朝からテンションの高い人たちと、謎のトンネル

金曜日の早朝。空港に行かねばならぬ。普段なら3キロほど離れたバス停までてくてく歩いていくのだが、外は雨。だりい。とりあえず表通りまで歩いてタクシーを捕まえて、いつものバス停とは別のHeuston駅まで行こう…と決める。


ところが、歩き始めた刹那、100メートルくらい先で客を降ろすおベンツのタクシーを発見。動き始めたタクシーを速攻捕まえる。ラッキー♪運転手さんはPaddyさんというもうおじいちゃんと呼んでも怒られないくらいの白髪の男性。


私:「おはよー。Heuston駅までよろー。運転手さん、ラッキーだね(この時間にお客をおろした瞬間にお客を拾えるなんて)」
運転手:「んだ。ラッキーだのう」


…と言いつつUターンしかかる運転手さん。ちょいと待たんか。なんでUターンするんだよ。目の前のRoundabout(ロータリー)を右折すればいいだけでしょうが。仮にUターンすべきだったとしてもすぐにRoundaboutがあるんだからそこでUターンすればいいのにこんなせまいところでUターンしたら切り返しをしなきゃいけないだろうが。


運転手:「この辺、道知らなくてねえ。いっつもさっきおろしたお客さんを乗っけてくるんだけどいっつもUターンするんだよね。あっはっはっ」
私:「わかるわかる。俺も(最近再開発が進んだ)Sandyfordとか行ったらもうどこをどう走ってるのかわかんなくなる」
運転手:「んだんだ」


…まあ、道を知らないことを豪語するタクシーの運転手さんというのもいかがなものかと思うが、知ったかぶりをするよりマシかなと言う気もします。ともあれ、会話が始まったのだが、まあ、朝の5時だというのにこの運転手さん、もうどうにも止まらない∞チャットスタート。こっちも負けてませんよ。どこに行くのかと聞くから、ドイツと言えば、運転手さんは来月ハンブルグに行くと言い、こっちはHannoverでのぼったくりタクシーの話などしゃべりっぱなし。あっという間にHeuston駅に到着。


いっつも謎に思うのだが、感じのいい運転手さんは運賃をおまけしてくれる。たとえば、運賃が13.85ユーロだったら13でいいよって感じで。こっちは感じのいい運転手さんにはチップを渡してもかまわないと思っているので、15ユーロ渡しておつりはいらないよみたいな感じになるのだが。今回もそんな感じに。


さて、なぜにHeuston駅に来たかというと、ダブリンバスがダイヤの統廃合をして空港急行バス748が廃止されて、747に統合されたから。747は市の中心発着で748はHeuston発着。748は市の中心部を経由して行くわけだから、ほとんどルートはかぶっている。だとすれば、確かにこの統廃合は理にかなっている。ダブリンバスとしては、乗客の利便性を損なわずに運行本数を減らしつつ、乗客としては、Heuston駅からの運行本数が倍増(30分おきから15分おきへ)の改善と、最近日本でよく聞くフレーズ、Win-winのケースになるわけ。


もっと言うと、Heuston発の始発バスが大幅に繰り上がった。誰が考えたか知らないが、頭がいい。あ、ちょっと訂正。747は確か日中10分おきの運行が15分おきになったから、747に限ってみれば、実はサービスは低下してるわ。

朝の5時15分。まだ駅は閉まっているにもかかわらず第2便のバスは待機していた(始発は5時ちょうど)。運転手さんに、「おはよー、いつからルート変わったの」と聞くと、2週間くらい前だと言い、やれおかげで乗客数が増えただなんだこの運転手さんもバズーカートーク炸裂。朝から皆様テンション高いのう。


ちなみにルートも変更され、市内のあちこちで客扱いをするようになった。まあ、言いかたを変えると遠回りする上に所要時間も若干増えるわけだが。こんなことができるようになったのは、市の中心部に通過車両を流入させないという当局の思惑が不景気も手伝って当たって、車が減ったからに違いない。


The Pointでも客扱いをするようになり、これにより747は確実にダブリン港トンネルを経由するようになった。今までのように、運転手さんの気分で「トンネル経由」と行き先表示板に大書きしているにもかかわらず、Drumcondra経由で運行するようなことは(でき)なくなった。


ぼーっと外を眺めていると、ん?と気がついた。今、そこの電光掲示板に「トンネル閉鎖中」って書いてませんでしたか?うん。書いてた。確実に書いてた。


なのに!その表示に気がつかないのか、運転手さん、そのままトンネルに向かって直進。おっ、これは料金所前でUターンという珍しい光景が見られるかと思い、急遽ケータイのビデオを回す。それが下のビデオ。あ、最初の2分くらいまで見れば、後は見る価値ないです。よっぽどおヒマな方とか、自らに苦痛を与えるのが好きという方でもない限り。ちなみに途中で電光掲示板に「トンネル閉鎖中」って書かれているのを確認できます。




…というわけです。途中でUターンするどころか、トンネル、フツーに通れるし。「トンネル内歩行者あり」(たぶん作業員さん)という電光掲示板と30キロの規制速度、どう見ても誰も守ってないし。しかも途中から50キロになり、気がついたら80キロになってるし。わけがわからんぞ。


かくして30分かからずにダブリン空港に到着。ちなみにこれ書いてるのダブリン空港。ヒコーキに乗ったはいいが、定刻から1時間経過したのに動き出す気配なし。やれやれ。