ダブリンのGrand Canalを15キロ歩いてみた(2=完)


前回の続きです。途中で数えるのをやめましたが、写真の数は50枚を超えてます。

 

13時32分。あと8.9キロ。

 

M50の真下。この写真だけ見ると、どこのドブ川やねん…という趣です。

 

 

Google Mapより加工。中央の深緑の部分が件のGuinness Filter Beds。

 

M50 を抜けると今度は左側にParkwestというビジネスパークが出てきます。この脇にあるのがGuinness Filter Beds。ここ、その名の通りその昔はギネスの工場の取水口だったんだと。もちろん宅地化が進み、おそらくここの水だってビール用の水としてはもう使えなくなっちゃったんだろう。現在は取水はしているものの、飲用には使っていないとのこと。つまり、ギネスが黒い秘密はこの水のせいではないわけです(←そもそもギネス、現在はダブリン以外で醸造しているらしいし)。

 

 

Parkwest脇にあるのがLock 8(第八堰)。ここで子供(はっきり書けばクソガキ)が数人泳いでました。気温は22度。私の肌感覚では泳ぐにはちょっと寒いのですが…きっと感覚が違うんでしょうね。

 

13時51分。あと7.9キロ。

 

 

お次はKileen Road。ここでは遊歩道が橋に向かって登り始めます。また信号による平面交差かと思いきや…

 

 

…歩行者に限り、橋の下に迂回できる設定のようです。こうなったのにはおそらく理由があります。というのも、ここは以前、橋の上で離合ができない+見通しがきかない=片側交互通行…という典型的なボトルネックになっていた橋なのですが、10年以上前に新しい歩道まで完備された橋になりまして…

 

 

 

…このように橋が連続した構造になってます。おそらく旧橋の下に自転車用の高さと広さが取れなかったのではないかと想像。

 

振り返って撮影。こちらが旧橋。

 

こうやって比較すると、新しい橋も古い橋と同じような石橋のような外観にしていることに好感が持てますね。

 

 

橋のたもとにはパブがあったのですが、こちらも閉鎖され、アパートになっています。アイルランドといえばパブ…なのですが、地方のことは知りませんが、ことダブリンではパブの数は確実に減ってます。

 

 

この橋を超えるとまたまっすぐに…って、おい、路肩になにかモザイク無しで掲載してよかったのか悩むような物体が落ちてます。これまでも、犬とかのは落ちていたのですが、これは…馬…だよね。ここには前回のように馬車も入ってこられないし、なんでこんなもんが落ちてるんだ?

 

 

…なんかはるか彼方に…いますな。

 

 

…なんか、馬と牛のハイブリッドのような謎の物体がいました。反対側の街路灯にちゃんと繋がれており、野良馬…ではなさそうなのですが、なぜ、遊歩道に馬が繋がれているのか。相も変わらずアイルランドは謎多き国です。

 

14時00分。あと7.3キロ。

 

Lock 7(第7堰)に到着。

 

 

 

 

実はこの写真、かなり引いた場所から望遠を使い撮影。というのも、家族連れが泳いでたんですよね…。こんなとこでよく泳ぐわ。で、望遠で撮影した写真をさらに無理やり拡大してみると…

 

 

 

…ご覧いただけますか?写真左側の紫とピンクの物体。そう、滑り台まで堰に設置しちゃってる。この家族が設置したのかなどは謎ながら…地元の非公認のプールになってそうな気がする。

 

このあたりになると、いよいよ治安がどうなの?…という雰囲気になります。

 

 

住んでいる人には失礼ながら、ここ、どうなのよ…と思う場所になぜか一頭の馬。

 

 

ここでKylemore Roadと交差します。信号の押しボタンが破壊されているあたりからもこのあたりの治安が伺えます。

 

 

この先もまたひたすらに真っ直ぐな道が続きます。ただ、このひたすらにまっすぐの遊歩道はInchicoreで終わりになります。この地名にピンときた人はある意味でアイルランド国鉄マニア。ここに巨大な操車場があるのです。

