ハルツ国立公園遭難(未遂)事件(2)


すいません。先週の更新を休んでしまいました。毎年12月に一年分の写真アルバムの更新をするのがここ数年の恒例になってまして、結婚後4冊目のを作り、クリスマスプレゼントにするつもりだったのですが…3年目にして結婚記念日を忘れるほど嫁を愛してやまないアタクシ、作るのが面倒になりより良いものを作ろうと機会を狙っているうちに年を越してしまい、1月は逝き、2月は逃げ、3月は去り、気がつけば4月。

これはいかんと突然思い立った私はせっせとアルバム作成開始。これがさあ、ものすごーく地道に時間のかかる作業なのよ。使えそうな写真を選び、それをうまく並べて必要ならトリミングして…とかやっているうちに結局1週間ほど仕事以外の時間はかかりきりになりこちらの更新をすっかり忘れていた次第。

中身はお見せできません(それに人が見たがるようなものじゃないです)が、このコラージュのような表紙を作るのにも変にこだわり一晩かかってます。

いつもこちらのサイトを使っているのですが、注文したのが木曜日の午後10時くらいで、金曜日のお昼ごろには「発送しました」というメールが届き、土曜日の朝にはアルバムが届いた。…って、注文生産の品が36時間以内に届くって何よ?

まあ、そんなことより前回の続きです。

分岐点に戻り、さらに進みます。

左は「行き止まり。通行止め」とやらで選択の余地なく右に進みます。

途中で車も通れそうな林道から追い出されます。

右方向に道がないとも言い切れないですよね。

こんな感じでどっちに行っていいのかわからなくなります。もう勘でいくしかない。その勘が当たらない人なんですけどね。

そのうち、どこからともなく利用目的のわからないパイプが登場。これを目印に進んでいくと…


なにやら左側に開けた場所が。

…また何かありますね。

ここがHohensteinklippen(ホーヘンシュタインクリッペン)らしいです。午後2時20分に ホーヘンシュタインクリッペン に到着。

先ほどのOttofelsen(オットフェルセン)に比べると、地味。労も恐怖感もなく登れるし。 上の写真、また左右にぐりぐりできます。

山頂のBrocken(ブロッケン)は未だ雪に覆われてました。

この場所からすぐに林道に出ました。歩きはじめます。ちなみにこの林道に出た時点でミスルート。戻る以外に道は見当たらなかったし、なにせGoogle Mapは圏外で使い物にならなかったし。

林道との交点。

この林道は快適だった。ちょうどいい具合に下っているのだ。 鼻歌交じりに下る。

快適なのはそれもそのはず、この林道は一般車通行止めながら、なんとハイカー向けのバスが来る。

この交差点を右に曲がるのですが、この場所に…

…バス停ですな。紛うことなく。

確か30分ほどの待ち時間だったのでこのバスを使ってリタイア…ということも一瞬頭をよぎったのですが、バスで麓の村まで降りてもそこから駐車場までが結構遠い。やっぱり歩こう。

バス停から右に折れて、しばらく進むとさらに分岐。ここで大きな選択肢。右に進むと先ほどから来た道に並行する感じで戻りつつ、例の第一目的地のOttofelsen(オットフェルセン=前回出ていたでかい岩)から同じ経路を戻る。

あるいは直進して、山の中にあるカフェで一休みして戻る。

後者のほうが遥かに魅力的な案なのですが、一つ問題が。カフェより先に低いながらも尾根筋の向こうにある駐車場に直接戻れるがあるかどうかわからない。

まいっか。カフェで一休みしたいし、なんとかなるべ。

人生のすべての事象において、この「まいっか」は失敗の元です。それをしばらく後に痛感するハメになるのですが、もちろんこの時点でそんなことは知る由もない。


暫く進むと

何かありますね。

ここが、Steinerne Renneという森のなかにあるカフェ…というか本業はホテル。泊まれます。午後3時20分に到着。

こちらはどうも裏口らしく、ドアを開けるとそこにあるのはトイレ。

ドイツの素晴らしいところは、こんな山の中のトイレでも水洗でキレイです。いや、日本のあのウォシュレット付きのハイテクトイレに慣れた人には不満かもしれないけどね。

とりあえずトイレでスッキリした後ホントに良いのかな…と思いつつトイレではない別のドアを開けると

おお、カフェがある。

ここで私はAlsterwasserを注文。要するににビールをレモネードで割ったやつ、つまりはRadler、英語で言うところのShandyなのだが、ドイツ北部での方言…です…たぶん。興味があるという人、このサイトの地図で緑の部分がAlsterwasserがよく使われている部分…らしいです。

このフォークをケーキにぶっ刺すのはやめてほしい…といつも思うがドイツでは割とよくある。

薄まっているとは言えいちおうビールですので、数時間後に運転をする私は自重して少サイズを注文…する横で嫁は大サイズを注文。さらにはケーキを注文。…お前、食べ合わせとかいう言葉を聞いたことがないのか?

