【イノトランス2018-5】Stadler社の車両をどんどん評価


それでは前回に続きまして、張り切って誰にも頼まれていない車両の辛口評価、参ります。

エントリーナンバー5。DB-Baureihe 483/484

総合評価★★★

 

今回のイノトランスの一般公開日(土曜日)にひときわ人気だったのがこいつ。…なんのこたーない、おらが街ベルリンの電車が新しくなるーと地元民が大挙して押しかけていた…というわけ。

 

土曜日の一般公開日に撮影。大行列ができてます。

 

実際一般公開日の土曜日にはすごく並んでいたのですが、私たちは幸運にも木曜日に並ぶことなく車内を体験できました。

 

 

 

こちらベルリンのRing-Bahn…よーするに環状線で使われる新車483/484系(注:リンク先ドイツ語)。環状線と言っても東京なら山手線よりも郊外を走る感じ…例えて言えば、武蔵野線あたりのほうがイメージ的には正しい気がします。中央駅他重要な駅は中央・総武線沿線にある感じです。

 

 

車内は見慣れたモケットのおかげもあってすごく見慣れた感じです。日本的に言えば18メートル3ドア車です。新型車じゃない日比谷線と同じですね。

 

 

ドイツでロングシートのみの車両って見たことがない気がします(U-Bahn=地下鉄除く)。ドア間は基本ボックスシートが4つ。ドアと貫通路の間はボックスシートと二人がけの席。とりあえず、窓割りと座席割が合致しているので気持ちいいです。

 

ボックスシートなのに、対面の人とひざがゴッツンコしないのはいいですね。…誰だ、お前ら日本人だから足が短いんだろ…とか言ったやつ。

 

座ってみると、座席は硬いものの、ドイツ国鉄の一部車両に採用されているほとんどベンチだろ…これ…っていうシートよりはマシです。まあ、短時間ならおしりも耐えてくれるでしょう。自分で「シートピッチが広い」と自慢してますが(緑色のステッカーに注目)、確かに東海道線とかのボックスシートに比べるとかなり広いシートピッチです。日本的にはこれだけ広いと混雑時にボックスシートにまで立ち客が入って来る恐れがありますが、少なくともベルリンではそんなことは起こらないでしょう。

 

 

貫通路脇に謎の席発見。

 

 

なんじゃこりゃ?

 

 

座面の高さがわずか40センチ。かつ、シートの長さが他の席に比べて2/3くらいしかない。子供用…といえば一瞬納得できるのですが、よく考えたら保護者はどーするねん。おそらくバリアフリーの一環なのでしょうが、この席を必要としてる人ってどんな人なのか、もしご存知ならご教授ください。

 

 

…私は何を撮ろうとしたんだろう。たぶん、握り棒の位置が高い(つり革が設置されてない)と言いたかったんじゃないかな。覚えてないけど。

 

エントリーナンバー6。British Rail Class 755

総合評価★★★★

 

お次もStadlerの車両です。British Rail Class 755

 

 

この顔を見てピンときた私。この、黄色い顔はイギリスだろう…と思ったら正解。イースト・アングリアで使われる車両らしい。来年の5月から使用…ってことだから、もしかすると、このイノトランスにてお披露目だったのかも。

 

 

日本では小田急のロマンスカーなど一部を除きほとんど見ない連接台車…Wikiを丸写ししていいなら「2個の車体の一端を1個の台車で支持し連結している車両」です。乗客の側からすぐに分かることは、中間車の一両あたりの長さが短くなることでしょうか。

 

というわけで、各車両にはドアは一つしかありません。イメージ的にはJR九州の783系(ハイパーサルーン型)ですかね。

 

 

座席はいわゆる集団お見合い形。座席は長距離にも耐えられる程よい硬さです。

 

 

 

もちろん車椅子スペースも完備。

 

この車両の大きな大きな特徴はこれでしょう。

 

 

編成のちょうど中央にあたる短い車両がなんと座席のない動力車。動力車って先頭とか最後尾にあるもんだべ…という常識に囚われていた私には新鮮な驚きでした。

 

 

外から見ると分かりやすい。この車両はドアもなにもない動力車。思えば、乗客がフツーに行き来できる動力車って珍しくないですかね。Bi-Mode Multiple Trainという名前からも分かる通り、電気でもディーゼルでも行ける両刀使いのようです。

 

すごく気になったのがこれ。

 

 

この窓はなんですか。

 

ヨーロッパの車両って、非常口の他に非常窓…ってついてることが多いんですよ。

 

 

参考資料的に、別の車両から引っ張ってきました。非常窓。非常の際には画面右にある赤いハンマーで窓を破って車外に避難できるわけです。

 

翻ってこちら。

 

 

なんで非常窓が中央で窓が2つに分かれているの?

 

ちょうど係の人がいたので捕まえて聞いてみた。細かいことが気になるのがボクの悪い癖…なんです。そのセリフを常用する人のひらめきの1/10くらいしか私にはないわけですが。

 

すると、大意、こんなことを教えてくれた。

 

「窓の右にある白い箱を開けるとチェーンつきの鍵があります。その鍵を窓の赤い位置に当てると窓が開きます。そのチェーンで窓は開いたままになります」

 

ほっほー、これは興味深い。でも、なんでよく見るハンマー式にしなかったんですか。

 

「ハンマーはよく盗まれる…いざという時に使えない可能性があるという問題がありまして」

 

確かに。よくハンマーがなくなってるのを見る。どんな了見で盗むのかは知らんが、いざという時死活問題になりえますね。

 

ところで、電車ってヒコーキの90秒ルールみたいなものはあるんですか?

 

「あります。3分以内での避難が可能であるように義務付けられてます」

 

ほー。さすがですね。お詳しいですね。

 

「だって、この窓、ボクが設計したんですから」

 

…なんですと?

 

なんというのか、美術館で「この絵は斬新な構図で描かれていて興味深いねえ」とか知ったかしてドシロートが偉そうに語ってたら、相手はその作者だった…とかいう感じの穴があったら即避難という案件です。あなおそろしやイノトランス。

 

ただ、思ったのは、3分ルールってヒコーキに比べて遥かに甘い気がする。