【フランクフルト2019-3】「本」題のブックメッセ報告


のびのびになっているフランクフルトのブックメッセについてです。今回はメッセそのもののお話でこのフランクフルト2019は完結。

入口の一つ。金曜日撮影。

おそらく「東京ドームX個分」とかいうレベルで表記できる広大な敷地で開催されているフランクフルトのブックメッセをものすごーく雑に分類すると、3つのセクションがありまして。すなわち

ドイツの出版社関係

世界の出版社関係

ハイライト国の展示(ノルウェー)

この分け方に異論反論オブジェクションがある人もいるかもですがこれで話を進めます。

開催日は水曜日から日曜日までの5日間。このうち平日の3日間は基本的にはトレーダー(関係者)のみ。週末の2日は一般客でも入場できます。私達が参加したのは木曜から土曜日まで。

去年のイノトランスで学んだことは、一般開放される週末はお遊びというかあまり展示などに期待はできないということ。なので、行くなら平日に行こうと。幸い私の嫁が本に関係のないとはいえなくもない仕事なので、そっちから招待状をもらうことに成功(招待状=無料ではなく、それがないとそもそも平日の入場券が買えない)。

入場料は涙がちょちょぎれるほど高かった。5日間の通しチケットは前売りチケットとして大幅割引がなされていたにもかかわらずお一人様ほぼ100ユーロ。さらにはホテル代とか食事代などもろもろ加えると結構な費用がかかっている。

まあ、それはそうと。中央駅からメッセまで徒歩でも15分程度らしいのだが勝手がわからないのでまずはS-Bahn(近郊電車)でメッセ駅へ向かう。

駅に直結したメッセ入口では簡単な(悪い言い方をすればザルとしか言いようのない)保安検査を受け事前に印刷してあった入場券をスキャンしてもらい中へ。

まさに右も左もわからねえ…状態だったもののまずは一番興味があるというドイツの出版社関係のあつまるエリアへ。これが木曜日のお昼過ぎのこと。

一番人気のフロアを金曜日に撮影。奥の方の混み方に注目。木曜日はもっと空いていたが土曜日は立錐の余地もなし。

ここへ最初に行ったことは大正解だった。というのも、この日もけっこう混み合っていたのだが、一般公開された土曜日になるともう立錐の余地もない…前に進むのも一苦労するような人だかりになっていたから。

ドイツの出版社さんが集まっており、嫁は興味津々の模様。職場に持って帰るべく出版カタログを大手出版社からもらおうとする。ところが、多くの出版社はすでにこのカタログの出版をやめており「ネットでお願いします」ということになる。やっぱりネットが使いこなせないと置いていかれる時代なんだなと思う。

あちこちの出版社で扱っていた「ホット」な話題はこちら。

調べてはないけど日本も同じじゃないのかな。彼女の主張の是非はともかくとして、こうして乗っかれるものには乗っかろうという出版社の姿勢って洋の東西を問わないような。

で、このフロアの一角に「マンガ」を核としたと思われるアジアの出展者などが集まっている区画がありまして。

どう見ても本屋さんの一角のようですがブックメッセの一コマです。平積みされていることからも推察されるように普通に売ってます。

ちょっと棚をチェック。正直名探偵コナンくらいしかわかるのがないのですが…。

そしてこちらは画材のコーナー。一般公開された土曜日には「その筋」の人が集まってました。ちなみに「その筋」ではない別の筋(文具マニア)の嫁は変なペンを買ってました。んなもん日本に行ったときに買えばいいと思ったら

…やっぱり日本製でした。

出展者として目立っていたのは韓国・中国勢。おーい、日本はどこ行った。と思ったらいましたよ。日本勢、この人の往来が激しいエリアにはたった一社孤高の出展。

うんこドリル

そう来たかっ。

嫁に説明をした。なぜ日本でうんこドリルがヒットしたのかなど。結果、私の説明が下手だったのか理解してもらえなかった。どうなんだろう。うんこドリルは世界規模でヒットするのだろうか。嫁の薄い反応から判断する限りは厳しそうな気がする(個人の激しく偏った意見です)。

このドイツの出版社が集まったところとは別の館に日本の出版社が集まっているエリアがあった。なんというのか、ここは完全に関係者向けにできていてアポでもないと飛び込みで入るのははばかられるような雰囲気。

突然ですが、私ドンキホーテなるお店が好きじゃありません。あの圧縮陳列とやらが気に入らないのです。…というのとまったく矛盾するのですが、この日本の棚のスカスカ感がすごく気になった。

そんな中で目に止まったもの。

おい、嫁!これ見ろっ!

