りんごの木の下で被害妄想について書く。

ごぶさたをしております。9月はがんばって更新しようと2,3,4日と連続更新をして…ものの3日で文字通りの3日坊主に。ふときがつくとほとんど4週間ぶりの更新です。皆様、お元気ですか。


10月になったのに…なぜか今日は暖かい。20度は余裕で超えていると思います。ドイツの某隠れ家、実は庭にも家の無線LANが届くことに気がついて、こうして庭で日記の更新を始めた次第。


(目の前の風景)


頭上にはりんごの木。NASAによると1/2000ほどの確率で、私の頭の上に落ちてくるらしいです(ガセ)。一つ食べてみたけど…正直あんまりおいしくなかった。少なくとも無農薬には違いないけどね。


…実に平和です。


こんな平和な週末ですが、会社では相変わらずです。週の半ば、社長さんの秘書からこんなメールが届く。


「明日、本社からお偉いさんが来るので机回りをきれいにしておくこと」


たまに外部からの視察とかがあるのでこんなメールが来るんですよ。まあ、私の場合たいがい無視。


(資料映像。1年ほど前に撮影された会社の私の机。PCが変わったりしていますが、まあおおむねこんなもんです)。


なんだか知らないけど、視察に来られた外部の方って、他の部署には行けどITには興味がないみたいなのよねん。いや、社内だってそう、社内の人ですら、ITの周りには近寄らない印象を受ける。まあ、だからといって、机を片付けなくていい理由にはならないんだけどねえ。


閑話休題。もし社内で好きな人ができたら、その人の人となりを判断するいい方法を教えします。それはずばり、キーボードを見ることです。デスクトップサポートという仕事上、いろんな人の机にいき、その人のキーボードを触るわけですが、けっこう多いのよ。ギトギトぬらぬらしたキーボードが。触ってて気持ちよくない。どんなにキレイにメイクをした女性でもキーボードが汚かったらあとは推して知るべしだと思います。なんかで呼んだ生地によれば、キーボードはトイレの便座より汚い場合があるとかないとか。


そんななかで、会社の中に約一名、「この人のサポートだけはしたくない」って人がいるんですよ。その人、とあるスキルの持ち主で会社にはなくてはならない存在。頭もいい。反面見かけは、日本人なら週末アキバの(自重)に通ってるでしょ…ってな勢いのまあ、ヲタクそのものを具現したような人。で、その人、とんでもない悪癖があるのです。それは


指をなめる。


いや、俺だって、考えに煮詰まったら指なめたりしちゃうことあるよ…なんていう人、ちょっと聞いてほしい。そうじゃないの。その人、下手をするとこぶしを口に入れんばかりに舐めてるのよ(あんまり想像したくない情景かもしれませんが)。というわけで、この人のキーボードはとんでもないことになっているわけです。


つばまみれ。


よーわからんという人、次の写真を見ればわかってもらえると思う(わざと解像度を下げて、わかりづらい写真にしているのは私の「心遣い」です…たぶん)


肘掛までつばまみれ(白く変色してるでしょ)。


私がこの人のサポートだけは遠隔操作で済ませようとしていることはご理解いただけるのではないかと思います。フォロー入れときますが、ホントに頭のいい人なんですよ。この人。


話しが大いにそれました。…ってか何の話だっけ。あ、そうそう、会社にお偉いさんが来るという話でした。


今回の視察、直属の部長さんからもメールが届く。


「視察団の一人が、本社のアイチーの偉い人だからこの部屋にも視察に来られる可能性が高い。一部のものの机があるべき姿とは思われない部分があるので、かならず整理整頓しておくように」


…なーんか名指しこそされなかったものの、個人攻撃を受けたと思うのはきっと被害妄想というやつでしょう。


というわけで、片付けましたよ。私の机。そして、翌日の朝。副社長の秘書から電話がかかる。今すぐ副社長室に来いと。行きましたよ。副社長室。


副社長:「重役会議室のプロジェクターにこの(パワポの)資料を準備しといて。9時からプレゼンやるから」


…ってもう8時50分なんですけどー。どーしていつも直前に言うのよ。


慌てて重役会議室に行くと、見慣れないお方が約3名。「すいませーん、ちょっとPCセットアップさせてくださいね」といいながら入る。…無視される。


番組の途中ですが、今、1メートルほど右にりんごが落下しました。こりゃ頭上にも来るかも。以上、臨時ニュースでした。


で、PCの電源を入れながら思った。誰だろう、この人たち…で、もちろんすぐに気がついた。件の「本社のお偉いさん」たちだわ。まー、ヨーロッパの果てのアイルランドのこんな小さな関連会社にまでようこそおいでくださいました…と心の中で思うが、もちろん口には出さない。


私のやらなければいけないことは、ホントに単純。PCを立ち上げて、ネットワーク上にあるプレゼンテーションを開けばいいだけ。別にITじゃなくてもできる…ってか、PCの電源の入れ方を知っていれさえすれば、サルでもできる。


なのに!このPCがなかなか立ち上がらないのだ。誰だ、こんなにログインスクリプトにごちゃごちゃいろんなものを入れた莫迦は(←自分)。立ち上がるのが遅くなるだろうが。


私は所在なげにプロジェクターを見つめるがプロジェクターの表示はまったく変わらない。意味もなくBlackberryをポケットから取り出して、来てもいないメールの確認をしたりするが、何も起こらない。き、気まずい。


時間は9時になる。ここで私は悩み始める。PCを強制的に再起動させて1からやり直すか、それともこのままあと1分待ってみるか。1からやり直すと、もし何らかの理由でスクリプトが止まっているなら再起動で始まる可能性は高い。が、もし、ただ単に時間がかかっているだけなら、また1からやり直すことになり、さらに時間がかかることになる。


時間にすればほんの数分ですよ。だけど、この気まずさといったらなかった。これでお客さんが話しかけてきてくれればこっちもくだらない冗談の一つでも飛ばすところだけど、向こうは完全に私の存在を無視してるのだ。いや、完全に無視されているならそれはそれでいいけど、なんとなく視線の端で私を見ているような気がした。たぶん被害妄想だけど。


その気まずさに耐え切れなくなってPCの電源ボタンに手をかけた。すると、うわっ、社長と副社長が入ってきた。これは私、絶体絶命のピンチ。


社長はお客さんに対し、大げさなしぐさであいさつ、副社長は私の耳元まで来て、「だいじょうぶなんでしょうねえ」と聞く。「もちろんです。アハハ」と私は笑って見せたが、その笑顔は引きつっていたに違いない。そして、「大丈夫じゃなかったらクビよ」と言下に匂わせていたと思ったのも、被害妄想に違いない。


私は祈るような気持ちで画面を見つめていたら…なんとPCは何事もなかったようにログイン画面にまで進んだ。そう、スクリプトではまってただけだったのね。さっとログインして、資料を表示して会議室から逃げ出しましたとさ。…どっと疲れた。


ちなみにその後、このお客様方がITの部屋に視察に来られることはなく、まっすぐお帰りになられました。