【ドバイ出張記21】同僚ガイド最強伝説

5月になりました。5月病に五月みどりに5月にサツキにメイ乗せてと…いろいろある5月ですが、私の経験でいくとダブリンの5月って一年のうちで天気が一番いい月…のはずなんですが…一日降り続く雨で5月1日は暮れようとしてます。


今日、先週まで私と同様2週間ほどドバイの支社に行ってきた…という同僚と雑談してたんですよ。アイルランド人のおばちゃん。彼女曰く、退社後はほぼ毎日買い物に行ってたって。


「ドバイモールにエミレーツモールに…」


…やっぱりそっち(金持ちエリア)なのね。


そんな入江の向こうのバブル地区は放置で、今日は行きますよ、Deira地区(旧市街)探索。


今日はガイドを雇った。…と言っても同僚ね。前回の日記でアパートまでおじゃましたフィリピン人の女性。「ごはんおごるからDeira地区案内してよ」って。あっさり了解される。


さて、ごはんどこに食べに行くと言われて、私は安易に「ビールが飲めるところ」と答えてしまった。だってビールが飲みたかったんだもーん。…ってすっかり忘れていた。ビールを飲めるのはホテルのレストランとかラウンジで、べらぼうに高いんだった。


前回の日記で「庶民の夕飯」を食べた話をしたと思うけど、この時に実はビールをごちそうになったのよ。フィリピンビール。なんとまあ、どこからともなく密輸されていてブラックマーケットで1本100円程度で買えるらしい。この国の建前と本音をここでも見た気がした。

(密輸入ビール。味はもちろん密輸の味などするはずもなくフツーのラガー)


私の泊まっていたホテルと彼女のアパートはメトロで一駅の距離で余裕で歩ける。その向かったのは、ちょうど中間点にあるアシアナホテル…って、名前からして韓国系のホテルなのかな?そんなことを私が思っているうちにずかずか入っていくのはいいけど…おーい5つ星ホテルじゃないか。夕飯いくらするんだよ…と早くも涙目になる私。


せこい話ですけど、今回のドバイ、あくまで「出張」すなわち夕飯も経費として落とせるわけです。この日まで夕飯代1000円以下の日ばかり(←それはそれで安すぎるのだが)。なのに、突然ン万円とかのレシート出すのはおかしいでしょ。しかも、なんで二人分なのよ…とツッコミどころが満載のような気がする。あー、これは自腹かな…と考え始める小心者でせこい私。


ちなみにホテルのサイトはこちら(英語)。ぱっと今調べた限り、ロビーなんかはすごく豪華に見える5つ星ホテルながら、一泊一室1万円以下で泊まれそう。意外と安い…というか。4つ星の私が泊まっていたホテルより安いわ。もちろんその日の私はそんなことを知るはずもなく、「おーい、ここいくらするんだよ」と諭吉さんが脳内を舞っていた。


中に入ると、やはりアジア系なのだろう、レストランは、韓国、日本、中華、フィリピン、そしてシーフード…となるとやっぱり日本食でしょ。中にHanabiという日本食レストラン(←レストランのブログ。日本語)があった。


メニューは日本食レストランの基本をおさえた無難なもので…メインコースが2000円くらい。思ったほど高くない。確か一番搾りだったと思うが日本のビールと私は海鮮丼、同僚ガイドさんは私の勝手な勧めでうな丼。…あら、うなぎに対して抵抗感ないのね(ヨーロッパの一部の人にはうなぎはゲテモノの類とみなされることがある。まあ、あの見てくれからすればわからなくもないが)。結局会計は全部で7,000円程度。思ったほどじゃなかった。


ビールを2本飲んで景気をつけたところで向かいましたよ。Deiraへ。


数日前にDeira City Centreという同名のメトロ駅すらあるショッピングセンターへ行った話をしたと思うけど、あそこはDeira City Centreというショッピングセンターがあるというだけで、Deiraの中心ってわけじゃないのね。ガイドブックを買ってないからそんなこともわからない。タクシーでどっか賑やかなところに降りる。


