【なぜか上海1】海を越えたら上海♪

上海。


突然ですが、クイズです。上海といって思い浮かべるものを5つ挙げてください。


私の回答。


(1) なぜか上海(井上陽水の歌)
(2) ダンボール肉まん(北京だったような気もするけど)。
(3) 下水で作った油(同上)
(4) パクリ商品。
(5) 公害。汚れた空気に汚れた水。


…なんだ、(1)以外はろくなイメージがない私の偏った知識は。皆様のご意見もぜひコメント欄よりお伺いしたい気分ですが。


そんな上海になぜか行くんです。仕事に。


そもそも上海ってどこよ…ってところから始めないといけません。中国なのはわかってるけど、どこかすら知らない。


…あら、沿海部なのね(←そんなことすら知らない無学の私)。


とりあえず、経済発展がめざましいのはわかってる。だから私の勤める会社もここにででんと支社を構えるわけでして。気がつくと、この数年でドバイだブリュッセルだとあちこちに支社を増やして、今度はいよいよ上海の番。支社の立ち上げにアイチーのなかで一番ヒマそうで本社にいてもいなくても問題にならなそうな私に白羽の矢が立った次第。


ところが、話はなんというのかあっさり進まないのよ。中国に果たしてどーやってサーバーを送ったらいいんだろうとかそんなところからはじめないといけない。通関手続きなんかも煩雑。そんな機器が届かないと行ってもしょーがないけどいつ通関手続きなどが終わるのかとかがさっぱりわからない。そんなわけで、数ヶ月前から上海に行くことは内示を受けていたんですけど、6月ごろとは言われていたが、それがいつかわからない。それがようやく「たぶん来週か再来週」と言われた。


はいはいはい。それじゃ、航空券を探しましょう。


航空券やホテルの手配、会社の総務に任せておけばいいんです。だけどね、それが趣味って人がいるのよね。ここに。よし、自分で探そう。


さっきの上海の地図、もう1回見てもらうと気がつくことがある。


私のふるさとのO分から東京と上海、方向が間逆なだけで、ほとんど同じ距離にあるんですけど。


だったらうちに帰ろう。


ところが、うまい(安い)航空券がほとんどないの。まず、出発の日付に近いというのが問題1。そして、ダブリン=上海の単純往復じゃないから、それだけで高くなりそうだけど、意外とね、ダブリン=上海、東京=ダブリンっていう航空券、安かったりする。同じ航空会社じゃなくて、違う航空会社との組み合わせも可能。だけど、どーしても、上海=東京(または福岡)の部分が通常の片道券になり高くつく。結局時間もないことだし諦めた。


だけどさあ、たとえば横浜出身で北海道在住の人が東京に出張に出かけたのに横浜に帰らないって結構きついよね。同じ気がする。この距離感だと、それこそ家の前まで来てうちに帰らないような感じだと思う。


だからと言って、ダブリン=上海の単純往復も口惜しい。そこで思いついた。ダブリン=上海、上海=Hannoverとして帰りにドイツに寄ってこよう。これだと1000ユーロちょいで往復券が買えて、デュッセルドルフまで新幹線で移動して、そこからエアリンガスに乗ってもその部分は100ユーロ程度。あー、これなら行けるわ。


しかも、利用航空会社は個人的におなじみスカンジナビア航空。ここのマイレージがすでに日本に2往復以上できるくらい溜まってるから、これを使ってビジネスクラスで往復するのも悪くないかも。


(解説:スカンジナビア航空の大陸間フライトの場合、空席があれば、搭乗ゲートでマイルを使ったアップグレードを申し込めるの。エコノミーからエコノミーエクストラ(プレミアムエコノミー)まで片道1万マイル。エコノミーからビジネスまで片道3万マイルなり。)