 

14時12分。あと6.4キロ。

 

Lock 6(第6堰)に到着。

 

 

 

Lock 5(第5堰)を振り返って撮影。なぜか第6と5堰の間は300メートルに満たないすぐの距離。おかげで、写真撮影を忘れて通過してしまうところでした。

 

 

このあたりで撮った万歩計のスクショ。あれ、もっと歩数を稼いでいるつもりだったのにな…と正直思った。

 

Lock 4(第4堰)もすぐに現れます。Lock 3(第3堰)も同じ写真内に収められています。かなり短い距離で堰が続いています。

 

 

14時19分。あと5.8キロ。

 

Lock 3(第3堰)に到着。ここがLucanから延々と続いてきた、2時間以上かけて歩いてきた遊歩道の終わりです。

 

 

…と言っても運河はここからももちろんダブリン湾まで続いてまして。ここから先は遊歩道としては整備されていないか、あるいは以前に整備されたままなのかのどちらか。

 

 

R810(Naas Road)を渡ると風景が変わります。

 

 

ここからも歩道が運河に並走しているのですが、今までのような横幅のない、どことなく狭苦しい感じの歩道に変わります。

 

(振り返って撮影)

 

ここからしばらく運河はLUASと並走します。

 

 

LUASが「乗ってもいいよー。街まで乗っけていくよー」と妖しく私を誘います。

 

…なんだけど、ここまで来てLUASに乗ってリアイアしようとは思わなかった。なんとなく足を止めたらもう歩く気がしなくなるのはわかった。なので、意地でも足を止めずに歩き続けようと思った次第。

 

14時34分。あと4.8キロ。

 

Lock 2(第2堰)

 

 

こちら、第二堰などと言うより、Goldenbridge駅と言ったほうがたぶん知名度は高い。Luasの駅の真横にあります。なんかヨッパーが電車を待っててここに落っこちたという悲劇が今までに起こっている気がする。

 

 

そして、ついに第一堰…ってあれ、この先にもう堰はないの?ちなみにこの堰はやはりSuir Road駅の真横にあります。

 

 

ここで運河はM50以来初めて、そして大きくカーブします。ここからは市内を弓状にかすめていくので地図で見ると弓なりに曲がっている感じになります。なので、この弓状に湾曲した運河をたどるとかなり遠回りになるのですが、毒を食らわば皿まで、遠回りと知りつつもこのまま運河をたどることにします。

 

とりあえず、道路を渡るのが嫌だったので運河沿いに進めるかと階段を降りてみると

 

 

…Luasの線路の真下で行き止まり。この人気のない橋の下…絶対日が暮れたら来たくないなとか思っていたら

 

 

…やっぱりですか。2015年にここで亡くなった方の慰霊の写真が貼ってある。事故か事件かは定かではないが、ここで何かが起きたことは確かなよう。

 

もしこの運河にこんな後ろ暗いところがなければ、私はこの運河をお散歩道としておすすめしたいと思った。だけどさ、この運河、残念ながら「いろいろ」ある。この橋の下辺り、私が霊感なるものを持ち合わせていたらなにか感じたかもしれないが…鈍感な私にはただの人気のない橋の下だった。

 

 

カーブした先の運河は、大きく育った木を河岸を携え、また別の顔を見せました。

14時49分。あと3.7キロ。

 

 

Herberton Roadの橋…たぶんHerberton橋っていうんでしょうけど…にさしかかる。左岸に人が歩いておりそちらのほうが良さそうなので橋を渡り、対岸へ行くことにする。

 

 

橋の上から。おそらく100年単位で似たような風景だったのではないかと考えたが…

 

 

…左岸の木々に隠れた部分には公営の団地。さすがにこれは100年前にはなかったと思う。

 

14時55分。あと3.3キロ。

 

 

