100年に一度の不況の中の私の勤める会社の行方

どうもこんばんは。どうやらクビは飛ばなかったらしいSnigelです。


明日からちょっとベルリンに行くんですが、ちょっと困ったことが。


どなたか、私のパスポートがどこにあるかご存じないですか?


やっぱ、ないじゃ済まないですよね。探さないと。ま、何とかなるだろうからとりあえず日記の更新をしようというのが現在の状況です。


だいたいがね、私、パスポートを粗末にしすぎです。年に一度しか海外旅行をしないとかいう人なら、きっとパスポートは仏壇だか神棚などに大事に保管されていると思うんですよね。が、ヨーロッパに住んで、かつ、よくヒコーキに乗るとなると、パスポートは下手したらカバンの中に入りっぱなし(しかもそのかばんを会社に持って行っている)という状況になります…私のことですが。かくして、カバンの中も机の中も探したけれど見つかりません。


ともあれ、本日、私の勤める会社の業績の社員向けの説明会がありました。この「100年に一度」の大不況、当然のことながらこの会社にも影響が出ています。考えられる事態としては(下に行けばいくほど悪い想像になってます)…


昇給カット
ボーナスカット
給料引下げ
ワークシェアリング実施(週休3日制への移行)
解雇


とりあえず、昇給カットおよび、ボーナスカットはあり得そうだけど、ワークシェアリングだの解雇だのはなさそうだ…というのが私の推理。とはいえね、今までアイルランドのインフレに沿って給料は毎年5%以上上がっていたから昇給カットというのは初めての経験になる。


ちなみに、ボーナスは日本のそれとはだいぶ違う。日本では景気のいい時なら給料の3-4ヶ月分とかがポンと入るんだろうけど、アイルランド、いや、少なくとも私の勤める会社では年に一度4-5万円程度がもらえるくらいの話。聞いた話では結構な金額のボーナスが出る会社もあるらしいけど、基本的には出ないかすずめの涙程度というのがアイルランドの基本だと思う。


そして、会議開始。


…ってね、フツーの人はペンとメモ帳一冊持って参加すりゃいいんだろうけど、私の場合、会場の設営から始めなくてはいけない。フツーの会議はいくつかある会議室でやるから勝手にやらせときゃいいんだけど、今回のような大きな会議は会議室ではとても間に合わない。なので社員食堂でやる羽目になるのだか、社員食堂だから当然スクリーンなどは用意されていない。重いスクリーンをえっちらおっちら倉庫から運んで、それから、あれ、なんていうんだっけ、映写機ってか、あの機械…思い出せん…をセットして、そこにプレゼン用のノートパソコンをセットして、マイクの設営。挙句の果てには社長の襟に小型マイクをセットするまで私の仕事と来たもんだ。…もしかして、私の仕事ってシスアドとは名ばかりで、ただの雑用係じゃないのか?


まあいいや、会議が始まる。いつもは明るい社長なのに神妙な顔して現在の経済の状況がいかに悪いかを話し始める。


日本にいらっしゃる方にはちょっと意外に聞こえるかもしれませんが、ユーロの価値は上がっています。日本円と比較すると日本円が一気に強くなったわけですが、実はユーロを対イギリスポンド、アメリカドルで比較すると、ユーロはかなり強くなっていたりするのです。言い方を変えればそれだけ日本円が異常なほど一気に強くなったということなのですが。ともあれね、けっこう世界規模で事業を展開するうちの会社、イギリスポンドやアメリカドルでの決済も多いんですよ。で、ユーロが強くなるということはそのまま収入が減るということになるのです。


で、このユーロ高傾向が出てきたのが去年の始めあたり。それでも業績はそこそこ悪くなかったんですよ。が、そこに出てきた世界経済の急速な冷え込み。私の勤める会社の商品は売れなくなり、今までのお得意さんも取引を減らそうと言ってきている。こうして、複合要因で会社は厳しい状況になってきているらしい。


収入が減るなら支出を減らす。当たり前の話です。支出とは、経費であり、あとは給与。ここに手をつけると社長は言い切った。


こ、これは給与カットか?


と身構える私たちに社長は続ける。


この会社の今日があるのは社員あってのこと。なので、給与カットはしない。が、社員一人の例外なく昇給(いわゆるベア=和製英語)がないことは承知してほしい。


ああ、そうですか。ま、言われたことは完全に予測の範囲内。この状況で昇給などまさに能天気すぎる発想だもんね。で、社長は続ける。


ただし、ボーナスに関しては満額出します


へっ?


これは意外だった。たとえ5-6万円のすずめの涙のボーナスとは言え、出る出ないでは話の次元がだいぶ異なる。これで、来月の食費の心配はしなくていいや♪


で、社長いわく、苦労をかけるけれども昇給なし、そして経費削減に協力してほしいとのこと。基本的にこの会議に私は好感をもった。少なくとも社長は正直に、ざっくばらんに現状を説明してくれた。この内容なら信用できると思った。


で、会議終了後、私は社長からマイクを取り返し、片づけに入る。そこにやってきたは重役の一人。


重役:「ねえねえSnigel。今日の会議の模様はビデオに撮っておくべきだったと思うのよ。ビデオカメラを買おうと思うから、適当なの見つくろっておいて」
私:「え?予算はどこから出るんですか?あんだけ経費削減を言ってたんだから予算はつかないでしょう
重役:「大丈夫よ。副社長に話をつけとくから」


( ゚д゚)ポカーン


とりあえず、パスポートを探します。