一等車でベルリンに行ってみた

♪ふぁーすと、うぃーてーくまんはったーーん、でんうぃーてーくべりん
(First we take Manhattan, then we take Berlin)


いきなりひどい声で歌い始めて恐縮ですが、ベルリンで週末を過ごしたSnigelです。こんばんは。


実は…って秘密めかして書くことでもないですが、私、ベルリンが大好きです。無論表面しか見てないけど、うーん、なんて言ったらいいのかな、ベルリンってね、人に優しい気がするんですよ。気取ってないって言うのかな。なんちゅうか、うまくいえないんだけど、ロンドンみたいに気取っていないと思うし、パリみたいに鼻につくこともない。


もうちょっと具体的に書くと、前にも書いたっけか、ベルリンってビンボー人にも優しい街なんですよ。たとえばダブリンってね、基本的に金がないと楽しめない町だと思います。レストランに行ってもある程度の金額を払わないとそれなりのものは食べられないし、夜遅くまで遊んだら帰りの足はほぼタクシーしか存在しない。とにかくね、何をするにも金がかかる街なんですよ。


それに対してね、ベルリンって、もちろん金持ちにも優しい街です(そうでないところが世の中にあるのなら、後学のためにぜひ教えてください)だけどね、それと同様にビンボー人にはビンボー人なりの楽しみ方がちゃんと用意されている街というか。テーブルクロスはビニールだけどおいしくて手ごろなメシが食えるとかね、とにかくね、身の丈にあった楽しみ方が確実にできる街だと思うのです。


金曜日。新年早々有給をとりまして向かったは、ダブリンからの直行便に乗ってベルリン…ではなくなぜかフランクフルト。そもそもこの日はベルリンに行く予定はなくて別の街に行く予定だったのですが、航空券を買った後から友人から誕生日のパーティーに誘われて急遽ベルリンに向かうことになった次第。無論変更返金不能の安い航空券ですから、おとなしくフランクフルトに向かいましたよ。ベルリンへの直行便と運賃がほとんど変わらなかったので、列車の運賃と所要時間の4時間半の分だけの無駄をしたことになりますが。


フライトは快適そのもの。足元の広い非常口座席をアサインされて、かつ中央席にはだれもいない。で、ヒコーキは降下を始めたはいいが、フランクフルト到着の直前になっても雲の中から出ない。こりゃ天気が悪いのかと思っていると、雲の下に出たと思った瞬間にルフトハンザの経年機737-500はフランクフルトに着陸。外は案の定雨。しかも雨脚が強い。


到着したヒコーキはゲートを目の前にしてヒコーキは止まってしまった。フライトアテンダントからは「しばらくお待ちください」と言われた以外何の説明もない。待つこと20分くらい、ようやくヒコーキは沖止め(バスでの案内)の駐機場へ。後から聞いたところでは、この日、何らかの予告なしのストライキがあったらしい。実は20分待っただけくらいなら、決して悪くなかったんだとか。


いつもは乗りかえの場所であるフランクフルト空港をあとにしてとりあえず街へ向かいましょう。


実はこの日、わざわざフランクフルトに向かうことを厭わない、ベルリンまでの列車旅はちょっとした楽しみがあったのです。


ICE(ドイツの新幹線)の一等車(ファーストクラス)でベルリンへ。


いつからお前はそんな金持ちになったんだという方、ちょっと聞いてくださいよ。ドイツ国鉄にはね、事前予約をすると、変更不能ながらとんでもない割引運賃になる制度があるんですよ。なんとドイツ国内どこま行っても29ユーロ、または39ユーロ。これ、ネット上で誰にでも買える乗車券なので、覚えておいて損はないかも。ちなみにドイツ国鉄の乗車券の発売日は旅行日の3ヶ月(正確には89日)前からです。発売日を狙って買えば、たいがいの乗車券はこの29ユーロで買えたりします。ま、全日空の旅割みたいなもん…といえばわかっていただけるでしょうか。


が、「たいがいの場合」には当然例外があるわけで、それが今回。残念ながら29ユーロ(3900円)も39ユーロ(5200円)も売り切れでして、その次の49ユーロしか空いてなかったのです。で、この49ユーロは実は一等車、日本的に言えばグリーン車の乗車券だった次第。ちなみに、この区間、フツーに買ったら二等車で100ユーロ(13000円)以上しますからかなりお買い得(が、もともとダブリンから直接ベルリンに飛んだほうが時間的にも金銭的にも得だったことは言うまでもないかと)。


せっかくの一等車の乗車券です。わずか12分程度の空港から中央駅までのわずかな距離も一等車に乗ってみましょう。しかも、近郊列車じゃなくて、中距離列車に。


(写真は中央駅にて撮影)


やってきたのはドイツ国鉄ではよく見る2階建て車両。意識してなかったから気づかなかったけど、一等車の区画には黄色い線が引かれていて区別されているらしい。



一等車はこちらと書かれた階段を登って一等車の区画へ。


…ってかこれだけ?


わずか12席の限られた特別な空間…と書ければまあよかったが…



(手前が二等車)


二等車といったいどこがどう違うのよ?


