新しい家族:ペンペンと愉快な仲間(当社比)

数週間前、ドイツのどこにでもある某デパートのおもちゃ売り場。ぬい(ぬいぐるみ)売り場前で立ちすくむちょっと心配な東洋人がおりました…って自分のことなんですけど。目線の先にあるのはペンギンのぬい。おそらく客観的に見たら私の目はアンドロメダ星雲の先まで逝ってしまっていたと思われます。


ほ、ほしい。


…とはいえ、です。コドモがいるわけでもない三十代の男、こんなもん「ほしい」というだけで買うのはやはりまともとはいえない。この日は後ろ髪を引かれつつも諦めたんですよ。…そして後悔したので決めた。もし、このペンギンのぬいが今度来たときに売っていたらこれは運命だ。買おう。


そして、金曜日。同じぬい売り場に帰ってきた私。


いた(感涙)


次の瞬間、そのぬいを小脇に抱えてレジに向かう私。


その目線の先にあったもの。


これもかわいい。


いや、ダメだ。浮気しちゃ。今日はペンペン(ペンギンのぬいだから、ペンペン、安易だのなんだの文句のあるやつは一歩前に出ろっ)をうちに連れて帰るんだ。そして、私の目線の先に他のものも捉えたが、これもあえて見なかったことにする。


ペンペン、袋から出してみました。


今日から君は、うちの家族の一員だよ(マテコラ)。


というわけで、ペンペンをダブリンまで連れて帰ることにしました。


SF作家の新井素子さんによるとぬいの自我が発生するのは袋から出したときだそうです。つまり、この瞬間にペンペンの自我が発生したと思われます。…なんだかドン引いた読者さんのほとんどがブラウザを閉じてしまったようですが、残ってくださったごく一部の皆様のために続けます。


日曜日の帰りのヒコーキ。自我の発生したペンペンにすまんすまんと謝りつつ再び袋の中に戻ってもらいました。そして、ヒコーキに乗った。乗り換え地のフランクフルトまではよかったが、フランクフルトの空港の搭乗時にペンペンの大きな袋を見咎められた。


係:「その袋、大きすぎます。預け入れとさせていただきます」


…ペンペン、没収される。


連行されるペンペン。


ですよねー。やっぱり規則は守らないといけません。とはいえ、やっぱり、帰りに…


ペンペンのコドモを買い足したせいで袋が大きくなりすぎたんですね。わかります。


ドイツってねガソリンスタンドとかごく一部を除いて日曜日はすべての商店が休業のはずだったんですよ。なのに、この日に限ってデパートも含めて店が開いていたんですよ。で、ペンペンジュニアとの約束を思いがけず果たすことになったんです。「次に会ったら必ず連れて帰るからね」って。あ、この子の名前は安易ですが、ペンペンジュニアです。最初はペン子という名前も考えたんですけど、さらに安易なのでやめときました。


…あれ、誰も読んでない。…まあいいや。退散っ。