【続:なぜか上海0】その前にドイツに行って来る

上海行きはまずは航空券探しから始まります。今回は日程がさらにきつい。というのも上海に行った以上は力づくで日本に帰省しようという無理な計画を立てたから。パート1で書いたとおり、上海からQ州の距離ってQ州から東京までの距離と変わらんのよね。行ってみれば、うちの玄関前まで行ってうちに帰らなかったようなもん。それを心憂く思った私は今回は帰省するぞーと心に決めた次第。…真夏のアジアに1ヶ月もいるってもうそれ自体がアイルランドのゆるい天気に10年以上甘えきった身体には自殺行為のような気がするけどね。


私、スカンジナビア航空の利用者なんです。別にこの会社のファンというわけじゃないんだけど、日本行きのダイヤ、一番接続がいいし、なんとなく15年位前にここのマイレージプログラムに入会して、いつの間にかえらそげな金色のカードを持てるようになったのでそのまま使い続けている(←航空会社の思惑のまま)。


ところが、スカンジナビア航空の上海行きは毎日運航じゃないのよね。現在週5便の運行。日曜日は運航日なのだが、あいにくその日は私はドイツにいる。翌日月曜日の運行はなし。さてどうしようかと思っていたら、なぜかルフトハンザとスカンジナビア航空は片道どおしで組み合わせが可能らしい。この方法で行きはフランクフルト経由で上海。帰りは東京からスカンジナビア航空とする。で、上海から福岡までは乗り気ではないのだが、ほかに選択の余地がないのでエアチャイナ。ああ、なんとなく大丈夫なのかな…と一抹の不安を覚えるが、きっと大丈夫だろう。


ほんで、金曜日。朝一便のルフトハンザ機で私はドイツへ。どっかのアホタレが私の車を盗みやがったので空港までの足がない。空港行きのバス停までお世辞にも治安がいいとはいえない地域を小一時間かけて歩く。


そうそう、愛用のFlybusというバス。今週末で運行終了らしい。 これがコバンザメタクシーの影響なのかは定かではないが、一定の悪影響を与えたことは間違いないと思う。


定時に搭乗開始をしたんだけど、いつまでたっても出発する気配がない。何かと思っていると機長がアナウンス。


機長:「搭乗手続きされた荷物の数と、実際に搭載された荷物の数が合致しません。ただいま調査中です」


そう。ヒコーキのよく言えば偉大な、悪く言えば融通が利かない点。私だったら荷物のひとつくらい間違いが起こりそうだからやむなし…と思うけど、そーゆーもんじゃないみたい。確かに紛れ込んだ荷物が爆弾だったりしたらどうしようもないわけで。わかる。わかるんだけど…それだけの理由でヒコーキが1時間遅れたのはつらい。


ヒコーキが遅れたおかげで、当然の帰結として、40分の接続時間を見ていたICE(ドイツ国鉄の誇る新幹線)に乗り遅れる。このICE、きれいな一時間のパターンダイヤ(よーするに毎時同じ時刻に列車が出る)になっているのだが、次のICEは20分遅れ。


しかも、40分前の列車には指定席の予約を入れていたのだが、乗り遅れたので無駄に。ひとつ後の乗り込んだ列車はほとんど空席のない惨状。ようやく私が降りるひとつ前の駅から指定の入っている座席を発見してそこに座る。


ええっと、ここはドイツ国鉄に興味のない人はまったく読み飛ばしていただいて構わないのですが、日本と違ってドイツ国鉄は「指定席車両」「自由席車両」の区別がありません。その代わりに、各席に「どこ(駅)からどこ(駅)まで指定席になっている」というのが明示されていて、その区間以外であれば、たとえ座席が予約されていても座っていいわけ。日本のJRの方式よりこっちのほうが賢いやり方だと思うけど、指定で座席が埋まっていたら、座席指定なしではほとんど座れない…というオチになるので、どっちがいいかはにわかには断じがたい。


で、ぼーっとノートパソコンでDVD観てたら、車掌がやってきた。


車掌:「すいません。座席を移っていただきたいのですが」
私:「ああ、XX駅から予約が入っていることは承知してますよ」
車掌:「そうじゃなくて。この車両から移動していただきたいのですが」


はぁ?


聞けばこの車両のエアコンが壊れているからこの車両を使用禁止にするらしい。…って、確かに若干蒸し暑いけど混み合った車両をひとつ使用禁止にするってどうよ。案の定、2等車の最後尾まで行ってみたが空席など見つからず、しょーがないから食堂車に移動。食堂車のお世辞にも居心地がいいとはいえない硬いいすにビール3杯で粘る(って昼間っから何してんだか)。


この路線、新幹線用に新設された路線で日本の新幹線同様山も谷もトンネルや橋で力ずくでまっすぐ貫いてしまっているのだが、そんな中のトンネルで突然止まった。日本なら、車掌が本当に状況がわかっているのかいないのかわからないのか、とりあえず


車掌:「えー、信号停車です。少々お待ちください」


などとアナウンスするところだが、ドイツ国鉄にそんな決め細やかな(でも無意味な)サービスを期待しちゃいけない。ようやくあったアナウンスは、


車掌:「少々お待ちください」


かくして、トンネルの中で30分以上停まったまま。面白かったことは、ほかの新幹線や列車が対向の線路を使ってどんどん私の乗った新幹線を追い越していくのだ。ほら、日本だったら、反対側の線路を使って逆走するとかあまり考えられないでしょ。よほどドイツ国鉄は運行に自信があるのだろうなと。そうじゃなければ正面衝突してしまいかねない。


結局2時間遅れで某駅に到着。そこで見た表示は…


接続の各駅停車30分遅れ。


まじかよ。


ここで話は前日に戻る。うちにお客さんが来たの。ベルリンから…と言っても日本人。彼、Rail and Flyという割引券を使ってベルリンからフランクフルトまでの4時間超の距離を新幹線で移動。このRail and Flyという割引券、前にも書いた気がするけど、ドイツ国内のすべての駅から空港まで片道29ユーロという格安な価格で鉄道に乗れる(空港から各駅ももちろん可能)。しかも、新幹線は使えるは、利用する列車を事前に指定るる必要はないといいことづくめ。


でね、彼の乗った新幹線、何らかの理由で1時間以上遅れたらしい。車掌さんから、なにやら「払戻申込票」をもらったらしい。私のつたないドイツ語能力を駆使してみたところ、どうも、乗車券の額面価格の25%が返金されるらしい。まあ、29ユーロの25%なんてどう考えてもこの払戻申込票を書いて郵送する手間を考えたら報われる金額じゃないんだけどね。


そのことを思い出した私はどうせ接続の列車も遅れているんだしと、暇つぶしにこの払戻申込票をもらいにみどりの窓口(とはドイツでは言わないけど…まあ、細かいことは気にするな)に行く。そこであっさり払戻申込票をもらったが…


係:「ここのハンコはホームの詰所でもらってね」


はーい。


ホームの詰所へ。


係:「え?フランクフルトからの新幹線のお客さん?払戻票?はい、いいですよー。乗車券を拝見できますか?」


私のRail and Flyの乗車券を見ると、マニュアルをずーっと眺め回し、同僚に聞き言うのだ。


係:「申し訳ないですが、この乗車券では払戻は承れません。この乗車券はルフトハンザが発行したものでして、ドイツ国鉄が責を負うものではございません」


なんかあると思ったが、こーゆーオチか。


帰りは帰りでやはり20分遅れる。やれやれ。