Dig-Tエンジン搭載のジューク(Juke)に乗ってみた


Snigel

そらまめ号(日産ノート=ePOWERではないエコスーパーチャージャー付きDig-Sエンジン)を買ってはや6年。6年目の定期点検に行ってきました。

おさらい。日本では石を投げたら当たるほどありふれた車ですが、こちらでは珍しいです。

人生で新車を買ったのはこれが最初です。アイルランドはもとより日本のことも知らないのであくまで想像でしか書けないのですが、どうも車の整備に関して日本と考え方が違う気がします。

私が日本で車を所持していたら、「予防整備」の発想のもとに問題が起こる前に対処します。この部品は5万キロまたは5年で交換だよ…とか言われれば素直にそれに従います。短期的には費用か余計にかかるかもしれませんが、長い目で見ると逆に費用を抑えることになると信じてますし、あと10年はそらまめ号に乗ろうと考えているのです。10年経てば次に買う時は選択の余地なく電気自動車になるらしいので、それまでこの車を最後のガソリン車として乗り潰そうというのが私の計画。

そんなわけでまる5年が経過したわけだから、ブレーキパッドも交換かなぁ、バッテリーは明らかに弱ってるし交換だよなぁ。走行距離は45000キロ程度と年数に比して少ないながらも経年劣化してるだろうからタイヤ交換も覚悟かなぁ…といろいろ想像していたのです。

そんなあれもこれもな見積もりを出してもらったら€1000を超える金額が出てきまして。…いやいやいやいや、さすがにそれはないだろうから様子を見て、交換が必要なものがあれば電話連絡をください…とお願いしました。

代車を貸していただいたのですがこれは話が前後しますがあとに回します。代車で帰宅。

どの部品を交換になるのかと戦々恐々としつつ電話を待っていたのですが、待てど暮らせどディーラーさんからの電話は来ず。ついに車の引き取り時間近くになったのでこちらから電話。

ディーラーさん:「特に部品の交換などは必要なかったので、基本整備費用だけになります」

私:「えっ?バッテリーは相当弱ってたでしょ」

デ:「ええっと、50%ですね…。充電しときます?車は明日までお預かりになりますけど」

私:「お願いします」

電話を切ったあとでいろいろ考えた。費用がかからないことは慶賀に堪えないけどさぁ、ホントにそれでいいの?思えば、オイルとかの完全なる消耗品を除きそらまめ号で交換した部品が未だない。思えばワイパーブレードすら変えてない。ブレーキパッドもバッテリーも次回は交換…だ…よね?日本が過剰なのか、ドイツが適当すぎるのか大いに議論の余地はありそうです。

かくして、翌朝に車を引き取りに行き、点検完了。そらまめ号(ノート)さん、またよろしく。

…と、話はうまくまとまっているものの、実はここからが本題。ディーラーさんで代車をお借りしたのですが、これがすごかった。あるはすごくまずかった。

こちら日本ではお目にかかれないマイクラ。

話のおさらい。去年も代車をお借りしたのですが、去年はマイクラ(=マーチ…なんだけど日本のマーチとは全く別の車)でした。そらまめ号の後継エンジンとなるスーパーチャージャー付きのDig-Tエンジンのその力強さに驚きまして、同じエンジンを搭載したジューク(Juke)とはどんな車なんだろう…とうお話を去年しました(←できれば読んできてください)。

今年もまたマイクラに乗れると楽しみにして行ったのですが、私の期待は斜め上で裏切られることになります。この日お借りしたのは

Juke(ジューク)

これは素朴に嬉しいです。でもさ、これって試乗車じゃないの?日本だったらありえないよね。日産のディーラーさんで代車をお借りしたら、マーチかノートで御の字、現実には軽自動車のデイズあたりになりそうな気がする(異論反論あればコメント欄にてお願いします)。

かくして、慎重に車を発進。するとついてきた嫁がとんでもないことを聞いてくる。

「この車はどれくらい走ってる?」

あー確かに真新しい感じはするね。とオドメーターを見ると

311キロ。自宅に到着後撮影。なので、お借りした時は280キロとかだった…。

…まじですか。新車も新車じゃないですか。なんでこの車を代車として出すのか全くの謎。まあ、いい方に考えればこんな車を貸してくださるのですから信用されているということなのでしょうが。