だいたいがさ、こんなにマイルを溜め込んでるのがおかしい気がしてきた。だって、今年に入ってからスターアライアンス加盟のスパンエアー(スペイン)は運行停止に追い込まれたし、bmi(ブリティッシュミッドランド)もまさかのBA(英国航空…の正確には親会社)に吸収合併されたし、スカンジナビア航空と仲のよかったCimber Airという会社もぶっつぶれた。


だんだん話はわけのわからん方向にそれていくんだけどさ、スパンエアーとbmiの共通点は、国で2番目の航空会社だったことね。今、航空業界が淘汰されていく中、格安航空会社以外は各国「ナショナルフラッグ」と呼ばれる大手1社に収斂されていくような気がする。だとすると、JALを救済したの、日本の航空会社という大きな目で見ると間違いだったんじゃないかという気もしてくる。今は、リストラ効果でいい数字が出てるみたいだけど、さて、どーなりますやら。


まあ、そんな視界不良の航空業界、あんまりマイルを溜め込んでいても会社がつぶれてしまったら話にならない。なので、さっさと使い切ってしまうというのも一考。


もっと話をそらせてしまうと、bmiがスターアライアンスを脱退したことで、ロンドン経由での日本行きという選択肢が実質なくなってしまった。bmiのダブリンロンドン間のヒコーキが数年前に半減されたときもかなり痛かったけど、今回はさらに手痛いわ。


話を戻すと、ある日、突然、上司に


上司:「んじゃ再来週上海に行ってね」


と命じられる。


というわけで、慌ててスカンジナビア航空の航空券を手配。お次。ビザ。そう、ビザがいるの。


日本人の場合、15日以内の滞在の場合、ビザは不要です。ただし、観光以外の場合は、そうじゃないのよ。ビザ必要。で、ビザ発給まで中4(営業)日と聞いたので、まだ出発まで時間があるとタカをくくっていたら、実はダブリンの中国大使館の開館日は月曜日から木曜日で(金曜日休館)。慌てて仕事中に車で大使館に向かう。…前途多難だ。


(注:日本ではビザの代行業者などがあるようですし、これはヨーロッパの外れのある国での一例と思って聞いてくださいね。情報が間違ってても責任は取れません。という上で、いちおうビザの特急サービスもあるみたいです。いくら取られるか知らんけど。)


ひどい天気の中たどり着いた中国大使館…ってフツーの家やん。ちなみに場所はわれらが日本大使館より数百メートルの距離。ビザはこちらという案内に従って裏庭に回ると、なんのこたーない、庭に建て増しをされた部分で業務をしている。


7-8枚分あったビザ申請用紙は会社で書いてきたので、そのまま申請の列に並ぶ。私のビザの申請書を見て係りの人


係:「マルチエントリービザは2回までしか出せないわ」とのたまう。なぜだという思いはあったが揉めてもしょーがないので、「じゃあそれで」と折れる。


係:「じゃあ、来週の木曜日に取りに来てくださいね。費用は50ユーロです。AIB(銀行)かBank of Irelandのバンクドラフト(銀行が振り出す小切手)、または郵便為替でのみ支払いを受け付けます。


…なにそれ。現金すら受け付けてくれないの。不便だの。大金ならともかくたかが50ユーロ。


その足でBank of Idiotへ。


私:「中国大使館宛に額面50ユーロのバンクドラフト作ってください」
係:「当行に口座はお持ちですか」
私:「昔はあったけど(あんたらが人が閉じるなと頼んだ当座預金を勝手に閉じたんでしょうが)」
係:「それではバンクドラフトはお作りできません」


へっ?ここに現金で50ユーロ札を握り締めてるけど、それじゃダメなの?


係:「当行に口座をお持ちの方のみ承れます」


…意味がわかんねえよ。あ、そうだ、まだ完全に休眠口座になってる定期預金にいくらか残高があったはずだ。


係:「あ、これなら大丈夫ですね。


…繰り返す。意味がわからん。


しっかり手数料2.4ユーロ(税金含む)を徴収される。


(続く)