「森のレストランビスマルク塔」へ雪山を登ってみる

2月中頃のドイツの寒さは本物でした。マイナス7度ですよ…最高気温が。…なんだけど、天気は良かったんです。からっと晴れてくそ寒い…という状態。そう、問題は「からっと晴れている」。こうなるとなんとなくお出かけできちゃうんじゃないかと思ってしまった。日曜の朝に朝ごはんを食べながら外を見た時に。

うちからそう遠くないところ…車で30分圏にHarzという山があり、かなり広大なエリアが国立公園にも指定されているんです。その気になれば1週間くらいのトレッキングなんかも可能です。むろんグータラな私がそんなことをしようと思うはずもなく、この日も数キロのお散歩コースを試してみようと。

 

 

向かったのはBad Lauterberg im Harz(グーグル読みでバート・ラウターベルク・イム・ハルツ)この村から数キロ歩くと、丘のてっぺんにレストランがあると。面白そうじゃん。行ってみよう。あまり下調べをしすぎると面白くないので、これ以上のことは調べずに現地に向かいました。

 

 

日曜日のBad Lauterberg村は人気もまばら。そりゃそうだよなあ。このくそ寒いのに誰が出かけるやら。特に日曜日は店も閉まっちゃうしなあ。おかげで、街の中心の駐車場もガラガラで、しかも無料。よし、出発だ。

 

 

それにしてもお寒うございます。現在地の気温-4℃。体感気温は-11℃とか(実際-4℃という感じではなかった)。ただ、ここまで寒いと逆に清々しいというか、痛気持ちいいというのか、例えて言えば健康サンダルを履いた足裏のような気分…うん、意味不明だね。

 

手は手袋をしないと耐えきれないくらい寒いのだが、不思議なことにこんな寒さでも、顔は寒さに耐えられるんだよねぇ。面の皮が厚いとはこーゆーことを言うのだろうかとかわけのわからんことを考えつつ歩き始めると次の角は…

 

 

…いきなり21度の坂ですか。

 

幸い凍ってないからいいけど、この道が凍結したらもうドリフの「急な坂道」になるよ。平成生まれの「何言ってんのこの人」という人はリンク先の動画でも見てきてください。

 

 

この写真でこの坂の凄さがわからんというお方、下の写真にはい注目―。

 

 

お分かりいただけるでしょうか。低い位置にある家の2階がお隣さんの1階の高さ…わずか数メートルでそれだけ登るわけです。道が凍ることを思うとここには住みたくないです。

 

 

そんな坂を上り詰めると道は分岐してまして、細い方に進みます。

 

 

ちょっと雪が気になるようになりました。車で来られるのも、ここいらまでのようです。ここからはハイキングコースっぽいところをどんどん登ります。

 

 

写真でご理解いただけるか、これ、もうつるっつる状態で滑るのです。私の靴、まさか通勤用の革靴を履いてくるような愚は犯してないものの、フツーのトレッキングシューズ。思えば雪歩き用にはできてないのかもしれない。踏み固められていない新雪の部分をなんとか進む。…ってさ、私たちはメシを食べに行こうとしてるだけなんですけどね。

 

 

そう、私たちは丘のてっぺんにあるレストランにお昼ごはんを食べに行っているだけなのです。道のりでたったの1.7キロ、標高差で220メートル。この程度の話なのでお散歩がてら…という軽い気持ちだったのだが、雪は想定外だった。

 

 

当たり前の話、富士山の山頂にだってブルドーザーが物資を運んでいる今日び、レストランの従業員さんがまさか権兵衛さんみたく背中に肉や玉ねぎを背負って登っているとは思えない。そう、ちょっとくらい距離は遠くなっても安全な車道があるに違いないのです。このつるつるの道を歩いて戻るのはいかがなものかと思い、帰りは遠くても安全な車道で戻ろうと決める。

 

 

2キロもないほどの距離に1時間ほどかけてようやく丘のてっぺんのレストランに到着。…レストランというよりは山小屋ですな。その名はWaldgaststätte Bismarckturm、訳せば「森のレストラン ビスマルク塔」になる。そのまんまですな。

 

 

50席ほどしかない山小屋…じゃなかったレストランはほぼ満席だったのだが、幸いにして窓際の特等席に座っていた人たちが席を立ったのでそこに座る。

 

 

窓の向こうにはスタート地点の村が見える。ああ、自分のユニクロのジャケットをどけてから写真を撮ればよかったのに…撮る人のセンスが透けて見えますな。

 

 

こちらがお昼ごはん。鹿肉をクランベリーソースにて。美味しい美味しくない以前に、ドイツのイナカあるあるで量がすごい。日本なら「メガ盛り」と言われるレベルじゃないだろうか。

 

美味しいか美味しくないかで言えば…まあ美味しかったと思う。小一時間待っただけのことあってちゃんと作ってあったし。

 

窓からの逆光で…ホント撮る人のセンスの問題だわ…。

 

こちら嫁のシュニッツェル。「マッシュルームが缶詰だった」とは嫁の弁。

 

 

遅い昼食を終えたところでビスマルク塔へ登ってみましょう。

 

村とはたった200メートルほどの高度差なのに、もっと登ってきたように見えます。

 

駐車場に車を停めたのは午後1時前。レストランに着いたのは午後2時過ぎ。なんだかんだでご飯を食べ終わったのは午後4時前。そろそろ戻らないと日が暮れる。

 

 

このように、従業員さん用と思われる車が三台止まっている。ということは、除雪がなされた道があるってことだよね。そう、遠くても、安全な道で下山しよう。ああ、なんて賢いアタクシ。

 

 

…と思ったのだが、車道も全然除雪されていない。のみならず、道は下っていないわ、明後日の方向に向かっているわ…。それにさっきの写真に写っている車、スズキのジープとスバルのインプレッサ…奥のワーゲンのミニバンは知らんけど、どー見ても四駆ですね。それでも私ならチェーンをつけてでも登ってきたくないですが。

 

 

ようやく下り始めた道を振り返って撮影。スキーの初心者コース…と言っても信じてもらえそうな感じです。たぶんスキーできてたら数分で下山できたと思う…んだけど、ツルッツルに滑る道を一歩一歩慎重に進むのでまったく進まない。慎重に進んだにもかかわらず何度もコケた。

 

 

1キロ程度は車道を歩いていたのだが、いつの間にか車道ともはぐれてしまい、山の稜線っぽいところを歩くハメに。こうなると、遠回りした理由など全くなくなってしまった。

 

 

この先グダグダと書いてもしょーがないから省略するけど、結局行きの倍以上、4キロの道のりを歩いて下山。村に降りてくると…雪などどこにもない。この話のオチも…どこにもない。