こうして40分ほど小休止をしたところで午後4時に再出発。

さて、ここでこちらの地図に注目。ここから駐車場まで戻るのに選択肢は2つ。

緑色の道は尾根を避ける林道(と言っても許可車以外通行止め。たぶんホテルの客も車での到着は想定していないと思われる)。ここを歩けば間違いないのだが、尾根を避け、麓の村まで戻るために遠い。

逆に、来た道を分岐まで戻り、黄色の道を進めばいいが、これまた遠回り。

ホテルの側より振り返って撮影。

ピコーン💡。これを利用すれば、第三の道(ピンクの点線)で本来のGoogleが推奨する道(青の点線)に短絡できるんじゃないか…そう思った私はアホだった。清々しいほどの頭の悪さだった。

橋の上から撮影。

橋を渡ると、尾根を直接登っていけそうな小路がある。方角もさほど間違ってない。…のだが

…なぜか赤白のテープが道を塞いでますね。これはダメそうな感じだ。…という判断も多分間違っていた。もちろんここを進んでいたら崖から転げ落ちて死んでいた可能性がないとは言い切れない。それでもここを進んでおけば今後の問題は起こらなかったわけで。結果論としてはこれを見た時点で戻る決断が必要だった。

橋を渡ると川の反対側に進んでしまい、尾根を越えるのが大変になると思い、こちら側を進むことに。なんだが、なんか岩がゴロゴロとした荒れた道でして。しかもだんだんと降りてゆく…尾根を登りたいのに。どこか尾根を登る道はないのか…と思って20分ほど足元の悪い道を進むと…

…なんかある。

実はこの下は水路。歩くなとか書いてる気もするが、こんな歩きやすいコンクリートで、かつ、沢を降りていかないとなると、使わない手はない。申し訳ないが歩かせてもらう。

水路なので…という言い方をしていいのか、この(水)道はほぼ平坦。多分だけど、私たちの進行方向に「たまに」流れている。たまに水音を聞くだけなのだ。

10分ほど歩くと、ついに、(十字ではなく)X型に交差する道に出た。

振り返って撮影。光の反射で赤くなっている部分が今出てきた場所。

実に悩ましい。

水路とはX型に交差していて、左に曲がると再び沢を降りていく。遠回りコースに戻る感じ。方角的には戻る感じとなる大きく右方向は尾根を登る方角は正しそうなものの、方角的には完全に明後日の方向。第三の選択肢としてはこのまま水路の上を進む。

問題は、すでに薄暗くなってきていること。翌日には夏時間が始まって日の入りが1時間ほど遅れるものの、この日の日の入りは午後6時くらい。しかも、山の中の日暮れはさらに早い。ちょっと焦り始める。

ここで私の下した結論は現状維持。つまり、方向の正しそうなこの水路の上を進もうと。

谷筋の向こうに見えるのは、さっきの地図で緑で示したホテルから通じる川向うの林道。

別れた林道はぐんぐんと下がっていくらしく、あっという間にずいぶん下まで降りてしまった模様。これは正解だったかな…と思ったものの…

7分ほど進むと…この建物を境に水路はなくなってました。はい、間違った選択肢でした。

後から調べると、この施設の関連だと思われます。ここまで来ているのなら、もうおとなしく緑色の道で麓の村まで出ておけばよかったと今これを書きながら気がついた。

やむなくさっきの林道との交差点まで戻ります。都合15分ほどのロス。ここで遠回りとなるものの確実に村に降りられる下に降りるルートを取ればよかったものの、尾根超えを諦めきれない私は明後日の方向の登りに挑戦。ほら、損切りのできないダメなギャンブラー思考ですね。ここまで頑張ってきたんだから、もうちょっと頑張れば報われる…という考え。ここで下に降りてしまっては今までの努力が無駄になると。

いよいよ太陽は山の稜線の向こうに沈みそうです。

ようやく尾根まで上りきると、待ち望んでいた方向への道が見つかり嬉々として進む。

山の稜線上なので景色も良い。ヴェルニゲローデ (Wernigerode)の街も一望できる。

ズームを使うと、ヴェルニゲローデ 城もばっちり撮れます。おお、なんか自分がドイツかどこかにいるような感覚を覚えます(感覚じゃないんだけどさ)。そして、確証はないが、多分私はこの場所からヴェルニゲローデ 城の撮影に成功した最初の日本人だと思う。うん。何の自慢にもならんわ。

ここで奇跡が。尾根筋に出たせいか、スマホの電波が入り始めた。しかも微弱ならがも4Gだぜっ。詳細な地図が出てきた。これはいけるっ。

で、そんなGoogleさんがおっしゃるのは

ここでGoogle Mapの推奨の道と今度もX型でようやく合流するらしいのだが、どう見てもそっちの道筋は薄い。

うーん。道、あるような…ないような…。ああ、自分たちの影の長さが日の入りが近いことを教えてくれる。

振り返って撮影。

とりあえず進み始めますが…

これは「廃道」ってやつですよね。たった2ページながらも廃道をゆく4とかいう本を執筆したものとして言わせてくれ。これは廃道だと。

道が激藪の中に沈んだので森のなかに避難しますが、「避難」の結果「遭難」しそうなので…

…廃道に戻ります。藪のドゲが刺さったりもう大変。

そうして廃道に四苦八苦すること20分…

ようやくまともな道に戻ってきました。

…たださあ、この道、どう考えてもさっきの分岐をそのまま進んだ道なのよね。つまり、下手にスマホの電波が入ってGoogle Mapが復活したもんだから、逆に迷った…ということになる。

電池が一気になくなってきたスマホがいうにはこのあたりを右に降りろ…というのですが…

そこに道など…ないっ。どう見てもない。

おそらく林業関係の車両のためにぐるっと転回できるようになっているんだと思う。Google Map上で描かれているX印の道は確実に存在しなかった。

この先まで進んで確認したのですが、どう見ても降りる道などない。ごていねいにこの道はぐるっと回って折り返してしまった。もう戻るという選択肢もないので、せいぜい数百メートルのこと。降りましょう。ここを。

…なんとなく道筋が出てきまして…

…ずんずん降りていくと…

…突然保存鉄道をくぐるガード(あるいはトンネル)が出てきました。ここは古道のたぐいなのでしょうか。

ぬかるみ気味なブル道化した道を進むと…

午後5時50分。ようやく駐車場に戻ってきました。

…ところが話はここで終わらないんだわ。もう1回だけ続く。