ぼったくり共和国でたたかう

同僚が言うのだ。


同僚:「講習室のプロジェクターの電球が切れかかってるよ」


…また仕事を増やす。ばかー。


プロジェクターの電球って高いんですよ。知ってました?例えば、今使ってるジャパンエレクトロ社(仮名)のプロジェクターの電球、3000時間くらい持つもので400ユーロとかしやがるんですよねえ。プロジェクター本体が2-3000ユーロであることを考えると、電球はかなり高いです。


この講習室のプロジェクター、実はかなりの問題児でして、もうかなりの長い間使っているのでなんか画質も悪いし、この講習室を主に使っている総務の担当者も細かい文字が見えないとしょっちゅう文句を言ってきていた。それをなだめすかしてごまかしてきたんだけど、こりゃもうだめだ。取り替えよう。まずは予算をぶんどってくる。よし、取れた。


とりあえず、ダブリン市内の取引業者にメール。返事は案外早く来た。


業者:「ご希望のスペックなら、スリーダイヤモンド社(仮名)の機種がいいですね。2700ユーロ(税別)です。ぜひ、商談に伺わせてください」


ふーん


今の世の中、大変に便利にできてます。この提案してきたスリーダイヤモンド社の型番をググってみました。結果、イギリスのサイトで2000ユーロで売ってる(正確にはイギリスポンドでの販売ですが、めんどくさいので以下、ユーロで統一します)。送料その他を考えても6-700ユーロ安い。さて、どうすべえか。


翌日、この会社、部下を引き連れて、ホントに商談にやってきた某社。講習室の天井に吊り下げられたプロジェクターを見て、言うのだ。会話調にするのが面倒なので、要点だけ書くけど、「プロジェクターのレンズの位置が今つけているのと新しいのが違うから、吊り下げ装置の位置変更が必要かも。そうなると、取り付けに数時間かかかるかも。取り付け費は、最初の1時間が160ユーロで、それ以降は毎時100ユーロ。ただ、1時間で済むと思う」と。


ここからが私の本領発揮。とりあえず本体の価格差700ユーロをどげんかせんといかん。証拠がないと話にならんと、テキトーにイギリスの数社に見積もりを頼む。会社によっては海外には配送しないとかいろんな制約があるんだけど、一社が乗ってきた。


イギリスの業者:「そのスリーダイヤモンド社のは2100ユーロだけど、弊社の売れ筋の同じスペックの他社製品なら1550ユーロでありますよ」


…一気に1000ユーロ安くなった。


というわけで、ほとんどいじめのようなメールをダブリンの取引業者に送る。「こんな見積もり来たよん」って。返事はほどなく来た。


「その(イギリスの業者が提示してきた)値段は弊社の仕入れ価格より安いです」


たぶんこの業者は嘘は言っていないと思う。だとすると、いったい誰がこの差額を懐に入れてみるのだろうかという疑問がふつふつとわいてくる。いくらアイルランドはイギリスの離れ小島とはいえ、離島への配送料金がなそんなにかかってもいいという道理にはならない(この瞬間にアイルランド人を敵に回した悪寒が…)。


うちはテレビのない家なのでよくは知らんのですけど、アイルランドの国営放送RTEでRip-Off Republic(ぼったくり共和国)という番組をやっていたらしい。なぜアイルランドではいろんなもんが高くなるのか…という番組だったらしい。


というわけで、件のイギリス会社にに注文しようとしたら…


「アイルランドでしたら付加価値税はつけません」


へっ?


1550ユーロ+20%で1850ユーロになると思ったら、1550ユーロでいいの?うわー、当初の2700ユーロ(税を入れると3250ユーロ)の半額になったぞ(ってか、なぜ付加価値税がつかないのか、私にはさっぱり理解できない)。


あ゛


取り付けはどーするんだろう。よし、取り付けだけ地元の会社にやらせるか(←なんて嫌な客なんだ)。私の名誉のために書いておくと、いちおう上司に許可取ったんですよ。価格交渉してもいいか。場合によっちゃ取引先との関係、崩れるかもよ…って。そしたら上司…


上司:「あーその会社なら、関係なんてあってないようなものだから、好きにしていいよ」


…はい、おそらく関係を思いっきりぶち壊してしまいました。それもこれもRip-Off Republicのせいだ(と人のせい)。