さようなら。Bank of Idiot

会社に夏休みの間、大学生の学生アルバイトがやってくるので(社内ネットワークにログインするための)ユーザーアカウントを作成してほしいという依頼が来た。その学生の名前はベンジャミン。きっと若くてかわいい娘が来るに違いない。いいんだい。見るのは無料なんだい(ああ、これじゃあただのスケベオヤジ予備軍じゃあないか)。


なんか、いい名前だと思いませんか。ベンジャミンって。日本でも植物の名前からかけっこうなじみがあるし、確か、ピーターラビットの中のキャラクターもベンジャミンじゃなかったかな。

 
私の仕事のひとつは新人のコンピューターをセットアップしてあげること。なので、新人が来るたびに私は事前にアカウントを作成し、初日にはその机に行くことになります。というわけで、初日にベンジャミンの机に行きました。


期待通り、いましたよー、若くてかわいいフランス人のベンジャミンが。フランス人だからか知らんけど、ルーブル美術館で見た絵画のようなきれいな瞳をしている。ただ、たった一つだけ難を言うならば、ベンジャミンはでした。


ヽ(`Д´)ノウワアアアン!! 男になんか興味ないよー


なぜかと聞かれると困っちゃうんですけど、ベンジャミンって女性の名前だと思い込んでいました。Googleの画像サーチをしたところ、そのほとんどは男性の写真ばかりでした。完全に私の思い違い。やれやれ。


そんなことはさておき。今日の話は、ベンジャミンの話じゃないんですよ。銀行の話。


(さらっと話を買えるのですが)今の日本の当座預金の金利って0.04とかなんか私のど近眼の視力みたいな数字で預けてても金は増えない…って感じですよね。アイルランドはそれよりちょっとはマシで、0.25%とかその辺がフツーみたいです。


じゃあアイルランドのほうがいいじゃん…という人は聞いてほしい。この国(私が隠し口座(笑)を持つドイツもそうだけど)、当座預金に口座維持手数料を取るのよ。3ヶ月ごとに11.4ユーロ(1500円)。ちなみにこれはBank of Idiotの場合。AIBの場合は4.5ユーロ(580円)なんだけど、ATMを使ったり出入金があるたびに20セント(26円)の手数料を取られる。この辺の詳しいことを知りたい方は、ここにすばらしいまとめページ(もちろん英語)があります。


で、私が13年間使ってあげている(居丈高)Bank of Idiotの場合、この3ヵ月ごとの口座維持手数料11.4ユーロが一定条件を満たせば免除されます。すなわち、口座預金残高が3ヶ月間常に500ユーロ(65,000円)以上あること、または、オンラインバンキングサービス(インターネット)で3ヶ月間に3回以上の支払いをすること。


これ、決して高いハードルだとは思わないんですよ。特に後者のオンラインバンキングで月に一度以上の支払いをするって。何せ、私の場合、複数のクレジットカードを持っているから月に2回はオンラインサービスで支払いをする…ってかしていた。


ここからがいかにもアイルランド的な話ですが、ある日、私のBank of Idiot発行のクレジットカードのひとつが不正利用されそうになった。それに伴い、カード番号変更。新しいカードもすっと送られてきて一件落着となるはずが、もちろんそうはならず、オンラインサービスでの支払いがなぜかできなくなってしまったのだ。のみならず、私の払った4桁の額のお金が次元のひずみに消えてしまった


Bank of Idiotのカスタマーサービスに何度電話しても埒が明かない。挙句の果てには、「払わないなら裁判起こすぞ」と脅迫じゃなかった督促状まで送ってくる始末。その金は結局見つかり一件落着となったのだが(そうじゃなきゃ困るけど)、そののちもなぜかオンラインサービスで、自分のこと発行したカードへの支払いができず、頭に来た私は「全額翌月一括自動引き落とし」方式に変えたら問題は起こらなくなった。お金は自動で銀行口座から引き落とされる。


これは楽だと思ったが、反面、オンラインサービスの利用は自動引き落としではカウントされないのでほかのクレジットカードのための支払いの月に1度に減ってしまった。


3ヶ月ごとに3回…ならまだセーフのはずなのだが、借金という行為が嫌いな私、月末に金銭的な余裕のあるときはクレジットカードに金を先払いする癖がある。つまり、クレジットカードの借入残高が500ユーロあったら、800ユーロ払って翌月の支払いに300ユーロ自動的に回しちゃおうという発想。フツーの人が高い金利を払って支払いを日延べにするのとまったく逆の発想。


ところがこれをやっちゃうもんだから3ヶ月に3回あるはずのオンラインでの支払いが一度不要になり2回になってしまった。かつ、運が悪いことは重なるもんで、この3ヶ月のうち、たった、たった1日だけ預金残高が500ユーロを切ってしまった。が、これにて口座維持手数料を取られることに。こんなことが2期続いた。


確かに逆ギレの誹りは免れないかもしれないけど、私はキレた(もしかして、さっきのウワアアンのAAはここで使うべきだったのかな)。銀行変えてやる。というわけで、調べ始めてたどり着いたのがさっき上で紹介したページ。見ての通り、一行だけ預金金利が飛びぬけて高い銀行がある。他が0.25%だ0.75%だ言ってる中で、7%の金利を謳っている銀行がある。Halifax。しかも、口座維持手数料がない。よし、ここにしよう。


もちろん、うまい話には落とし穴が必ずあるものでございます。ここでの落とし穴は、条件として、「毎月1500ユーロ以上の入金(給料ね)があり、かつ、7%の金利は預金残高2000ユーロまで。それ以上には一切の金利はつかない」というもの。これ自体別に問題はない。幸い、私の給料は手取りで1500ユーロ以上だし、当座預金にそんな多額の金額を預けても意味がない。


もうひとつ、この銀行の大きな問題点はアイルランドのデビットカードLasercardを取り扱っていないこと。一歩アイルランドを出るとATMのカードとしての機能のみに限定される使えないカードですが、アイルランド国内では、他のカードは一切扱ってくれない格安スーパーでも扱ってくれるし、一部商店ではキャッシュバック(たとえば10ユーロの買い物をして40ユーロのキャッシュバックを申し出て、40ユーロ現金でもらえる…もちろん口座からは50ユーロ引き落とされる)もできる便利なカード。これが使えなくなるのは-ポイント高いかも。ともあれ、ここのカスタマーサービスに電話しました。


お約束どおり、機械が応答してくれまして、この会話は録音されると警告され、音声に従い2番だか3番だかを押し、さらに1番だか2番だかを押して「新規顧客」の部門に電話がつながりました。


果たしてこの人だけだったのか、それともこの銀行が顧客獲得に血眼になっているかはわからないが、もーやたらと友好的で親切な女性が対応してくれまして、すぐに申込書一式を送ってきてくれるとのこと。その言葉通り翌日には自宅に分厚い封筒が届きまして、その数日後には「申込書は着きましたか」と確認の電話を入れてきてくれた。


初めてアイルランドでやる気のある企業に出会いました。


…って調べてみるとHalifaxってBank of Scotlandのグループ企業なんですね。


で、この疲れ果てる申込書を書いて送り返しました。現状お返事を待っているところ。さて、HalifaxはBank of Idiotよりマシなのか、それとも所詮はスットコランドのスットコ銀行なのか。この数日中にわかると思います。てなわけで、続く。


蛇足。アイルランドの銀行に預けた預金は全額保護対象になるのに対し、Halifaxなど一部外国資本の銀行への預金は政府によりう10万ユーロまでしか保護されないようです。そんなに私は持ってませんので問題にはなりませんが。