パケット6万キロの旅

どーでもいい話です(またかよ)。


インターネットなるもの、ものすごーく基本に立ち返ると、情報が「パケット」という単位にまとめられて、自分のコンピューターから出発して、あちこちのコンピューター(やサーバー)を経由しつつ、目的地まで到達するんですよね。


さて、うちのインターネット、光ケーブルとかが当たり前に普及している日本からは笑われるでしょうが未だにADSLです。公称下り10Mbps上り512Kbps。


上りのしょぼさには涙がちょちょ切れる限りですが、まあ、アイルランド国内で速度の確認をすると、公称の速度が出ていることは確か。


ところが、です。この速度チェックを日本のサイトで行うと、とんでもないことが見えてくるのです。


「それなりってなんなのよー」とレベッカの歌が頭に回りつつ(←古い)某日本の(←ここ重要)価格比較サイトからの結果。上りはともかく、下りの速度がなんと73%低下!


何度か別のサイトを含め試してみましたが、結果はほぼ同じでした。それにしても日本のサイト、どこのプロバイダだか入力しろだとか、「ただで情報はやらん」という態度がありあり。ぶっちゃけうざい。


ここで話は最初に戻ります。イメージを湧きやすくするために、私の送信したパケットが地上の道路を通って、海上は航路(=海底ケーブル)を使い日本に向かうとします。で、アイルランドから日本まで、まずはイギリスまで船(海底ケーブル)で渡り、そこからオランダへ。EU内をちょこちょこ通ってロシアに行き、シベリア鉄道でウラジオストクまで行って日本海を渡って日本へ。この距離ざっと1万キロ。往復で2万キロ。


…というのは実は根本的に間違ってます。何度試しても、パケットはアメリカ経由で送信されるのです。おそらく、海底ケーブルの太さなどの理由でわざわざ遠回りをしているものだと思われます。地球一周で4万キロらしいですから、私が日本に向けてパケットを送ると行きと帰りで3万キロ(4万-1万)づつ、都合6万キロの旅が一瞬で行われる計算になります。


そりゃ速度が7割低下になるわな。


これって考えてみるとすごいことだと思いませんか。日本のサーバーに「おげれつ画像よこせ」って要求したら(なぜにおげれつ画像…)、その要求は大西洋から太平洋を経由して日本に届き、日本のサーバーは、「おとうちゃん、あんたも好きねえ」と言いながら(言わねえよ)再び太平洋から大西洋を経由してヨーロッパまでおげれつ画像を送ってくれるのです。


この理論を証明するために、アメリカのサーバーで速度を確認したところ案の定と言えば案の定、この中間程度の速度が得られました。


普段、水道の水の蛇口をひねれば水は出てきます。自分の家に来ている水道水が、どこの浄水場から来ているかなんて答えられる人は(地方の簡易水道でもない限り)なかなかいないのでは。実際東京都内などでは水が(複数の浄水場から)「ブレンド」されているらしいですし。


同じように、インターネット上で自分の送信したパケットがどこを経由しているかなんて気にする人はそうそういないはずです。だけど、ちょっと興味を持って調べてみたら面白いことが分かるかもよ…と、思えば小学生夏休みの自由研究みたいな話になりましたが、まあ、そーゆーことです。