フランクフルトの空港で再び乗り継ぎに失敗するの巻(下)

2週間連続してフランクフルトでの接続に失敗した私。が、くされエアフランスとは天と地ほどの扱いの差を受けた私は文句などあろうはずもなく、日曜日に再びフランクフルト経由でダブリンへ。友人がフランクフルトは強風で大変らしいといっていたが、私は別に真に受けていなかった。
 


Hannover空港に到着して私の目は点に。
 

 


フランクフルト行きの最終便、キャンセル。
 


私のいつも使うルート、ダブリン発のフランクフルト行きの最終便、フランクフルト発Hannover行きの最終便、Hannover発フランクフルト行きの最終便、そしてフランクフルト発ダブリン行きの最終便と、すべてが最終便どうしの接続。これの意味するところはダブリンを出るのは午後6時、Hannoverを出るのは午後7時と、金曜日は一日仕事ができ、日曜日は夕方までのんびりできるのだ。
 


反面、特に夏ダイヤではフランクフルトでの接続時間は最低所要時間しかない。最初のヒコーキが遅れると、一泊する羽目になるわけ。で、フランクフルト行きがキャンセルされたことがわかった現在時刻は午後6時。どう考えてもこの日のうちにダブリンに帰り着くとは思えない。
 

 


搭乗手続きカウンターから発券事務所へとまわされた私。
 


係:「申し訳ありませんが、強風のためご搭乗予定のフランクフルト行きはキャンセルされました。今日中にダブリンに着くためには…今まさに出発しようとしているプラハ行きに乗ればプラハで…あ、ダメだわ。エアリンガスとは振替輸送の合意がないわ。…お客様のご希望はなんでしょう」
私:「うーん、明日の朝の11時までにたどり着けるならそうしてほしいな(そしたら会社に遅番に急遽振り替えてもらえるから)」
係:「翌朝の6時のフランクフルト行きに乗ればダブリンに午前11時35分に到着…ちょっと遅いですね。あ、6時50分に出発でダブリン着10時35分という接続がございます…1時間早いですね」
私:「じゃ、それにします」
係:「それでは空港のホテルをご用意します」

 


前編で書いたとおり、くされエアフランスではホテルなど出ずに空港に放り出された。そっか、ルフトハンザは乗換地じゃなくて出発地でハマっても必要ならホテルを出してくれるんだ…と感心。が、前回および前日の接続失敗があったにもかかわらず、学習能力の備わっていない私。再び下着一枚持っていないことに気がついた。そこで、試しに言ってみた。
 


私:「あ、ホテルいらないから、XXXまで帰っていいかな。で、明日の朝タクシーで迎えに来てくれるとうれしいな」
 


かなり無茶苦茶な要求です。件の地名は空港から7-80キロ離れています。距離的には羽田空港から小田原まで、あるいはダブリン空港からダンダークまでタクシーを出せと言っているのと同義です。さすがの私も気がひけたので、片道は電車で帰り、その代わり、始発前になる翌朝はタクシーを出してくれたら満足…と思ったのです。係りの人、一オクターブ高い声で…
 


係:「XXXって、△△△の近くのあそこですか?本気ですか?翌朝早いですよ」
私:「ホテルでもいいんだけど、着替えもないし、もしそうしてもらえるなら明日の朝、タクシーで迎えに来てくれたらいいんだけどなあ」
係:「わかりました。ではタクシーを用意します」

 


数分後、ホクホク顔のタクシー運転手さんがカウンターに現れた。
 


…え゛?復路だけじゃなくて往路も出してくれるの?本気かよルフトハンザさん?
 


外に出るといつの間にか日は暮れて真っ暗になり、風は強く横殴りの雨が降っている。そんな中タクシーは1時間近い長距離ドライブに出発。いやー、生まれて初めてだよ。こんな長距離のタクシーに乗るの。
 


長距離だったのでタクシーの運転手さんとすっかり仲良くなり、いろんなことを聞いた。会話の初めにすごく興味があったので、このタクシーの運賃を自腹で払ったらどーなるか聞いてみた。すると、Hannover地区でのメーターはキロ当たり1.4ユーロに設定されているんだそうな。つまり7-80キロの距離だと100ユーロ程度の運賃という計算になる。日本よりははるかに安いな。アイルランドの場合は計算方法がややこしいんだけど、長距離のほうが高くなるアイルランドより安い。
 


ところが、このタクシー会社、ルフトハンザとは割引に協定してて、キロ当たりの運賃は通常1.4ユーロのところ、0.8ユーロまで割り引いているらしい。おおざっぱに4割引計算。おーい、そんなこと客に教えていいのか?日記にしてバラされちゃうよ。ともあれ、ルフトハンザが払う私の運賃は往復で120ユーロ程度。…おそらくホテルも同様の割引協定があるだろうから、私をホテルに泊めるよりは高くついたのじゃないかというのが私の見立て。
 


やはりHannoverでもタクシー業は厳しいらしい。なんでも空港での平均的な待ち時間は3時間とかで下手したら5時間待ちとかになるらしい。それで、中央駅(22ユーロ程度)の客が来れば御の字で、下手すると、空港駅の隣の駅(10ユーロ)とかの客が来ると涙がちょちょ切れる(かなり意訳)とおっしゃってた。そりゃそうだ。5時間客を待って10ユーロしか稼げなかったら時給は2ユーロ計算になるもんね。ただし、この日はイレギュラーフライトのおかげでタクシーはフル稼働の模様。私が乗っているときにも3回ほど連絡があり「早く帰って来い」とせかされていた。
 

 


翌朝、4時半に迎えをお願いしていたら、すっかり仲良くなった昨夜と同じ運転手さんが4時15分には家の前で待機していてくれた。帰りは半分寝たまま空港に到着。そのまま誰もいないラウンジで日記の更新を始める(ここで前回の日記の最初に話がつながるのです)。
 


で、6時50分発のヒコーキは定刻通りに離陸。実はルフトハンザじゃないんですよ。
 

 

 


ハロースイス。ハローチューリッヒ。
 


…ってスイスかいっ。
 


そう、ルフトハンザさん、自社便よりもたった1時間お客を早く目的地に到着させるために、他社便へ振替輸送をしてくれたのです。そりゃ、SWISSはもはやルフトハンザの傘下にある会社ですよ。だけど、ここまでやってくれるのか。ルフトハンザさんは。
 


SWISSの旅は快適だった。全日空の新型シートと同様にシートポケットがテーブルより上にあるタイプで足元が広々してるし、ドリンクなどのサービスも無料。なによりも、スタッフがうれしそうに働いてるのよ。労働環境がいいんだろうなと勝手に推測。
 


さらに、強風とか嵐ってのはいったいどこの国の話だってくらいに快晴。ダブリンでは私にとっては非常に珍しいことに、南からアプローチしたためにGreystonesあたりからHowthまでダブリン市内の遊覧飛行状態になり私はコドモみたいに窓に額を押しつけて見てた。ヒコーキは定刻通りに到着し、私はそのまま会社に向かいましたとさ。
 


ルフトハンザさん、私はあなたのファンです。少しくらい高くても、エアフランスと違って何かイレギュラーが起こった時にきちんと対応してくれるあなたをまた利用します。ありがとうございました。本気で思うんですけど、こういうイレギュラー時の対応をきちんとしてくれる航空会社って航空会社を選ぶときに立派なチェック事項の一つだと思います。