そらまめ号(+嫁のポンコツイタ車)ドイツで車検を受ける


そらまめ号、ついこの前買ったばかりのような気がするのですが、もう3年も経つそうです。というわけで、買ったディーラーさんで定期点検整備をしてもらいました。

 

そらまめ号…見ての通り日本でおなじみの日産ノートです。ただし、あのe-POWERは日本のガラパゴス仕様でこっちでは売ってませんので、これはエコスーパーチャージャーとやらがついたDig-Sモデルです。そらまめ号は「空色の小さな車」の意味です。

 

そして、日本同様、ドイツにも2年毎に車検があります。ただし、初回だけは3年目…やはり日本と同じですね(ちなみにアイルランドも)。つまり、3年目の今年は車検も受けなければならないと。

 

 

さて、一方でうちの嫁も車を持ってまして。こちらは13年選手のイタリアのプントという名のポンコツ。嫁は「予防整備」とかいう言葉を聞いたことがない、壊れたら直す…というある意味潔いやり方でやってきたので、ここ数年もう議論の余地なく「ポンコツ」車認定。数ヶ月前にあっちが壊れたと修理に出し、そうかと思うと今度はこっちが壊れたと。ああ、FIATはFix It Again Tomorrowの略というの英語圏の鉄板ジョークを体現している。そもそもドイツに住んでいるドイツ人なんだから、おとなしくVWでも買ってればいいだろうに(ことワーゲンのふるさとはわりと近所なのに)…と思うのだが。

 

もう私の意見は単純明快でして、「捨てろ」。だって車検を通すためには当然あっちもこっちも修理しなければならないだろうし、それを考えたら廃車にしたほうがいいとしか思えない。ところが嫁が怒涛の反論をしてくる。

 

まず、おとんの車がなくて困る。階下に住む嫁の両親は車を一台しか持ってない。なので、二人で別行動となると車が足りなくなり、嫁の父がよくプント号の鍵を借りに来る。…それはお前の問題じゃないじゃん…と思うのだが、車は3台あったほうが便利だと言い張る。私に言わせると、便利なのは間違いないけど、どれだけ費用がかかるのよ…っていう話。

 

そして、どうしたことか去年の春辺りからなぜか件のポンコツイタ車が一度も壊れていないのだ。…そのことを驚くことが逆に変なのかもしれないが、確かに冬場にバッテリーが弱り気味…ということを除けば車は問題なく走っている。なので車検を受けてみたいと。

 

ホントに莫迦じゃないか。その車検を通すためにいくら掛かるんだ…と心の中で悪態をつく私。

 

予防整備の発想のない嫁は前検査で行くと。つまりは、車検を受けてみて、不合格になった箇所を修理して再検査にて合格を狙うと。まあ、勝手にすればいいけど、その車検を受けるのに100ユーロ以上の費用がかかるのよね。そこで、たくさんの不合格点の指摘を受けて泣く泣く廃車にする…という流れしか見えない。

 

さてここで日本の状況のおさらい。日本で車検を受けるとなると、陸運局に車を持っていって(あるいは代行で持っていってもらって)検査を受けるか、指定工場なる陸運局に車を持っていかずとも検査ができる場所(民間車検工場ともいうらしい)に持っていくかの二択。ドイツの場合…というか都市部の話は知らないから私の住む某村の場合…指定工場なる発想はなく、Tüvなる第三者認証機関が近所の町に点々とあり、そこに車を持っていくことになる。

 

ちなみに日本だったら、近所の修理工場が指定工場なのでここで検査も整備もできる…ということがあるけど、ドイツの近所の修理工場に車を持ち込んでも、修理工場は検査をする権限がないのでこのTüvに車を持って行き検査を受けることになる。ちなみにTüv以外にも第三者認証機関はあるらしいのだが、知らん。

 

というわけで、私のそらまめ号の定期点検整備をディーラーさんで受けたときも、「車検も一緒にやってしまいますか」(=整備の後私たちがTüvまで車を持っていって車検を代行しますよ。もちろん手数料をいただきます)「ご一緒にポテトは…」と同じノリで言われたが、代行手数料をケチって自分で行くことにする。

 

嫁のポンコツプント号。車検を受けるにはあまりに中も外も汚い。土曜日に私が洗車場に持ち込み(と言っても機械洗車に並んだだけ)、中も掃除機などで掃除する。まあ、中の汚さは限度を超えてまして、ふと聞いてみた。

 

「お前、最後にこの車を掃除したのいつだよ?」

「えーっと、パパが前回の車検の前に掃除してくれた」(つまり2年前)

 

…放置してるのは整備だけじゃなかったんですね。

 

数日後。嫁は近所の町のTüvに車を持ち込む。私は仕事。

 

1時間後に帰ってきた。嬉しそうな (・∀・) …こんな顔して。

 

「車検通った」

ハァ?

「なんの問題もなかったって。係の人にいい車だねって褒められた」

 

…いや、それはただのお世辞でしょうけど、でも、何も整備をしていない14年選手のポンコツ車が一発で車検に通っただぁ?この第三者認証機関とやらは何を見てんだ?

 

その答えは、翌週、自分の車でしかと確かめることに。

 

そもそも、さっきから第三者認証機関とかいう小難しい言葉を使ってるからこのTüvとやらはすごいところに違いない…と誤解されているかもしれないけど、他は知らんが近所のTüvはおじさんが一人でやっている小さな検査ラインに過ぎない。

 

全景。一部画像処理してあります。左手前が事務所で、その奥に椅子が置いてあり、そこで点検をつぶさに眺めることができます(…ってかそこで待つ以外やることがない)。

 

午前8時に予約をしていたので、日本人の私はきちんと五分前行動で時間前に到着。すると、係のおじさんもちょうど到着したらしく、車から降りてきた。のんびりしている。

 

こちらはいつぞやにダブリンのNCTで撮った写真。日本と違い(あるいはドイツ同様)全部係の人がやってくれるので見てるだけ。

 

やったことはないのでよくは知らんが、日本で陸運局に自分で車を持ち込むと(つまりはユーザー車検をしようとした場合)検査ラインを自分で運転する必要があるらしいが、ドイツではこのおじさんが運転してくれた。こっちは検査ライン脇に何故かおいてある椅子とテーブルで車関係の雑誌をぱらぱら眺めてるだけ。

 

おじさんには助手などいない。一人でブレーキテスターに車を載せたかと思うとブレーキテスト開始。あれ?速度計検査はないの?

 

 

それからジャッキで車を持ち上げ何やら見ているが、大した検査をしている印象は受けない。少なくとも日本みたいにハンマーで叩いたりしてなかったぞ。

 

今度は車を下ろすと排気ガス検査。これもあっという間に終了し、ライトの光軸検査もあっという間に終了。

 

…と後部のナンバーに車検を合格した証明のステッカーを貼ってもらい終了。検査ラインに実際に車がいた時間はたぶん15分もかかってない。

 

私はその筋の人間じゃないからよー分からんけど、日本の検査に比べたら明らかにザル…という言葉が悪いなら検査項目は少なめ。かのアイルランドのほうがまだ検査項目が多かった気がする。まあ、項目が少なく緩いほうが嫁のようなポンコツ車の持ち主には朗報なんだろうけど、考え方によってはだとすればなんのための検査なのか…という当然の疑問に行き尽くし、何よりも、これで106ユーロは高すぎだってば。