冬が寒くってほんとに良くなかった

日曜日の深夜。ダブリン空港に帰ってきた思ったこと。


ダブリン、暖かい。


今年、基本的に暖冬です。特にダブリンでは昨年と違い雪というほどの雪も見ずにわりかし、実に過ごしやすい(ここ数日、寒いらしいけど、ドイツに比べたら、暖かい)。


2月ってね、アイルランドの暦の上では春なんですよ。2-4月が春で5-7月は夏…と、日本より感覚的には1ヶ月ずれている感じでしょうか。で、2月に入って突然寒くなりました。冬がこのまま去ってはいけないと思い最後の力を振り絞ったのか、そのへんの事情はよくわかりませんけど、とにかく突然寒くなった。


天気は必ずしも連動してるとは限らないけど、ヨーロッパ大陸の果ての島が寒くなったということは、ヨーロッパ大陸も寒くなった(その逆の言い方のほうが正しいんだろうけどね)。この時期になると、日本で梅雨時に集中豪雨での被害のニュースが出るのと同じように、ヨーロッパ大陸でも冬になると寒波による死者がニュースになる。今年も東欧のどっかでマイナス30度とかになって、一部に死者が出たとか。言い方は良くないけど、ホームレスの方など、マイナス30度で外にいたら、そりゃ生死に関わると思う。


そんな中、行って来ました。ドイツへ。あー寒かった。


♫冬が寒くってほんとに良かった。
君の冷えた左手を僕の右ポケットにお招きするための
この上ないほどの理由になる♫


なんて歌があるけど、あえて言わせてくれ。


冬が寒くても、ちっともよくねえよ。


マイナス10度以下のドイツ。私の彼女が言うのだ。


「散歩に行こうよ」


もう、ドイツ人、みんながみんなそうだとは思わないけど、私の知っているドイツ人はみんな散歩が好き。私の彼女が日本に行った時も、もう秋も終わりでくそ寒いのに近所の海岸に散歩に行こうって。渋々行ったら目を丸くするの。


「なんでこんな良い海岸なのに、誰も散歩してないの?ドイツだったら人がいっぱいよ」


…わかってる。11月のくそ寒いデンマークのイナカの海岸にホリデーに行った時も、氷点下になろうかという気温の中コートやスカーフで完全武装したドイツ人がうじゃうじゃ散歩してたもんなあ。だけどね、日本じゃ、こんなくそ寒い時、特にイナカの人は散歩なんてしないのよ。イナカの人はね、数百メートル先のコンビニに行くのにも、車で行くの。


すごく蛇足になるけど、彼女、あの日本の海岸にある消波ブロック(テトラポッド)が気に入らないらしい。景観を乱すものが、なんでこんな綺麗な海岸にほぼ絶対の確率であるんだって。…それを言い出すと、日本の山の沢には砂防ダムがあって、川という川にはダムがあり…という説明を始めなければいけない。確かに、治山や治水はできているんだろうけど、こうやって「力づく」でやっているっていうのも事実なんだろうなあ。


まあいいや、そんなわけで、話はドイツに戻る。


確かに快晴だ。風もない。だけど、寒いよ。こんな中、散歩、行くんですか。そうですか。ああ失敗した、早いうちからどっかのショッピングセンターにでも行こうと誘っとくんだった(屋内のショッピングセンターなら寒くない…というどこまでも怠け者の発想)。すごすごとスカーフに帽子までかぶって完全武装。


あのね、私、人生で一つ決めてることがあるの。


「股引を履いたら人生負けである」


と。いや、どうせ私の人生負け組ですよ。だけどね。この点は譲れないの。マイナス20度以下のスウェーデンでもこれだけは守った。あんなもんを履いたら、その瞬間におじさんの仲間入りなの(異論反論あるでしょうが、私はそう決めたんだい)。なに?ヒートテック?所詮、股引でしょうが。横文字にしたって股引は股引っ(異論反論…以下略)。まあ、そんなわけで、マイナス10度だろうと、フツーのチノパン姿なの。そんじゃ、行きますか。


はい。いい天気。だけど…寒い。空気が刺すような気がする。もう帰ろうよー(って、まだ、家を出たばっか)。なのに、ずんずん進むよ。


…どこ行くのよ。…いや、これはちょっと話をふくらませてる。これ、いつもの散歩道だから、どこに行くかもそれくらいの距離かも知っている。だけど………寒いっ。


夜になると、さらに気温は下がりマイナス15度に近くなったであろうころ(ちなみにこの日の予想最低気温はマイナス17度だった)、私たちはお出かけ。友人の誕生日パーティーだって。別にいいよー。まさか外でやるわけないだろうし。そこまでも車でいくので、私は気安く帽子もスカーフも持たずに出かける。


午後7時20分。現地に到着。あれ?ドアベル鳴らさないの?


「みんな他の友だちが揃ったら外でハッピーバースデー歌うのっ」


…聞いてません。10分も外で待機するなんて。


寒かった。暗かった。みるみる不機嫌になる私。


ただねえ、さすがドイツ人というべきか、ちゃんと20人近い人間が指定の7時半までにちゃんと現地に現れまして、寒いなかいつ来るかわからない奴らを待つ…という最悪の状況は避けられた。だけど、寒かった。


で、結局20人ちょいの人間が集まってパーティーを開くのはちょっと友人の家のリビングは手狭だということで、なんと本日はガレージでパーティー開催。


…もしもし、マイナス15度(かそれ以下)ですよ。


まあ、すごいね、ドイツ人。どっから持ってきたのだか、特大のプロパンガスで動くガスストーブを3台持ち込んでる。これで確かに部屋は温かい。だけど座ってしばらくして気がついた。空気が循環してないの。つまり、暖かい空気はすべて上に行ってしまい、テーブルの下は寒いし、足先にいたっては、靴を通じてコンクリートの冷たさが伝わってくる。…けっこう辛かったです。


ってかさあ、なんで自分の誕生日を自分で祝うんだろう…この人達は。あ、日本でもそうなのかな。なんかよくわからんけど、とりあえず、寒かったです。