思いつきGalway日帰りWa Cafe訪問(2=とりあえず完)

今日のお話、基本的にこの動画を見てくださった…という前提でお話を進めてます。正直この動画自体がいつまでネットに残っているかわからないから元の動画が消えたら話がわけわからなくなるなあ…という恐れがあります。

 

なので簡単に要点をまとめておくと、リンク先の動画は某テレビ局の「世界で頑張る日本人」的な内容の番組で、ゴルウェイで日本食レストランを経営する日本人女性を取材対象にしています。「本物の日本食」にこだわり努力されている、そして、街中に出来た中国人が経営する大型のなんちゃって日本食レストランの開店で苦労されている。それに対し、日本人の匠の技で反撃を試みる…という内容のお話です。

 

というわけで、酔狂にもダブリンくんだりから片道3時間近くかけてゴルウェイまでやってきた私。途中は端折るけど、てくてくお散歩の後Wa Cafeに突撃。ちなみに端折った部分はけっこうでかい。この日は15キロ近く歩いてますから。

 

小さな町のこと、10キロ以上も歩くうちにその気はなくても市場調査が進んでしまう。とりあえず、三軒目となるKappa-yaなる日本食レストランをWa Cafeさんからさほど遠くない場所に発見。机上調査をしていないので見落としはあるかもしれんけど、街の規模に対して日本食レストランは比較的多いかなあ…という印象を受ける。例えば日本で人口8万人程度の街(飯能市とか長岡京市とか中津市とか)にイタリアンレストランが3軒あったら…多いと思いませんか?

 

ライバル店があるのみならず、シロート目に見てもWa Cafeの立地条件はかなり悪い。しかも、私の目が節穴なことも手伝って目立たない。こんな「左折できないのに左折の案内がある標識」を撮影して悦に入っていたのだが、この写真を撮っていた瞬間にWa Cafeがすぐ左真後ろにあるとは気がつかなかった。

 

目抜き通り(その名もHigh Street)から続く通りがそのままレストランやカフェが立ち並ぶ通り(Quay Street)になるのだが、そこからWa Cafeはかなり離れている。以前に紹介したシーフードレストランのある通りとも異なる。つまり、一見さんを期待できるような場所にはない。完全に常連さんが中心になる感じ。それ自体悪くないんだろうけど、ゴルウェイが観光でかなり潤っているだろう事実から考えるとそれだけじゃ心許ないかなあ…とシロート考えながら思う。

列車の中で美味しくもないフルーツケーキを食べたこともあり、お腹がすいておらず、午後2時半まで散歩をして訪問を遅らせる。実はこうしたほうが店が空いていてあわよくばお話を伺えるんじゃないだろいうかという下心もあった。というわけで、もうお客さんは引いただろうと思われる午後2時半にお店に突撃。

 

ね?目立たない…。悪目立ちするよりいいのかもしれんけど。

なのに、午後2時半というかなり中途半端な時間にも拘らず、店内はほぼ満席。…もっともたったの16席しかない小さく居心地の良いお店なのだが。個人的にはこーゆーこじんまりとしたお店、好き。数回前の日記で紹介したカフェとか、美味しかったんだけど、ショッピングモールのフードコート並に混雑していて…もう…ね…。

お客さんのいなくなった退店時に撮影。

通りに面した二人が横並びになれるテーブル席が、行き交う観光バスを眺めつつ(注:歩行者はほとんど行き交ってない)居心地が良さそうだったのだが、それでは厨房やカウンターに背を向けて中の様子が伺えなくなるので一番居心地の悪そうな中央の席に座る。…うん、こうやって文字にするとやってることはストーカーまがいだわ。ち、違うんだ。ぼ、ボクは純粋にゴルウェイに根を張る日本人にひと目会いたいだけなんだ(←人はそれをストーカと呼ぶ)。

 

こうしてキモいストーカーはお店の観察開始。件の日本人の方の姿は見えず。ランチメニューを見て悩む。このコロッケも気になるなあ。ラーメンはイマイチ気が進まないし(ちなみにダブリン某所の日本食レストランではラーメンは地雷らしいです…あくまで店舗を特定しない未確認情報ということでよろしく)。

メニューにあった一番搾りを注文。スーパードライは人を莫迦にしていると感じる人(すごく個人の意見です)。

ビールを注文後、ホール係の女性に笑われるほど悩んだ挙げ句に羽つき餃子鉄火巻きを注文。

…って羽つき餃子ってなんやねん。

 

その疑問の回答はこちら。

 

これを見た瞬間に、あれ、注文が誤解されてお好み焼きが届いたのかと思った。だが、ひっくりかえしてみると…なるほど餃子だわ。そして、これが「羽」なのね。言うまでもなく、日本でよく見るような冷凍食品の餃子ではなく手作り。メニューの最初に書かれているところからすると、店の看板メニューなのかなと愚考。

 

