【なぜか上海2】とりあえず、コペンハーゲンへ

そして、いよいよ出発の日を迎える。


例の強盗に遭ったタクシーの運転手さんにお願いして空港まで送ってもらう(もちろん有償。45ユーロなり…だけど会社が出すんだから知ったことかい)。運転手さんが気を利かせて、20分近く家に迎えに来てくれたおかげで空港に出発90分前に到着する。搭乗手続きカウンターで、パスポートとマイレージカードを出すと…


係:「本日…どちらまでですか?」


…Eチケットの控えを出さない私もひどいが、そんなもん、私の名前から調べられないのかと思う。なんか「東京」って言ったら東京までの搭乗券を出してくれそうな勢いだな(ありえないけど)。


脱線しますが、この日記を書くにあたって、できる限りカタカナ英語は日本語に直すように努力してるの。そうしないと、ことヒコーキとかコンピューター関係のお話はカタカナだらけの文章になるから。たとえば上でも「チェックインカウンター」ではなく「搭乗手続きカウンター」と中途半端に直してあるでしょ。そんなわけでEチケットを日本語にしようとしたが、適当な訳が思いつかなかった。なんでさ、E電がダメでEチケットはいいんだろ。その基準がわからない(感覚的にはわかるけどね)。


係:「上海までですか。…保安検査の優先レーンとラウンジをご利用いただけます。DAA(ダブリン空港機関)のラウンジをご利用ください」


あー、bmiがスターアライアンスから脱退したからbmiラウンジは使えなくなったのね。なるほど。ラウンジの入り口に輝いていたスターアライアンスのマークが消えてしまっている。ところが、その代わりにSAS(スカンジナビア航空)とエアカナダのロゴが残っている。試しに入ってみると…なんのこたーない、問題なく入れた(逆にDAAのラウンジは使えたんだろうか)。

(そういえば、世間様ではサッカーの話題で盛り上がってるのね)


ラウンジでのんびりしていると出発30分前。そろそろ行くかと搭乗券を見ると…しまったー、いつものルフトハンザじゃなかったんだ。搭乗口ががくされRyanair御用達の最遠のエリアAだ。


…急いでいったのだが、最後の搭乗客らしく、遠くに私を見つけると大声で


係:「コペンハーゲンのお客さんですか?」
私:「はい」
係:「遅いですよ(怒)」


確かに、定刻15分前なのにもう搭乗は終わっている。ごめんなさい。ちなみに、ここで私はとんでもないポカをしでかしているのだが、本人は気がついていない。


ヒコーキはSASのお約束のMD82。書き間違いじゃないです。MD82。もう一度書きます。MD82

(コペンハーゲンにて撮影。正確にはダブリン線に使われたのとは別のヒコーキです)。


…なんでこんな昭和の香りのするポンコツ機を未だに使っているんだろう。昭和の香りだなんて大げさだと思われるかもしれませんが、このヒコーキ、おそらく1980年代に生産されたものです(つまり昭和末期)。もういい加減退役してもおかしくないのに未だに使い続けるスカンジナビア航空の物もちのよさには感激するばかりです。…というか、ぶっちゃけて言ってしまえば新造機が買えないほど財政的に追い詰められているのかと心配になる。


実は会社に黙って自腹でちょっとした差額を払ってプレミアムエコノミー(エコノミーエクストラといいます)にアップグレードしたので、座席は最前列の1D。初めてこの席に乗ったんだけど面白い。というのも、MDシリーズの座席って2-3(窓からACと2席、通路を挟んでDEFそして窓と3席)の配置。つまり、D席はヒコーキのちょうど真ん中あたりになるの。感覚的には日本の観光バスの補助席に座った感じといえばご理解いただけるかと。


MDシリーズってね見ての通りエンジンが後部にあるの。なので、前のほうはびっくりするくらい静かなんです。ほら、こんな古い機材でも…って思ったら


ぶおーーーーーーーーーーーーーん


工場の機械のような騒音が突然聞こえ始める。なんだなんだ…と思ったら、目の前のギャレー(台所)のオーブンのスイッチを入れた音。ホントにヒコーキのエンジン音かと思ったくらいの爆音。…ホントに大丈夫なのかよ。このヒコーキ。


ギャレーの向こうはコックピット。査察機長か何かが乗っているらしく、機長席と副操縦士の間の補助席に座っている。コックピットが狭いもんだから、操縦室へのドアのところに取り付けられたこの補助いすも狭く、なんだか、査察機長と思われる人のお肉がいすからはみ出て本当に息苦しそう。天井の低い畳2畳くらいのスペースに大の男が3人いたらきっと息苦しいよね。


早くにドアクローズしたおかげで、定刻より10分ほど早く搭乗ゲートを離れる。誘導路の路面ががたがたしているので、目の前のトイレの扉が開きそうになる。それはまだよかった。いよいよ離陸の段となり、ヒコーキがエンジン全開となると、施錠されていたはずのコックピットへの蛇腹式の扉が開きそうになる(もうコント状態)。それをジャンプシートに座っていたおばちゃんのフライトアテンダントさんが肘で力ずくでで抑えようとする。力が入らないもんだから、離陸前はおしとやかに閉じられていた両足がおそらく無意識に開いて、積極的には見たいと思わないおばちゃんのスカートの中身がもろに見えてしまう(いちおうフォローしとくと、この人親切な方でしたよ)。

(到着時、ベルト着用サインが消えた瞬間に撮影)


そんなこんなでよたよたとこの老人…じゃなかった老ヒコーキはダブリン空港を飛び立つ。180度旋回するとシートベルト着用のサインが消えて機内サービスが始まる。


プレミアムエコノミーの食事。


「とりあえず出したんだから文句ないでしょ」と言わんばかりの食事。いや、決してまずくはないですよ。でも決しておいしくもない。ちなみにエコノミークラスの食事は有料。ちなみにさっきの爆音オーブンはこのパンを温めるためにあったのね。


途中でヒマだったから、後部のトイレに行ってみた。機内は完全に満席…なのはいいんだけど、もうすごいの。後ろのほうの騒音。最後部の席はどっかのトンネルの内部みたいな雑音でまともに会話をすることはほぼ不可能。何せ、窓の向こう、それこそ手が届きそうな距離の場所にエンジンがあるのだ(なので、外をまともに見ることも難しい)


この席で同じ運賃を取るのはひどいぞ…と思ったら、その昔日本エアシステム(そんな会社がありましたね)ではこの後ろの数列の席は割引価格で売っていたこともあるそうな。確かにそうあるべきだわ。騒音だけじゃなくて振動もすごいし。


最前列の自分の席に戻ると、爆音オーブンのスイッチも切られたらしく後部座席に比べるとまさに静寂の世界。


老ヒコーキは幸い途中で力尽きることもなく(あってたまるか)よたよたとコペンハーゲンに到着。到着時に気がついたのだが、コックピットの声がもろに聞こえてくるの。30,20,10っていう高度のカウントが完全に聞こえた。


コペンハーゲンで乗換え(続く)。