せっかくお借りしたんだから、とことん試乗してやるとばかりに気をつけつつ運転してみます。

まず留意すべきなことは、ジュークははマイクラと同じ117馬力のDig-Tエンジンを使っていること。ですが、車の自重がマイクラより100キロくらい重いらしい。当然の結果としてマイクラよりやや愚鈍な気がする。なんだけど、エンジンが2000回転を超えたあたりからスーパーチャージャーが作動するのかくーっと引っ張られる感じがある。自分のDig-Sエンジンのノート(98馬力)にはない感覚で想像した以上に加速する。悪くない感じだわ。

同じ日産車ということもあってか、操作系は同じものが多い。インテリキーはどう見ても同じものだったし。そういう意味では違和感は少ない。

マイクラを借りたときと同じように高速道路経由で帰宅してみた。マイクラと同様160キロくらいまでは問題なく出せる。むしろマイクラよりも安定している気がする。160キロ以上は下り坂を使って170まで出してみたけど、加速に時間はかかるし、明らかにガソリンを無駄に燃やしている感じがする。たぶんこのあたりがこの車の限界。こんなものを公道で合法的に試せるのはたぶん世界広しと言えどドイツだけだよね。

というわけで、うちの庭で見分開始。

まず今ふうのご尊顔を拝見。あれ?新しい日産のエンブレムじゃないのね。個人的にこのオラオラ系の顔はあんまり好きじゃないんだけど、先代のジュークのあの顔よりははるかに好感が持てる。先代の顔を引き継いでいるのにこちらのほうがいい感じなのは全くを持って日産マジック。

運転席周り。ノートより質感も高いし、明らかに格上の車。

出発時にちょっと戸惑ったのがこれ。電動サイドブレーキ。でっかい棒がなくなった分センターコンソールが自由に使えそう。

ギアはまた6速マニュアル。

ハンドルは今どきのD型。それにしてもハンドルにボタンが20個近くついてるって人によっては卒倒するレベルだよね。どれも使わなくても運転できるんだけどさ。左側がオーディオ関係で、右側がプロパイロット関係。

そう。プロパイロットがついにヨーロッパ版の車にも実装されたらしい。

残念なことに、私のそらまめ号はエマージェンシーブレーキすら実装されていないのに、こちらは日産自慢のプロパイロットが実装されている。5年での月日の進化を実感。翌日ディーラーさんにそらまめ号を引き取りに行くのにまた高速道路を使う。今度はプロパイロットでいろいろ遊んでみる。

感動した。

なんの予備知識もなく使い始めたのだが、ハンドルの右側の青いボタンを押して、車速をセットすれば、あとはその速度でレーン内を勝手に走ってくれる。前の車に追いついたら車速を落とし車間を一定に保ってくれる。おいおい、革命的な出来事じゃねえかこれ。

ただし、減速は自分の意志で行わないからなんとなくギクシャク感がある。車間は特に設定をいじらなかったら前車から2秒後くらいの丁度いい距離で走ってくれる。

車線の変更は手動。第2車線に入り、前方に車がいないと、設定された速度まで加速。これすげえよ。高速道路での運転ならほぼ自動じゃん。

あれ?ってここで思った。日本のプロパイロット採用車は当然オートマじゃないですか。対してこのJUKEは6速マニュアル。ギアを変えたらどうなるんだ?