問題は…餃子だけ…やってきたこと。旅館の懐石料理ならまだ知らず、餃子だけ、ご飯なし…というのもちょっと辛いかなあ。もしかその旨伝えればよかっただけのことかもしれないけれど、変なところで気を使う日本人の私、もちろん黙っていた(それでいてここに書いているんじゃ余計タチが悪いとも言えるが)。日本の「定食」だの「ラーメンセット」が懐かしい。ちなみにこれを書いている私の頭の中ではさださましさんの私は犬になりたいがリピート再生されている。

もっとも、これはWa Cafeさんだけの問題じゃなくて、ほかの日本食レストランも同じようなことになるけどね。ちなみに、私はお酒と一緒に御飯を出さない…という日本の風習が理解できない変な人です。

キリンのあとにアサヒを注文。グラスを替えてくれなかったのは減点。うん。きっと環境のためだね。もちろん男は黙って飲みました。

そして羽つき餃子を片付けた頃にやってきた鉄火巻(待て、もしかして、餃子を食べ終わるのを店員さんは待っていたとかいうすごいオチがあるのかな)。美味しい。日本以外の場所でこれだけのものをいただけるのなら文句のつけようがない。強いて言えば、ツナの切り口がちょっときれいじゃなかった…かな。ちなみに「スパイシー鉄火巻」というのがあったが…とりあえず日本食に近いものを試してみるという目的があったのでやめておいた。

 

件のテレビ番組を見た限りでは、件の日本人のオーナーさんは休みなく働いている印象を受けた。…なのに、忙しいと思われる土曜日のランチタイムなのに姿が見えない。ああ、あれはテレビの演出なんだな、なんだかんだでちゃんと休みを取られているんだなと変に安心する。

ずずずとお茶を頂いているうちに午後4時ちょい前。ディナー前の休憩時間になる頃なので、ご迷惑だろうと御暇することにする。なんだかんだで件の日本人の方とは会えずじまい。ホール係の地元の大学生と思しき女性に聞いてみたら、彼女は日本で寿司修行中とのこと。

なんですと…と自分の運の悪さを嘆くより前にすごいなあ…と敬服してしまった。のほほんと生きている私などと違い不断の努力をされているわけですね。そして何よりすごいと思うのは、どれくらいの期間かは知らんが、日本で寿司修行をされているならある程度の長さだろう、その間にも店を任せられる人を育てられたということ。ちなみに、店内で働いていたのはホール係のおそらく地元の女性一人と、厨房にお二人。見た限りでは日本人どころかアジア人らしい店員さんはいなかった。

 

いよいよ店を出ようか…という頃になって、日本人の女性が店に入ってくる。常連さんなのか明らかに店員さんと顔見知りの様子。私がアホ面でその様子を見ているとその女性、突然話しかけてきてくださる。「日本人ですか」って。はいと答えると、「お茶でもいかがですか」と誘われる。40年超も生きてきたけどはじめての体験。言うまでもなく尻尾を振ってついてゆく。

 

この方、身バレを防ぐために細かいことを書くことは避けるけど、ゴルウェイ近郊にお住まいの人らしい。この人と30分とか雑談する機会を得たのだが、おかげで今日のお話をより正確に書くことができる。

この雑談のために場所を探したのだが、まあ、びっくり。表通りのパブは(スポーツイベントでもあったのかもしれんが興味が無いので知らん)どこも立呑客が出ているほどの盛況ぶり。ゴルウェイの潜在的な集客力はすごいと思う。結局偶然空席のあった表通りのカフェのテラスに落ち着く。

Dirty Chai Cafeなるものを初めていただく。エスプレッソとチャイカフェを混ぜるというびっくりの飲み物。…なのだが、びっくりするほどおいしかった。

 

それはともかく、まずあのテレビ番組、あの「ライバル店」といい、なんていうのかな、仮想敵を作り出して話をわかりやすくするためのテレビ上の演出だろ…くらいに斜に構えてちょっと醒めた目で見ていた(ので実際どーなのよと見に行った)のだが、件の女性が傍目から見る分にはライバルレストランの影響は少なからずありそうとのこと。

そして、素直でない私は勝手に「テレビ上の演出で四六時中仕事しているように見せてるんでしょ」と思ったのだが、実際その女性がいつお店に行ってもお仕事をされているらしいこと。このあたり、この女性から話を伺わなかったら、たぶんこのお話は別の書き方をしていたと思う。そういう意味では、ゴルウェイの街を10キロ以上歩いて、呑気にお茶をすすってぼーっと時間を潰したことで、閉店間際にやってきたこの方と偶然出会えたことは僥倖だった。

 

ただ、このオーナーさんと会えずじまいになったことで、私の好奇心(いやいや、断じてストーカーじゃないってば)はさらに刺激されてしまった。ちょっとダブリンから遠いのが問題ですが、近いうちにアポなし取材を敢行しようと思います。というわけで、続きを刮目して待て(更新するから…たぶん)。