【ドイツ国内ホリデー2021-4】ついにノイシュヴァンシュタイン城


こうして夢にまで見…てない、ただ単にコロナの影響で空いてそうだという理由だけでやってきたノイシュヴァンシュタイン城。ついに城門の前に立った。

ノイシュヴァンシュタイン城の入り口に立った瞬間の印象をごくごく正直に書くと「嘘くせー」。なんかきれいすぎて映画のセット、あるいはどこかのテーマパークにいるような印象を強く持ってしまったのだ。その理由は前回書いた通り。このお城がわずか140年ほど前に建てられたという思いがけず最近の建築だという点。ここが「お城」という中世を思わせるイメージと明らかな齟齬を来すのだ。

ノイシュヴァンシュタイン城はお城の城門にせよ「このお城を外敵から守ろう」という熱意が伝わってこない。その辺も含めてなんとも嘘くさい。

この城門より先は予約をした人しか入れない。しかも、予約があっても指定時刻の15分前まで入れないという徹底ぶり。

というわけで、ここに立っているのはおそらく入場時間を待っている人たち。かくいう私たちも12時予約なのに11時過ぎに着いちゃっているから1時間近くもやることがない。つまり、入場時間2時間15分前にフュッセン (Füssen)駅を出るバスに乗ったのは早すぎた…という結論に至るわけです。

特にやることもなく待つこと30分以上、ようやく11時45分になり城門の中に入ることを許される。自宅プリンターで印刷してきた入場券の確認、スマホに落としてあるコロナワクチン接種証明書を求められ、手指消毒の上入場。ちなみにツアー料金は€13にオンライン手数料が€2.5追加されお一人様€15.5なり。

内部は同じか前後の時刻のガイドツアーを申し込んだ人しかいないと思われ、ほとんど誰もいない。コロナ前の通常時がどんななのか知らないのでなんとも言えないのだけど、通常この場所は人でごった返しているのでは。

狙ったわけではなく、ホントに人がいない。

午前11時55分、いよいよガイドツアー開始5分前となり、お城の中に入ることを許される。

正午のガイドツアー(ドイツ語)は参加者8人。どうも2人ほどいわゆるNo Show(予約をしていたけど現れなかった人)がいたらしい。なぜわかったかというと、入り口で音声ガイドのための機械が渡されたのだが、それが受付に10台用意されていたから。あれ?音声ガイド?

インフォセンターは閉まってました。そもそもこの場所には予約がないと入れない。

そもそもこのガイドツアーは、「ドイツ語」「英語」「その他の言語」のうちから選ぶことができる(ツアーそのものに選択の余地があるならね)。で、「その他の言語」を選んだ場合、日本語を含めたいろんな言語での案内を手元の機械を通じて聞くことができる。逆に「ドイツ語」「英語」ではガイドの肉声による案内。あれ?じゃあなんでドイツ語を選んだのに音声ガイドのための機械を渡されたんだ?

その疑問はすぐに解けた。確かにガイドさんの肉声による案内だったのだが、その声を手元(耳元)でこの機械を通じて聞くことができる。つまり、なくてもいいけど広い部屋などでガイドさんの肉声が聞きづらいなどの状況を考えたものらしい。実際これがあったおかげでガイドさんの声を聞き取りやすかったし。

ちなみにこの「ドイツ語」「英語」「その他の言語」について。「その他の言語」を選んだ際は、音声ガイドで「ドイツ語」または「英語」を選ぶことはできない。つまり、例えば日本語と韓国語話者のグループなら「その他の言語」の音声ガイドツアーを申し込めば問題ないけど、日本語とドイツ語(または英語)話者のグループだと誰かが割を食うということになる。地味に不便よね。

https://www.neuschwanstein.de/englisch/tourist/index.htm
より拝借

ここで残念なお知らせ。内部は撮影禁止。なので内部の写真は一切なし。もっと残念なことに、見学のハイライトとなる玉座の間は大規模な工事中で工事用の足場が組まれており、玉座の後陣の壁画の六人の聖王もカバーが掛けられていて見ることができなかった(カバーにコピーの絵は描かれていたが。上の写真参照)。

それでも玉座の間での説明をしてくださったのだが、頭上には部屋の大きさからしても大きすぎるシャンデリアがあり、あれ、これ最近見たとあるアニメの中で沙都子が落っことしたやつに似てないかなとか考えていた(100人中99人の方はイミフと思いますのでスルーで)。

残念なことを列挙しているだけのような気がしてきたけど、場内のガイドはわずか30分で終了。通常時に少しでも多くの人を場内に案内しよう(そしてがっぽり儲けよう)と考えたことは自明で、かなり各部屋をさくさくと進んでいく感じ。ツアーをさくさく進めるためにも撮影禁止なんじゃないかとかいう穿った見方すらしたくなってくる。

歩いて通り抜けただけになってしまったもののそれでも印象深かったのはオペラを素地に作ったヴェヌスの洞窟。お城の4階に長さ10メートルとかの人工の洞窟を作ってしまったのだから、我らが引きこもり王ルートヴィヒII世の想像力には恐れ入る。