2週間後、日本に帰省した私は早速購入。一部英語でも書かれているので嫁も楽しめる一冊。これを書くにあたってそういえばこの本どこに行ったと探したら大事に嫁の枕元に置かれてました。

金曜日にはノルウェーの展示をやっているフロアに行った。

何がなんだかよーわからん…というお方。そうそれこそが私の言いたいこと。

基本がっかり。こちらも展示がスカスカ。あるいは私の理解力がスカスカなだけだったのかもしれませんが。

金曜日はなぜか多くの子供や学生の姿を見た。どうも社会見学とか体験授業とかそういうノリで引率者付きで訪れている児童・生徒がいたような感じ。

そういえば、この平日は関係者以外は基本的に入場できないのだが、ブロガー枠というのもあった。つまり、英語やドイツ語でブログをやっている人、さらにはミニコミ誌なども含むマスコミ関係の人は取材として入場料を払って入場することも可能だったらしい。

土曜日には世界の出版社が集まっているエリアへ。これは失敗。というのも、一般公開となった土曜日にはもう多くの出展者が店じまいを始めたか店じまいを終えてしまっているのだ。ただ、嫁はドイツの出版社以外に興味はなかったし、私はただの冷やかしなのでここに行く価値はそもそもあまりなかったかもしれない。そういえば日本の出版社も数社このエリアに出展していた。

このように土曜日の朝、つまり開催日をあと2日残してすでに店じまいの出展者。こんなところがこのエリアには何か所もあった。

あえて日本の出版社が集まっているところとは別のエリアに出店されているこちら。なにかしら大人の事情があるのかしら。
こちらの棚にはスカスカ感がない。こちらのほうが好感持てるかも。

そうそう。この館にはアイルランドの出版社も大々的に出展していた。

釘打ち禁止などの注意書きがそのまま残ってる…。

こういう細かいところにこだわらないのもアイルランドならではの気がしました。

ついでに件の関係者向けの日本のエリアに再訪してみた。もしかしたら荷物を減らすべく本の即売でもしてるんじゃないかというさもしい期待を抱いて。結果その期待は完全に裏切られました。

NOT FOR SALEの文字。

これらの本、わざわざ日本に持って帰ったのだろうか。重い思いして持って帰るくらいなら私が買って「あげた」のにのにのに。

翻ってドイツの出版社が集まったエリア。一般公開となった土曜日のここはもうすんごいことになっていた。もう身動きすら取りづらいというくらいの混み方。それもそのはず、ドイツの出版社の多くはその場で展示即売会を大々的に開催しているのだ。

ドイツは日本と同様で本は再販価格制度を利用している…つまりは本は定価販売が基本(日本と同様一部例外あり)。なので、わざわざメッセまで来て本を買う必要はないのだが、世の中には酔狂な人がいるようでわざわざ安くない入場料を払ってでも新刊の本を求める人が一定数いるらしい。

もっともそうしたくなる仕掛けもしっかり用意されているのも事実。たとえば著者のミニ講演会とサイン会とか。日本で言えば三省堂書店とかでたまに行われていることがまとめて同時多発的にあちこちで行われている…となると好きな人にはたまらないイベントになるかも。例のマンガエリアではなんじゃこりゃというくらいの長蛇の列ができている絵師さんがいたが残念ながら誰かさっぱりわからなかった。

なんのコスプレなのだろう。

さらに、このメッセのテコ入れを目的としているのかどうかは定かではないですが、週末にはコスプレ大会も同時開催されるのです。

なにやらクイズをやってましたがコスプレさんが大騒ぎしているようではなかったです。あるいはこのあとイベントがあったのかもしれませんがとりあえず人が多すぎて見届ける気になりませんでした。

嫁いわく、ライプツィヒで行われる本のメッセでも同様のイベントがあるらしいが、そちらのほうが規模が大きい印象を受けたとのこと。

こうして3日もブックメッセを満喫しました。来年もまた行くかというと…微妙。個人的にはイノトランスのほうがはるかに楽しかったです。来年どなたかイノトランスに一緒に行くというお方は…いないだろうなぁ。