雑談:スーツケースについての私的一考察

スーツケースを買いました。


実はこの5年くらい愛用のスーツケースがあった。なぜかMarks & Spencerで買ったもの。会社からボーナスとしてもらった商品券の使い道がなくてしょうがなく80ユーロ(13,000円)くらいするこのスーツケースを買ったのだ。機内持ち込み可能な最大サイズの布製スーツケース。安いスーツケースが30ユーロ(4,500円)以下で手に入るんだからかなり高い買い物だったと言えると思う。


買った瞬間はもっと別の有意義な金の使い道があったんじゃあないかと思ったのだが、使ってみて驚いた。安定感が違うのだ。歩道の凹凸があってもものともしない。こりゃいいやと日本にも行き、イギリスにもドイツにもいろんなところを一緒に旅した。5年にわたり歩道の高い段差を無視したりとか、日本への大陸フライトでは足置きにしたり、ほとんどぶん投げんばかりに使ったりと酷使の限りを尽くしたもののまったく壊れそうな気配がない。「安物買いの銭失い」ってよく言うけど、なるほど、いいものは高くても買っていいんだなと初めて知った。


ちなみにMausi(ごくたまにしか出てこないけど私の彼女の仮名だったりする)の持っているスーツケースはAldiかLidlで買ったらしい安物で、引っ張ってみるとその違いは歴然。歩道のわずかな凹凸でもぐらぐら不安定になり最悪倒れてしまう。


で、たまに彼女が私のスーツケースを使ったりしているうちに、いつの間にか私のスーツケースが行方不明になった。最初は彼女の実家にでもあるんだろうと思っていたが、先日帰省(っていうのかな)をしたときに気がついたのだが、彼女の家のどこを探しても私のスーツケースはない。忽然と消えてしまった。


それから数カ月待ってみたが、私の愛しのスーツケースが見つかる気配はなくついにあきらめたわけ。そして、買ったのがこちら。

スーツケース

スーツケースはモノの違いがわかる!ということに気がついてついに買ってしまいました。サムソナイト。買って気がついたのですが、ポケットがたくさんあったりとか荷物が多いときはスーツケースそのものが拡がるとかいろんな賢い機能がついてます。さすが伊達や酔狂でサムソナイトを名乗っていないんだと一人で納得。


実を言うと、私、学生時代にバイトでスーツケースの販売をいたしておりました(いろんな過去のあるやつ)。その時に当然サムソナイトのスーツケースも売っておりました。…ってか基本的には利益率の高い店のオリジナルスーツケースを売るように言われてたんですけどね。だけど、やっぱりサムソナイトのほうがいろんな意味で洗練されている気がした(値段も店のオリジナルのものより2-3倍したのだが)。その時に、思ったんですよ。「ああ、こんなスーツケースで世界を飛び回る大人になりたい」って。


それから10年。サムソナイトのスーツケースを持って月に数回ヒコーキに乗るご身分になりました。が、未だに大人にはなっていない気がします。


…と、実は作り(「ああ、こんなスーツケースで世界を飛び回る大人になりたい」ってのは作り)でうまく話をまとめたんですが、僕の悪い癖、続けてしまう。


アイルランドに初めて来たとき…実は海外初体験でした。一体どーしたらいいかわからない私は上野(正確には御徒町)のディスカウントストアー多慶屋に行って「一番大きいスーツケース」を買った。これがあとになって気がついたのだがまったく使えないシロモノなのだ。


というのも、スーツケースそのものが重い。記憶が正しければスーツケースそのものの重さが8キロとかあったんじゃあないだろうか。ご存じのとおり(アメリカ線などを除いて)国際線のエコノミークラスの無料の預け入れの荷物は20キロまで。それなのにその半分近くをスーツケースそのものに使ってしまうと、実際に運べる荷物は10キロちょいという計算になる。こんな莫迦な話はないということに気がついて私は機内持ち込みではなく預け入れのスーツケースも軽い布製のものを愛用している。


いっつも日本から帰るときに大量の書籍を買って帰るのでこのスーツケースが25キロとかの重さになる。25キロのスーツケース、大目に見てくれる可能性もあるけど文句を言われる可能性があるのでご注意を。さらに一つが30キロを超える重さのスーツケースは受け付けてさえくれない可能性もある(なんでも荷物を取り扱う係の健康を考えてなんだと)のでそれはそれでご注意を。それから状況によっては小さくなるジムに行くような大き目のスポーツバックも愛用。


でね、成田でいっつも思うのだが、成田のベルトコンベアで流れてくるスーツケースはほとんど十中八九重そうな、そして頑丈そうなスーツケースがどんどん流れてくる。これ、ホントに成田(あるいは日本の国際空港)特有の光景だと思う。みんながみんな判で押したように大きなスーツケースを使っているのがすごく不思議。


いろんな国のステッカーを張って自分が行ったことのある国を自慢せんばかりのものとか、でっかく主催旅行社の会社名のタグを貼ったもの、派手なスーツケースベルトを貼ったもの等々いろいろだが、ほとんど例外なくそのすべてのスーツケースは頑丈な樹脂製とか下手するとジュラルミン製の大きなスーツケースばかり。私の布製のスーツケースもすでに浮いてますが、さらに私のナイキの真っ赤なスポーツバックはもっと浮いているような。


さらに話は脱線するけど、まだANAが成田の第2ターミナルを使っていたころ、荷物受け取りのベルトコンベアの端っこに横になって出てきたスーツケースを立てる係が必ず二人いた。あれを「ああ、日本はなんて親切な国なんだ」と感じるか「人件費の無駄じゃねえの」と思う人といろいろだと思うけど、擦れた私は後者。そんな人間を雇う金があるなら着陸料を安くしろ(=航空券を安くしろ)といつも思っていた。


もし、海外経験があまり豊富でなくてどんなスーツケースがいいか悩んでいるという方、私は自信を持って言いたい。軽いものを買えと。よく「よくスーツケースは壊れるから丈夫なものを買ったほうがいいのでしょうか」とかいう感じの質問を見かけるけど、私、10年近く旅行してますが、スーツケースを壊されたのは一度きりです。しかも、その時も航空会社はそのスーツケース代を払ってくれました。


つまりね、どうせ壊れるときは壊れるんだから、わざわざ丈夫なものを買う必要はないということ。おススメは軽くて、引っ張りやすいやつ。これに尽きますぞ。