130キロで自動巡航中、6速から5速にわざと落としてみたところ、そのままオートパイロットは維持された。もし渋滞とかで6速が保てないような速度まで減速したらどうなるのかな…と思ったが、残念ながらそのような状況に遭遇しなかった。

思ったことはこれを一度使うともうもとには戻れないんじゃないだろうか。勝手に車が車間距離をとってくれると思ったら突っ込んでいった…とかいかにもありえそうな話。運転スキルは確実に上がらないだろうし、あ、最終的には全部自動運転になっていくというオチなのか。

話を戻して後部座席。

まあ、必要にして十分な広さはあるが、明らかにノートのほうが余裕がある。ジュークのほうが車長が長いのになぜだ?やっぱりノートの後部座席の広さは異常だわ。

トランクルームは、それ相応の大きさという感じ。下をめくるとスペアタイヤのスペースはあったもののスペアタイヤは搭載されておらず。

こんな見分をしてると嫁がなんだなんだと出てきたお隣さんと雑談してる。

嫁:「え?この車?買ってません。代車です。ダンナ(私)は気に入ったみたいだけど、2ドアなのがねぇ」

私:「2ドアじゃねえ、5ドアだっ」

アルファロメオかなんかに同じようなのがあった記憶があるのですが、後部座席のドアノブが窓枠の中に隠されていて確かに見つけづらい。だからって2ドアだと断言するなよぉ。百歩譲っても3ドアだろ。後ろにもあるんだから…。

エンジンルーム。エンジンが横置きなのはわかるけど、ラジエターにも変な黄色いノブがついてる。なんじゃこりゃ?まあ下手なことは言うまい。エンジンはちゃんと載っかってました まる。

とりあえず、いいよ、この車。ほしいっ。

ああでもうちのガレージ狭いんだよなぁ。たぶん収まらないだろうなと思い、実験。横幅はともかく、長さはぎりぎりになると思われる。というのも、ガレージの1/4くらいは義父の隠れ作業場になっていて、車を置けるスペースはそらまめ号を基準に設定されているのだ。

ジュークはノートより一回りでかい。具体的にはノートの全長は4100mmに対しジュークは4210mm(+110mm)。幅は1695mmに対し1800mm(+105mm)。高さは1525mmに対し1595mm(+70mm)。縦横それぞれ10センチの差はでかい気がする。高さも乗った瞬間に実感した。

気をつけてバック。そらまめ号でアラウンドビューモニターを使い慣れているから特に違和感なく使えるものの、アラウンドビューモニターも進化してる。どの位置に障害物が接近しているかなどがわかりやすくなったし、障害物への距離により警告音が変わるようになったらしい。よく言えば進化した。悪く言えばうるさい。

結果から言うと、前後はギリギリだったものの駐められた。正直使い慣れていない車で輪止めもないのにこの距離まで寄せられるのはアラウンドビューモニターのおかげ。これなしではたぶん駐めることはできなかったと思う。

こちらは前。地面の色が変わるところにシャッターが来るからホントにギリギリ。

車はガレージに収まる。エンジンはそらまめ号より力強く、車高が高いから運転していて気持ちがいい。これはいいな。やばい、欲しくなってきた。

車を返す時に満タンでお返ししたのだが、90キロ走ってちょうど10リッター入った。…ってことは燃費はリッター9キロ?いやいやいやいや、確かにちょっとぶん回したり170キロで走ってみたりしたもののさすがにそれはないと思う。おそらく前に借りた人がセコくも満タンで返してないとかそんなオチだと思う。そうは言っても燃費はそらまめ号よりは悪いだろうなという想像はつく。

車を返す時にそらまめ号がすでに駐車場に停まっていたのでちょっと狭かったけどわざと横に駐めてみた。横幅がかなり広いのがわかる。間違いなく格上の車だね。これ。

そして、わがそらまめ号に乗り込むと、なんかがっかりした。運転席の視点も低いし、何より、なんかドア周りあたりのプラスチックから来る安っぽい質感とかなんか「ひとつ上」に目覚めてしまった感じ。

なんてことしてくれたんだっ!ひとつ格上の車を見せられたら欲しくなるじゃないかっ…とディーラーさんに文句を言いたい気分。

まあ、実際に買うことはないと思う。€25kというお値段もそうだけど、この車が絶対に必要かというと…どう考えてもそらまめ号で事足りてるし。なによりこの明日をも知れぬコロナ禍の世。新車なんて買う余裕はござんせん。

嫁に聞いてみた。

「私はマイクラのほうが好きだったな」

ほう?なんで?

「あのオレンジ色のほうがいいなと思った」

…そうですか。