タクシーから降りるなり、変なおっさんが近寄ってきた。


「ブランド物、あるよー」


ガイド:「行ってみようか」
私:「何?」
ガイド:「ニセモノのブランド売ってる店」


…なんだよ。いきなり偽ブランドかよ。


こっちだよーと歩き始める怪しい客引き。


もしもーし、どこ行くんですかー。


ひとりなら、絶対に付いて行かないね。これ。


アヤシゲな階段を登ります。


何やら、アパートの一室に入って行きました。


中は日本的に言えば1DKのマンションくらいの大きさといえばわかってもらえるだろうか。そこに偽ブランドもんのバッグにお財布にサングラス、果てはスーツケースまで所狭しと並べられている。さっきから、あやしい写真が並んでいるところからわかるように一生懸命田代まさししてたんです。で、中の写真も撮りたいと、背中でこっそりシャッターを押した写真がこれ。


はい。なにがなんだかよーわからん写真ですが、これが限界でした。だって、店内には(外の通路も含めて)監視カメラがあって、入り口脇のレジのところで監視してたし、写真撮ってることがバレたらただじゃすまない気がしたのよねん。


ガイドさん、実にありがたいことに偽ブランドもんの解説を始めてくれる。彼女いわく、偽ブランドにもランクがあって、本物とほとんど見分けがつかないAクラスから、粗悪なコピー品のCクラスまでいろいろあるんだそうな。それを見分けないとだめだよ…って、私、ニセモノを持ってまでミエ張りたくないですから。


もちろん何も買わずにニセブランド店を後にした私達。外に出て、裏通りをちょっと進むと


なんですか、この落ち着く感は。


なんて言えばいいのか、こんなわさわさしたところで落ち着くというのは明らかにおかしいんだけど、でも落ち着くの。あの気取って小洒落たなんとかモールなんかより、こっちのほうが私は好き。例えて言えば、上野のアメ横みたいな感じのとこなのかな。こーゆー雑然とした感じの場所、好きだわ。で、上の写真にも写りこんでいる店へ。


あら、素敵なスカーフがありますね。アラブっぽいサンダルも。


ガイド:「このサンダルいくら?」
店員:「…110」
ガイド:「あんたねえ、こっちは観光客じゃないのよ。そんな値段の訳ないでしょう」
店員:「え?ドバイで暮らしてるの?どこから来たの?」
ガイド:「もう10年住んでるわよ。フィリピンよ」
店員:「…70」
ガイド:「高い、40にしなさい、40に…」


…そりゃねーだろと一人で目を丸くする私。


店員:「そっちのダンナさんもドバイに暮らしてるの?」
ガイド:「会社の同僚よ」
店員:「フィリピン人?」
私:「日本」


…ようやく会話に参加できたよ。


私:「あら、このスカーフいいね。これ、材質は?」
店員:「カシミアですよー」
ガイド:「いくら?」


…俺が聞く前に聞くなよ。


店員:「370」
ガイド:「150にしいや」


…このガイド最強伝説。


私:「あ、こっちのスカーフもいいね」
ガイド:「いくら?」


…だから、俺が聞く前に聞くなっつうの。


ガイドはガイドで指輪をはめている。


ガイド:「この指輪いくら?」
店員:「50」
ガイド:「20にしいや」


そんなこんなでスカーフ2枚、サンダル1足を選ぶ。


ガイド:「ええっと、サンダルが40で、スカーフが150が2枚…合計340だったわよね」


…ガイドさん、それ、あんたが勝手に決めた値段…。


店員:「いや、それ、無理っ」


ここで私も男を見せなければいけないと思った。ここで、必殺技。


私:「ここに300ある(現金を店員さんの前に置く)。それ全部300なら買う。それ以上ならまた今度ね」


店員さん、300と引き換えに商品をくれた。わーい商談成立。どや、俺こそが最強だろう。…と、一人でドヤ顔してたら、ガイドが口を挟む。


ガイド:「じゃあ、ついでにこの指輪ももらっていくわね」


…と言って、ガイド、指輪を「ついでに」もらってきてしまう。いや、万引きじゃないだろう。店員さんの承諾があったから。だけど…それって、ありなのか?


負けました。アンタが大将です。


おまけ。


おみやげをゲットしてすっかり調子に乗っている私の図。