かくしてサクサク三角なわずか30分のガイドツアーは5階の客人の間にて終了。

あ、そうそう、ノイシュヴァンシュタイン城でのコロナ対策は結構しっかりしていた印象。そもそも1つの見学グループが10人という超少人数設定だったこと、各部屋の見学ポイントには黄色い「ここに立ちなさい」という印がつけてあり、確かにそれを律儀に守ればソーシャルディスタンスは保たれるようになっていた。

階下の気の毒なくらい閑散としたおみやげコーナーを抜け、営業すらしていないカフェテリアの向こうにあったのがこのバルコニー。こちらは最大6人まで滞在可。

件の否定され続けているマリエン橋や

見学ポイントに組み込まれている台所を通過の後外へ。外に出て坂を少し下ると、お土産屋とノイシュヴァンシュタイン城を望む場所にあるコインロッカーなどがある。なるほど。ノイシュヴァンシュタイン城には下から来るのが正しいのか。

というのも、ここから坂をさらに5分ほど下ると馬車が待っている広場がありまして、ここまでホーエンシュヴァンガウ・チケットセンター(Ticket-Centre Neuschwanstein-Hohenschwangau)から馬車で登ってこられるのです。言い方を変えると、上り坂を厭って馬車に乗っても坂の途中で降ろされてそこからさらに歩いて登ることになるということ。

おそらくのんびり登っても20分ほど、距離にして1キロほどの道を10人ちょい乗りの馬車を使うとお一人様€7。えげつない観光地価格です。タクシーの初乗り料金で行ける距離でこの値段(注:お一人様…ですからね。4人なら当然€28かかる)。歩け。歩けば無料。その気になればノイシュヴァンシュタイン城からローマにだって徒歩で行ける。俺様は遠慮するけどなっ。

ところが、それでも馬車に乗りたいとかいうアホタレが存在するんですよね。「ノイシュヴァンシュタイン城へ行くのはロマンチックな馬車がいいー」とかいうしょうもないアホンダラが。具体的には我が嫁。

そうなのです。ノイシュヴァンシュタイン城訪問前からお城へ行くには馬車がいいと主張してまして、それをなだめすかして上記のようにSchloss Neuschwanstein Bus Depot経由のバスにしたんですよ。

だってお城に行くには馬車がロマンチック…とかいう意味不明な理論を忘れれば、Schloss Neuschwanstein Bus Depotまでバスで行き、そこからノイシュヴァンシュタイン城を目指すのが正解なのは疑う余地がない。なにせ、Schloss Neuschwanstein Bus Depotは丘のてっぺんにあり、上り詰めたらあとは下るしかないと天神さまの細道で学んだ私(だからもう少しわかりやすい元ネタを選べってのに)。まあ、こうして嫁を説得したものの、「じゃあせめてノイシュヴァンシュタイン城からの帰り道は馬車」と言わば妥協したわけです。あ、一番の大正解は下から徒歩…だわ。時間と体力が許すのなら。

この妥協には意味があって、上りの馬車はお一人様€7なのに対し、下りはなんとそこの奥さん聞いとくれ、半額…なんと半額の€3.5なのだ。落ち着いて考えてみると下り坂の1キロを€3.5も取るというのはひどいぼったくりなのだが、半額と聞いただけで安く感じてしまう罠に見事に引っかかってしまった。

しかも、コロナが心配な嫁様、幌の内側になる後席ではなく前席に座りたいと。前席というのは個人的にも好きなのでそれはいい。なんだけど、聞けば、前席は3人がけ(運転士さん…って言わないか。この馬車を操る人を入れると4人がけだそうな)。いやいやいやいや、ここに大人4人が座るの無理があるでしょ。とか言ってると、おそらくパキスタンあたりの南アジアからやってきたと思われる運転士(?)さんが

「運賃3人分払ってくれるなら2人で使っていいよ」

という謎オファー、あるいはあまりにえげつないぼったくり価格を出してくる。アホな嫁はそれに乗ってしまう。こうして、€10.5払ってわずか1キロほどの道を馬車で下る私たち。控えめな表現でアホタレといいます。

こうしてソーシャルディスタンスを保つべく3人分の運賃を払った私たち。がその1キロの馬車の旅はおおよそ優雅、あるいはロマンチックとは無縁なものだった。

さらに、この馬車の運転士(?)さん、ずっと自分の母国語(と思われる言語)で誰かとスマホでずーーーっと話していた。そんなことでイラつくなと言われればそのとおりだけど、でも正直気分のいいもんじゃなかったことも事実。

こうして€10.5をドブに捨てて…じゃああんまりだから、苦境のノイシュヴァンシュタイン城周辺の観光業者様にお布施をして1キロほどの馬車の旅は終わり、Hotel Müllerの前で馬車を降ろされる。次回はホーエンシュヴァンガウ城へ。まだまだ続く。