機上で見た超絶いらいらおばさん

ドイツに行ってきました。


…別に珍しいことじゃあありません。


ヒコーキが遅れました。


…別に珍しいことじゃありません。


今回、私はいつもどおり非常口座席の通路側に座っていたのですが、中央席をはさんで窓際に、なんだか知らんけど相当イラついたおばさんがいたんですよ。そのお話。


ダブリン発午後6時5分のヒコーキ、搭乗開始が6時5分ごろですでに遅れていた。こりゃ出発が遅れて当然の帰結として到着も遅れるなと踏む。ま、私の場合、乗り換え時間が70分もあるのでちょっとやそっとの遅れくらいは問題にならない。


搭乗完了後、機長から案の定のアナウンス。


「ご搭乗ありがとうございます。当機、フランクフルトの荒天により、10分遅れてダブリンに到着いたしました。そして、フランクフルト空港では悪天候により出発、到着便ともに遅れが出ており、現在フランクフルトの管制より当機に離陸の許可が出ない状況です。離陸は今から30分後ほどになると思われます」


機内のあちこちから漏れるため息。ドイツ人ってこーゆー時にすぐため息つくんだよね。わざとらしく。


あーそーですか。そーですか。ってことはどうせ接続便も遅れるな。もし接続便が遅れなければホテルに泊まるのもいいし…などと思っていると、さすがはルフトハンザ、すぐに飲み物のサービス(お盆に載ったオレンジジュースか水から選択。もちろん無料)を始める。


私はオレンジジュースをもらい、これとは別の日記をノートパソコンで書き始める(注:離陸時刻が未定だったので、電子機器の利用は認められていました)。が、数分後に気がついた。


窓際のおばさん、ヘンだよ。


窓際の席に座っているのはおそらく年のころ40歳くらいのおばさん。国籍不明ながら、アイルランド人でもドイツ人でもなかったように思われる。見た目はフツーなのだが、落ち着きがないんだ。小学校6年間、通知表に「落ち着きがない」と書かれ続けた私が言うんだから間違いない。まったくをもって落ち着きがない。きょろきょろしたり、ビンボーゆすりを始めたり。そして、ぼそっと、でも周りじゅうに聞こえる声で…


「いつになったら離陸するのよー」


それが聞こえたはずはないのだが、最初のアナウンスからわずか10分後に再び機長からアナウンス。


「ただいまフランクフルト管制より離陸の許可が下りました。ただちにプッシュバックを開始して離陸いたします」


お、状況好転。


機長のアナウンスどおり、すぐにヒコーキはゲートを離れ、離陸。


がー、しかし、窓際のおばさんの落ち着きのなさは変わらない。きょろきょろ。がたがた(ビンボーゆすり)。


巡航高度に入り、機内サービスの開始。私が飲み物を頼んでノートパソコンと飲み物でテーブルをいっぱいにしたとたん、くだんのおばさんは、通路に出ると。なんちゅうタイミングの悪さ…ってか、小心者の私なら、サービスの前かあとにするけどな。


…ってか、小心者がどーこーの次元じゃなく、ほぼ満員の機内、カート3台でサービス中とくれば、通路に出たところでカートとカートにはさまれて身動きの取れない状況に。が、おばさん、トイレに行くかと思いきや、サービス中のフライトアテンダント氏を捕まえて文句を言い始める。


いわく、このおばさんの9時50分に接続のヒコーキが出てしまうらしく、それが心配らしい。ちなみに定刻では9時5分着。時刻表上で45分の接続時間。わ、確かにきつい接続だわ。だって出発時刻ってのはヒコーキがドアを閉めてゲートを離れる時間であり、その時刻にゲートに着いたら乗り遅れる。そのうえ、ゲートによっては保安検査に入国審査も受けなければならない。


だけど、機内でできることは限られており、かわいそうな絡まれたフライトアテンダント氏、「状況がわかり次第お伝えします」を繰り返す。ま、それ以外何も言いようはないわな。


フランクフルトに向けて降下を開始したころ、地上からの連絡があったらしく、接続の案内のアナウンスが始まる。


「xx行きのお客様は、新しい搭乗口はxx番です。シンガポール行きのお客様は、降り口で係にお知らせください。直通のバスがお待ちしております」


やるんだよねえ。ルフトハンザは。接続が厳しくなると到着のヒコーキから出発のヒコーキまでの直行バスの運行。定時運行のためのドイツ人の執念のようなものすら感じる。ま、意地悪く言えば、翌日までのホテル代とか出したくないだけかも知らんけど。ただ、これをやっても人は間に合っても荷物は間に合わないんじゃないだろうかといらんお世話。


ちなみに、ヒコーキが遅れて接続便に間に合わない場合、ルフトハンザの場合この時点(着陸前)にアナウンスがある。「1012便Hannover行きご予約のお客様は、翌朝1001便に再予約されました。地上職員までお申し出ください」ってな感じで。逆に言えば、これがなければ、接続便には間に合うと考えていい(と少なくとも私は思っている)。今回の場合、このアナウンスがなかったので、すべての接続便に間に合うとルフトハンザは踏んだのだろう。


ヒコーキは結局「たったの」20分遅れでフランクフルトに到着。もともと下手したら1時間は遅れるんじゃないかってな勢いだったから、20分遅れは実に上出来。ヒコーキは滑走路を離れ、誘導路へ。そこで、他のヒコーキがいたのか管制からの指示か、細かいことはわからんが誘導路でヒコーキは一時停止。


この瞬間に窓際の落ち着きのないおばさんはキレた。


「キイイイイイ」


という奇声を発して、地団太を踏み始めたのだ。そう、幼児が自分の意見が通らないからと地団太を踏む、あれと同じことを推定40歳のおばさんが始めたのだ。私としては、へええ、大人も地団太を踏むんだとある意味感心…したが、とりあえずかかわりたくないと思ったことも事実。


この後このおばさんがどーなったか私は知らない。数分後にヒコーキは到着し、バスにてターミナルへ。私はのんびり歩いて乗り継ぎのヒコーキへ。ふと、空を見ると、きれいな満月が銀色に輝いていた。そういえば、雨が降ってないどころか、風も凪いでしまっている。


いったいどこらへんが悪天候だったんだろう?


謎を残しつつも私の接続のヒコーキは定刻どおりに離陸して、定刻どおりに到着しましたとさ。


ちなみに、私のフランクフルトでの乗り換えは、わざと乗り遅れたときを除いて最短45分という短い接続時間にかかわらず失敗したことがありません。あまり神経質にならなくてもいい空港だと思っています。