【現在進行形】車が盗まれた!(1)

上海の話の続き、一番情けない話を書こうと思ってたら思わぬ大事件が起こってしまいました。朝起きて駐車場に行くと


…車がない。


えっ?


瞬間に悟った。盗まれた。


…ってさあ、防犯カメラもあれば、鍵を持ってないと開かない門まであるアパートの駐車場から車を盗むかよ。そりゃ、油断してたんだろと言われれば返す言葉も無いですが。


なぜか自分でも驚くくらい冷静に、まずかセキュリティの詰所に行った…が、誰もいない。ドアのインターフォンが巡回中の車の無線につながっているらしく、2分もしないで巡回中の車がやってきた。


私:「車盗まれた!監視カメラの映像の保全をして!」


どこか東欧かロシアあたりから着ていると思われるセキュリティの人、要領を得ない様子で


セキュリティ:「そーゆーことは管理会社の方に言っていただかないと」


この人が使えないことはすぐに分かったので、そのまま会社へ。


地元のケーサツに電話。緊急の999ではなく、警察署の一般電話ね。


私:「車が盗まれたんですけど」
ケーサツ:「今からそちらに伺います。ご住所を教えて下さい」
私:「もう会社なんですよ。住所は…です」


1時間近く経って、ケーサツのバンがやってきた。中には若いおまわりさん二人。車から降りてこようともしない。


なんか知らんけど、手のひらサイズのメモ帳を出したかと思うと、タテに「サシスセソ」的なアルファベットを書く。で、住所とかを聞いてきた。で、サシスセソを埋めていく。そんなことをやっていると同僚がやってきた。


同僚:「どしたの?」
私:「車が盗まれて」
同僚:「Snigelの車なら、今朝見たよ。ブロンドの若い兄ちゃんが乗って行ってたよ。修理にでも出したのかと思った」
私:「えええ」


ケーサツはひと通り私の住所や車のことを聞くと去っていった。…って、現場検証とかしないんですね。


それから保険会社に連絡。さんざんたらい回しにされた挙句にようやく盗難を報告する。


保険会社:「それでは、代車等をご用意します」


…ちょ、ちょっと待って。


日本と一緒で、保険って、使うと等級が下がるの。よーするに、翌年からの保険料が上がる。それは困る。そうだ、総務課に相談に行こう。


…というのも、私の自動車保険、会社で団体加入してるの。なので、総務の担当者に聞くのが一番いいかと。…そうは言ってもいちおう仕事中だから、総務に行ったのは2時間後とか。


私:「車盗まれたー」
総務:「あらま」
私:「というわけで、どうしたらいいか、助言がほしいんですけど」
総務:「ちょっと待ってねー」


おもむろに受話器を手にすると、電話する。


総務:「あー、XXさん?え?XXさんいないの?じゃあ、誰でもいいからスーパーバイザーさん出して。…社員の一人の車が盗まれて、そちらに3回も電話してるんだけどまったく埒があかないの。」


どうやら保険会社の代表番号じゃなくて、どっかの直通番号に電話している模様。…というか、私1回しか電話してないんですけど。


総務:「じゃあ、マネージャーのXXさん出して。…XXさん?うちの社員の車が盗まれたの。オタクのコールセンターに何度も電話してるんだけど埒が明かないの。何とかしてちょうだい。今電話かわるから」


あたふたと電話にでる私。この古参の総務のおばちゃん、いろんな意味でめんどくさい人だと思ってたけど、味方につけると最強の人物だとこの時気がついた。もっと言えば、前にも書いた気がするけど、ダブリン村って、誰か「知り合いの知り合い」とかがいないとまったくにっちもさっちもいかないことが多いのだが、誰か知り合いがいると、話は急に進んだりするんだよねえ。


ともあれ、この電話のお陰でいろんなことが分かった。まず、驚いたことには、この保険を申請しても私の保険等級に傷はつかないということ。この申請以降3年間申請がなければ「なかったこと」になるとのこと。あら。さらに、保険を申請した場合、免責金として250ユーロ徴収されるとのこと。まあ、そりゃそうだろうなと思う。


午後になり、レンタカー会社から連絡があり、車の手配がついたので取りに来いとのこと。運良くバス1本で行けるところだった。車を借りる。無料だと思ったのだが、週に35ユーロの保険金がかかるとのこと。正確にはこれは任意なのだが、万一事故を起こした場合、私の保険に傷がつくというオチ。以前この保険金をケチった時にトレーラーに衝突されてひどい目に遭っている私(…なんだかいろんなことがあるなあ。私の過去)おとなしく払う。


こう、久しぶりに乗り慣れていない車に乗ると、違和感ありありなのだ。やたら慎重になりつつ、それでもスーパーに買い物に行ってうちに戻る。


(続く)