コールスローとアスパラガスのお話


ヨーロッパで売ってるキャベツって硬いです。調理をして出すことを基本にしているのかなんなのか、あの硬さでは千切りキャベツとかで出すような雰囲気じゃないんですよね。…という思い込みがあり今までほとんど買ったことがなかったのです。ことアイルランドでは。

そんなおりネット上で偶然コールスローの記事にたどり着きましてちょっと食べたくなりマスクを着用して近所のスーパーへ行った折についでにキャベツを買ってきました。

なんじゃこりゃ~…というツッコミが画面の向こうから聞こえてきそうですが、これもキャベツです。

以前アイルランドで買って失敗した日本のキャベツのように見えるやつは敬遠して、買ってきたのはこのとんがりコーンみたいな形をしたキャベツ。Spitzkohlという種類のキャベツ。説明も兼ねてWikiのリンクでも載せようかと思ったら、日本語はおろか英語のページもない。そういえばアイルランドでも見たことがない気がする。ましてや日本では。さすがの北野エースあたりでも1/4玉2000円とかで売ってたり…しない…よね。

こっちのスーパーは日本のそれみたいに至れり尽くせりじゃないですからキャベツを半切りにして売ったりしてませんよ。なのでこの巨大なキャベツを一玉まるごと買って帰りました。キロ€1.79で1.85キロもあったのでお値段€3.31。なんとなくですが日本のキャベツってせいぜい一玉1キロとかじゃないかしら。それに比べると巨大。そりゃところ変われば品変わるだけど、なんか得体のしれない巨大な物体を買ってきた後悔の念に駆られる。

まあ、文句ばっか言っててもしょうがない、週末にコールスローの製作開始。

まずは半分に切って残りの半分は階下の義両親に押し付ける。嫁父(義父)「おっ、このキャベツが一番美味しいんだよね」と喜ぶ。そうなのか。どう料理するか気になるな。とりあえず半分腐らせるという愚挙は避けられた。

日本の主婦の皆さまが「包丁はドイツのツヴィリングよね」…とか言ってそうですが、うちのは日本の貝印です。日本の包丁はもっとすごいのがもう1本あったりする。

そして半玉になったキャベツ、さらに半分にして1/4。コールスローなど作ったことがなかったのでうまくいくかちょっと自信がなかったのでこの量で作ってみることに。とりあえず半分に切るときにさほどの力はいらなかったのであまり硬くはなさそう。

ここで登場するのがみじん切り器。どこぞのカインズホームで売っているらしい。去年日本から遊びに来てくれた友人が持ってきてくれたもの。これを使ってぶんぶんぶんとキャベツをみじん切り。さらににんじん1本、玉ねぎ小1つも返す刀で(って使い方あってますかね)みじん切り。みじん切り器のある無しでこの料理の難易度が一気に変わる気がする。コールスローを作るのにこのみじん切り器はまさに神。

それを混ぜ合わせて小さじ1の塩をふりかけてジップロック(IKEAで買ったやつ)に放り込み、もみもみしたあと冷蔵庫へ。しばらく放置。って、とんでもない量のキャベツだと思ったのにみじん切りにして袋に詰めたら量が思いがけず少なくなったな。

で、あとはマヨネーズを大さじ3、砂糖を大さじ2…不健康だなとおもいつつぶち込んで、さらに大さじ2の酢も入れる。これらを混ぜ混ぜして水切りをしたジップロックから取り出した野菜と混ぜたら…できた。

うん。知ってる。テーブルの上を一度拭いてから撮ればよかった。

美味しい。

水切りがちょっと甘かった。もっとしつこくやるべきだったのが失敗点だが、味は…普通にうまい。そして何よりもアホのように簡単に作れる。心配されたキャベツの硬さも問題にならず。よし。残りの1/4玉でまた作ろう。

話は突然変わりますが…あ、でも「食べ物」つながりで私の頭の中ではつながってるんです…5月はドイツではアスパラガスの季節です。ドイツ産のアスパラガス、ドイツ人はみんな大好きです(弊社調べ。狭い範囲での話ですが、私の知っている限りで「アスパラガスが嫌い」という人には本当に会ったことがない)。

ところがこのアスパラガス、今年は収穫が危ぶまれていたのです。例のコロナ禍で。というのも、アスパラガスの収穫は手でやる必要があるらしく、その疲れる大変なお仕事を低賃金でやってくれるのは東欧などからの安い季節労働者。だけど国境が閉鎖されているからさあ大変…という話だったらしい。

結局2週間の自主隔離でなんとか労働者は確保したらしいですが、なんのことはない、ドイツで安くて美味しいアスパラガスがいただけるのは外国人労働者のおかげということが改めて明らかになった…というお話。

まあそれはいいとして(あんまりよくない気もするけど、話が進まないからさ)、前にも書いたような記憶がかすかにあるのですが、ドイツ人のアスパラガス愛は日本人の私から見ると異常の域に入ってます。例えばこれ。

これはシュニッツェルとホワイトアスパラガスじゃないのです。ホワイトアスパラガスとシュニッツェル。主と従の関係が真逆なのです。この食事のメインは誰がなんと言おうとアスパラガスなのです。シュニッツェルは添え物。

毎年恒例なのはレストランの「春のアスパラガスまつり」…というヤマザキパンのパクリみたいな名前は私が今勝手につけたのですが、とにかくたくさんのレストランでアスパラガスを中心としたビュッフェが開催されるのです。

アスパラガスと

お肉ほか。

とにかく主賓はアスパラガス様。あとはおまけ。アスパラガスを取って、それから別の種類の肉(やときには魚)を選びつつ何度もビュッフェを往復し、太鼓腹を満たしていくというのが春の一大イベントなのです。

ともあれ、おかしくないですか。アスパラガスが主役って。私の知る限り、とんかつ屋さんはあってもキャベツを売りにしたレストランって聞いたことがないです。たとえ本場の嬬恋村でも「キャベツレストラン。とんかつおかわり自由」っていうレストランは存在しない気がします。

実はドイツ。もうひとつだけシュニッツェルを脇役に追いやることができる食材があるんですよ。それはキノコ。ドイツの森で採られたキノコって実にいいお値段するのですが、夏から秋にかけてのレストランでの「季節のおすすめメニュー」に必ず入ってます。これもキノコとシュニッツェルになり得るんですよね。

さて、キノコの季節にはレストランに行けるのか。現状もいちおう開いてはいるにせよあんまり行く気にならないんですよね。おそらく日本でも同じだと思います。次回はたぶんコロナ禍のお話…の予定。