逃げればいいというわけじゃない。火災報知器騒動記

会社の相方がドバイでどはまっていたある日の朝、私は会社で忙しく仕事をしておりました。そこにやってきたのは電気関係の工事技師さん。


相手:「悪いけど、サーバー室のドア開けて」
なんでよ?
相手:「(拡張する)となりのビルへのLANケーブルの設置工事するから」


そうでした。忘れてたよ…というわけで、普段は関係者以外立ち入り禁止のサーバー室に工事技師さん2名を入れる。本来なら立ち会うべきなんだろうけど、そんな時間もなければ、自分の机から見える範囲なので、とりあえず、放置。


それが出社後すぐだったから、午前8時くらいの出来事。それからおよそ1時間後に事件はおきた。


ジリリリリリリリリリ


ビル中にけたたましく鳴り響く火災報知器の音。


はい。おさらいです。火災報知器が鳴ったらどうしますか?


答え:慌てず走らず、荷物を持たずに、最寄の出口(非常口)より屋外に避難。


たぶん、洋の東西を問わず万国共通でこの答えは正解だと思う。


話は脱線しますけど、アイルランドの公共の施設では2箇所以上の出口または非常口の設置が法律で義務付けられています。これね、今から30年くらい前にダブリン郊外のナイトクラブで火災があって(英語Wikiにリンク)その時に多くの犠牲者が出たことからって話を聞いたことがあります。


このナイトクラブ、確かに複数の非常口があったものの、タダで出入りする不届きものが絶えなかったため、非常口をチェーンでふさいでしまっていたんだと(なんともやるせない話ですが)。以降、非常口の確保はかなり厳しく法律で求められているようです。


今度機会があったらパブかどこかで確かめてみてください。入り口以外にもかならず非常口があり、かつ、その非常口は内側からは難なく開くように出来ているはずですから。ほら、この知識がもしかするとあなたの命を守る日が来るかもしれない…ってそんな事故に巻き込まれることを願っているわけじゃないですからね。


さらに話がそれてしまうのですが、翻るに日本、この辺の基準が甘い気がしてなりません。個室ビデオ店での放火事件とかあるたびに、非常口の不備が指摘されるのに、現状は相変わらず。


日本のある場所でバイトをしていたとき、何度か消防署が査察に来るからと、階段に積まれた商品を片付けた経験があります(事前に来ることがバレてたら、何のための査察なんだか)。なーんか総理自ら「いのちを守りたい」なんてカッコいいことを言っている割にはやってることがすっとこどっこいな気がしてなりません。


話を戻します。


私の勤める会社、いっちょまえに火災発生時のマニュアルがあって火災時には各フロアに避難誘導員がいてその人が外に出た人を点呼・確認するようになっており、定期的に避難訓練もしてます。じゃ、お前も避難すればいいじゃん…って訳にはいかないのです。会社のよろず雑用係が私の仕事。この火災報知器もどうも私の仕事の範疇らしい。だって、相方がなんかしてたもん。以前。


私の脳ミソはフル回転を始めます。ええと、火災報知器の操作盤はどこだっけ。ああそうだ、あそこだ。そこへ、さっきの「慌てず走らず」発言はどこに収めるか知りませんが、大いに慌ててダッシュで操作盤前へ。操作盤を確認。火元は…ええ?サーバー室?


てくてく「火災報知器の誤作動だにゃあ」などと文句を言いつつ避難しつつある人の流れを蹴散らしつつサーバー室へ。そこにはさっきの電気工事の技師さんがすまなそうに立っていた。


相手:「ごめん、火災報知器のケーブル、間違って引っ張っちゃった」


そう。LANケーブルを設置する際に何かの拍子で火災報知器のケーブルに触れてしまい、火災報知器が作動してしまった模様。そういえば、日本の煙探知機もつついたりすると誤作動するな。古くは小学校のときの同級生斉藤君(本名)が体育館の煙探知機をほうきでつついて発動させたし、某バイト先ではバックヤード(倉庫)を整理中に巻いた売り物のカーペットで煙探知機をつついて発動させて始末書喰らった社員さんがいたな。


ともあれ、サーバー室に火の気はない。誤作動であることは確認された。この火災報知器を止めないことには話にならない。再び、火災報知器の操作盤前へ。


うきっ?


使い方はなんとなくわかった。だけど、暗証番号って何だ?知らんぞ。そこへやって来たのは会社の副社長。


副社長:「Snigel君。一体どーなっているのかね?」
今なんとかしますからお願いだから黙ってて


なんとか暗証番号を調べて火災報知器を止める。そこにようやく静寂が戻ってきた…と思った私は甘かった。確かに目の前の火災報知器は鳴り止んだ。だけど、となりのビルの火災報知器はけたたましく鳴り続けている。どうやら、棟続きの隣のビルの火災報知器も発砲は連動しているらしいけど、解除は連動していないらしい。誰だ、このシステム作ったアホタレは。


そのまますっかり空になった隣のビルへダッシュ。


おーい。さっきの操作盤と違うタイプじゃないか。なんで一緒のじゃないんだよ。しかも、暗証番号が別のものらしく、同じ暗証番号を入れてみたもののいつまでもベルは鳴り続ける。ようやく調べた別の番号を使って、今度こそ静寂が戻ってきた。疲れがどどっと出る。朝の9時にして一日分の体力を使い果たした感じ。


ようやく自分の机に戻ると今度は総務の人から電話。


総務:「エレベーターが止まってるよ」


そうか。エレベーターって火災が発生すると最寄階で停止するように出来てるもんなあ…って待てやい、そんなことまで私の仕事なんかい?こんなことまで私の仕事なら、そのうちトイレが詰まったら私に電話がくるようになりそうだな。はいはい、何とかしますよ。とはいえ、これはもう私の手に負える範囲じゃないので、会社の警備を担当している会社に連絡。


なんでこの話をする気になったかというとですね、不幸の手紙が届いたんですよ。その警備の会社から。それで思い出した次第。


「前略。この前の火災報知器の誤作動騒ぎで消防署まで連絡が行っちゃったから罰金払わないといけません。600ユーロ払ってね(はあと)」


幸い消防車が会社に来ることはなかったが、どうもその直前まで話が行ってしまい、罰金ってのか手数料ってのかを払わねばならないらしい。ただいま、電気技師さんとこの会社が払うようにしようと交渉中ですが(誰だ、「お前の対応が遅かったからだろう」とか言ってるやつ)、これまた私の出番ではないので上にこの請求書を回したところで私のやるべきことは終わりました。なので、その後どーなったかは知りません。