんですか。


MRIスキャンの話に続く。