見た感じ、シートの色は違えどシートそのものは一緒。違いを一生懸命さがしてようやく気がついた。


この窓割とシートの位置があっていないことに注目。そ。ほんのわずかに座席の間隔が広い…以上。わかりやすく言えば、座席が4列あるべきところに3列しかない。それだけ。


それだけのために、確か倍の運賃を払うやつが一体全体どこにいるんだ?


早くも一等車の効用に疑念を抱きつつ、フランクフルト中央駅へ。いや、違う。きっとドイツの誇るICE(新幹線)ではとんでもなくわくわくするようなサービスがあるに違いない…と自分に言い聞かせる。


変更の効かない乗車券だったので、ヒコーキが遅れて予約した列車に乗り遅れる…というしゃれにならん事態を避けるために2時間の接続時間を用意しておいた。ちなみに乗り遅れた場合は、普通運賃との差額を請求されます。


2時間の間フランクフルトを散歩…と書けば響きはいいが、なんのこたーない、土砂降りの雨の中ずぶぬれになっただけ。なので詳細は省略。


で、30分ほど前に中央駅に戻る。あ、そうだ、せっかく一等車に乗るんだからラウンジに行ってみよう。ところが、ラウンジの前には


一等車のお客様(普通運賃を払った方)歓迎…と書いてある。


…つまり、まともな運賃を払っていない私は歓迎されないわけね。


昼食の2ユーロほどのパンをホームの端でそぼ齧りながら、ICEの到着を待つ。ああ、なんと空しい。


ICE到着。
(ICEの外観写真を撮ってくるのを忘れてました。気になる人は、Googleの画像サーチでも試してください)。


たった今までビンボーくさくパンをほぞ齧っていたことなどすっかり忘れて、おらおら、そこのビンボー人ども、俺様は一等車に乗るんだぞ…と言いたかったが、特別割引料金で一等車の片隅に乗せていただく身の上、でかい態度はとってはいけない。所詮は私もビンボー人。


車内。


二等車との最高にして最大の違いはシートの配列。二等車では通路を挟んで2席づつ、つまり一列につき4席の配列であるのに対し、一等車では通路を挟んで1席と2席、つまり一列につき3席の配列。これって、日本の新幹線の常識から考えたらいかに贅沢なことかわかってもらえると思う。日本の新幹線って、久しく乗ってないけど通常一列5席の配列だったよね。確かグリーン車が4席の配列だったんじゃなかったっけ。えらい贅沢な空間の使い方。


ただね、考え方を変えるとICEの二等車と日本の新幹線のグリーン車のシートの配置は一列につき4席で同じ。つまりね、ありていに言っちゃえば二等車の4列配置で私には十分満足なんだよ!実際、シートの幅は若干広いのかもしれないが、あまり違いは感じなかった。


で、陣取った席は独りだったので1席しかない側の向かい合わせのテーブル席。これがハズレ。足を組もうとすると、ちょうど足の間にあるテーブルの脚にぶつける。とにかく邪魔。幸い、反対側の席に誰も来なかったのでまあその点はよかったが。


出発して20分だか経ったころか、フライトアテンダント…いや、ヒコーキじゃないんだからそうじゃねえな、なんていうんだ、新幹線アテンダント(なんじゃそりゃ)がやってきた。そういや、「新幹線ガール」とかいうドラマがあったけど、新幹線ガールも新幹線アテンダントも語感としては完全に失格じゃないかな。単純に係と呼ぼう。


係:「お飲み物をお持ちしましょうか?」


おおおおおお、さすがは一等車、ビンボー人どもは13両編成の長い列車の真ん中にある食堂車まで飲み物を買いに行くか、いつ来るかわからない車内販売を待たなければいけないのに対し、一等車にはちゃーんといるんですね。係が。さすがだ。


私:「ビール。ビール」


昼間ですがいいんです。休みなんですから。


数分後、ビールを持って係は戻ってきた。


係:「ビールお持ちしました。4.2ユーロです」


金とるんかい(しかも値上げしやがって)。


結局、一等車の価値ってなんなのよ、と思わざるを得ない。シートなら二等車でも十分満足だし、サービスだって有料。まあ、強いていい点を挙げれば、二等車の客が入ってこないので人の往来が少ない。日本の新幹線のグリーン車が駅での階段の位置からの利便性を考えて、車内の中央に設置されているのに対し、ICEのグリーン車は食堂車をはさんで二等車と一等車が完全に分離されているので人が流れてこないわけ。これはいい点。あとは、各座席にパソコン用の電源が用意されていたこと。これくらいかな。


…なんだかんだ言いながら、2杯目を飲んでるやつ。ビデオを見ていたので時間の経つのが早いこと。



あ、そういえば、ナッツが出てきた。さすがにこれは無料だった。


ちなみに、帰りは二等車のコンパートメント(6人がけの半個室)を予約。早朝の便だったこともあってがらがら、すかすか(つまり座席予約の価値はなかった)。コンパートメントは貸切状態。


(こちらは二等車です)


…ね、十分満足できるでしょ。


こちらは、二等車の全体風景。十分広い。


結論。


ドイツ国鉄でわざわざ金を出して一等車に乗る価値はない。


その点がわかったところで、今日のお話はここまで。ベルリンの話は…気が向いたら書くことにします。