普段だったらぜーーーーーーーったいに歩いたりしないDolphins Barnまでやってきました。そのまま訳せば「イルカの納屋」。ダブリンに初めて来たときにはこの地名からなにかしらステキなものを想像しましたが、現実は…まあ、このご近所にお住まいの人がここを読まれている可能性もあるからあまり悪いことは書くまい。

 

 

橋の上から。見てのとおり、市内方向すなわち左岸には道はありません。選択の余地なく右岸に戻ります。

 

 

…おっ、運河沿いに細道があるぞ。降りてみよう。

 

 

…と思った私はアホタレでした。ゴミだらけ、簡易舗装は木の根っこでめくれ上がり歩きづらく、最悪だったのが、どうも茂みの中で動物が死んでいたらしくものすごい腐臭が…。まさか人間だったらシャレにならんが、幸いなんの死骸も目にすることはなかった。

 

それにしても、1メートル上の通りは私も車で何度となく通っている。なのに、この細道の存在は全く知らなかった。ひっきりなしに往来している車からは完全なる死角。何かしらの犯罪が起こるとすればこんな場所だろうなあ…ってそう思うなら歩くなよ。

 

 

お次の橋、Donore Avenueで上の道に復帰できそうでしたが、橋の下にも小道が続いているようなのでこのまま進みます。あ、ほら、アレですよ、道路を横断するより安全でしょ。

 

 

さっきも書いたとおり、私には霊感なるものはまったくない。が、ここにある明らかなる負のオーラは感じるぞ。ここ、いたらあかん場所や。

 

 

その先にもへろへろと細道は続いていますが…

 

 

…ついにそれも途切れ、強制的に運河沿いの道に戻されます。ちなみに上の写真に映る3人組、30分ほど前に撮影された写真にも登場してます。私のほうが歩くペースが早いのですが、途中で反対側に移動したり、写真を撮ったりしているうちにこうしてつかず離れずの距離で歩き続けてます。それにしても、この人たち、どこに行くんだろ。

 

15時12分。あと2.1キロ。

 

 

Harold’s Crossに到着。

 

 

橋の上から。はい。また左岸に移動。ここから運河を離れて市内方向に向かうことも考えたのですが、あと橋ひとつ分だけこの運河につきあうことにします。

 

 

左岸には歩道が整備されてました。

 

(振り返って撮影)

 

一つ上の写真からはへろへろした小径のような印象を受けますが、実際はベンチなども備えられた立派な遊歩道です。

 

15時21分。あと1.3キロ。

 

 

Portbello橋のたもとに堰がありました。…って、あれ、1番堰はすでに出てきてるんだから、ここは何番になるの…と思ったのですが…

 

 

Grand Canal Circular LineにあるC7堰…と別の数え方になっているようです。

 

 

ここから先はウィニングランならぬウィニングウォークなのですが、途中のCamden Streetまで来ると、突然交通規制が敷かれていました。

 

 

バスが隊列を組んで動かなくなっています。ずっと動かないんだからエンジンを止めておけばいいのに「アイドリングストップ」などという言葉をご存じないようで、バスのエンジンからは排気ガスがもうもうと出されており、空気の悪いこと悪いこと。

 

 

この道路規制とバスの渋滞の原因はDublin Prideというお祭りのパレードのせいでした。このDublin Prideって、いわゆる性的少数者の人たちのパレードなんですが、年ごとに規模が大きくなり、3月17日の聖パトリックの祝日のパレードすら凌駕するんじゃないかってくらいの盛り上がりらしいんですよ。ちょっと見てみようか…という気もしたのですが、ここ、パレードの終了地点にほど近く、さらには終了時間にも近かったらしくかなりダラけた感があったこと、それよりも何よりも座りたかったのであえて見なかったことにしました。

 

 

というわけで、到着。15キロ以上歩いても、結局最後にやることはいつもと同じ。Hogansというパブでおいしい一杯をいただきました。

 

言うまでもないことですが、帰りはバス。バスの運賃2.65ユーロとかなんですが…やっすいなと思いました。3時間かけて歩いたあとでは。