マットレスのカバーを買いにIKEAに行ったら…

IKEAに行きました。ベッドのマットレスのカバーを買いに。

そもそも11月に羽毛布団とそのカバーを買ったのに、マットレスのカバーを買い忘れたのが事の発端。それから行こう行こうとは思っていたのに、やれ年末だなんだで2月まで延び延びになっていたわけ。

ヒマそうにしていたうちの同居人、ひでかすも連れて、土曜日の夕方にBallymunのIKEAに。ちなみに夕方になったのは、この日は土曜出勤だったから。

IKEAに着いたのは午後5時ごろ。まだ駐車場には車が結構止まっていたが、入り口からそう遠くない場所に車を止める。中は…閑散…とまではいかないけどもう人は引き始めている。

ひでかすを連れて行ったのは、なんと、IKEAに行ったことがないというから。正確に言えば、大昔に行ったことがあるが、記憶にないとのこと。なんかこう、IKEAに行けば、「おお、すげー」と感激するんじゃないかと…って、別に私はIKEAの店員でも関係者でもないんだけど。これが間違いだったことは、もちろんその時には気がついてない。

(あんまり本文とは関係のないIKEA店内の様子)

ひでかすがいなければ、上のショールームは無視して、そのまま階下の店に直行するのだが、ひでかすがいるので、ショールームへ。二人の足が止まったのは、事務用家具の売り場。

ここ、けっこうたくさんの机を売っているわけだけど、それだけじゃない。机を「作る」ことができる。と言っても、天板と足を自由に組み合わせるだけの話だけど。天板の大きさも大小さまざま。

(ここから天板を選んで)

(ここから足を選ぶ。それだけ)

欲しくなってしまった。机。

私、机、持ってます。ようやくダブリンで仕事が見つかったころに思い切って買ったんです。…と言っても5000円程度の、なんと引き出しの底は紙製という安い机でして。でも当時としては「思い切って」だったんですよ。しかも、車なんか持ってないから、当時まだオープンしたばかりだったArgosからバスに乗ってうちまで担いで帰ったのです。しかも、バス停まで距離が短いという理由でわざわざ郊外のBlanchardstownのArgosから。途中で、おそらく運転手さんの休憩時間か何かの都合で「バスを乗り換えてくれ」って言われて乗り換えたバスが満員で涙目になったような記憶があります。

で、この机、手狭なんですよ。とてもコンピューターを置けない。なので、コンピューターはリビングにおいてあり、操作はリビングでやっているというおかしな状況。うーん、書斎、ほしい。

机を買うんだったら、当然、いすもほしい。そんな私の目に飛び込んできたのは

社長の椅子。

いや、これが社長の椅子のはずがない。もしこれが社長の椅子なら、それはどっかの個人経営の会社か何かの社長の椅子だろう。だけど、現在使っているどっかの体育館から拾ってきたようなプロレスラーの凶器になるおんぼろパイプ椅子に比べたら立派な社長の椅子。

この椅子よりはるかに安い椅子もあった。だけど、この椅子、背もたれが低いのだ。いや、事務用椅子としては普通の高さ。だけどね、私の悪癖のせいで、これは使えないのだ。

私の悪癖。こう、仕事で煮詰まったりとか、どうしていいかわからないとき、脱力することありませんか。頭を抱えたくなるというか。そんな時に、私、頭をね、思いっきり背もたれにぶつけるんです。「ああ、やっちゃおれん」って感じで。その時にね、背もたれがないとえらいことになる。何度か、同僚の机のコンピューターの修理をしていたときにやった。そこにあるはずの背もたれがなくて首を思いっきりがっくんって。笑い話にしか聞こえませんが、痛いんだ。これやると。

実は、そういう理由で、会社の自分の机の椅子は革張りの背もたれが頭まで届く高いやつ。無論、私、ただの平社員ですからそんな椅子、もらえるはずはありません。どうしたかというと、退社したマネージャーの椅子を…ええと、その、なんというか、拝借というか、賃貸というか、借用というか…ええい、みなまで言わすな。そういうことです。で、とられると嫌なので、座布団を思いっきり方結びにしてしかも背もたれに年中セーターを引っ掛けて盗難対策してます。このオス犬以上のマーキング行為で盗難から守っているおかげで、この椅子、もう私のものになってます。通常1週間以上の休暇とかとなると椅子がなくなっていたり、別のに入れ替わったりするものですが、おかげでこの椅子はなくなったことがありません。机の引越しがあっても私だけは椅子を自分で移動するしね。

うーん、大きな机と社長の椅子。ほしいな。

とはいえ、この机、ホントに自分の寝室に入るんだろうか。今の机より大きかったら、当然うまく収まらない可能性がある。さあ、どうしよう。

泣く泣く諦めました。

ひでかすと、IKEAのレストランへ。ここの名物は、スウェーデンのミートボール。IKEAに来たらこれを食べないといけないのです(当社調べ)。甘いソースで食べるミートボールは、「ああ、IKEAに来たな」と感じさせる逸品。ひでかすがどーゆー反応を示すか興味本位で見ていたら…

ひでかす:「これLidlで買う(安い既製品の)ハンバーグと同じ味がする」

…言われて見るとその通りだ。ジャムがなければ同じ味だ。

この瞬間にIKEAの私の脳内でのミートボールの評価が地に堕ちた。

結局この日はベッドのカバーとか細かいものをちょろちょろ買っただけで退散。で、うちに帰ってみて巻尺で計ってみると、なんと、窓際に机がぴったし収まることが判明。ええええ、だったら買ってくればよかったと大後悔。

こうなるといても立ってもいられないのが私の悪い癖。もう新しい大きな机の前にコンピューターを置いて、(個人経営の)社長の椅子に座りたくてしょーがない。そうだよ。もうアイルランドで10年近くがんばってきたんだから(←がんばってねーだろ)机の一つくらい買ったっていいじゃないか。

私:「おい、ひでかす、オレ、明日の朝一番にIKEAにもう1回行ってくる」
ひでかす:「いってらー」

かくして、翌日の日曜日、開店と同時にIKEAに飛び込んだ私…になぜかひでかすもついてきてるし。

もう買うものは決まってます。一目散に事務用家具のコーナーへ。そこで、机の天板と足4本を選ぶ。

前にも書いたと思いますけど、IKEAって上層階がショールームになってまして、そこでめぼしいものを見かけたら値札に書いてある情報をメモして、そのメモを元に下の階の倉庫から目的の商品を選ぶようになってます。値札には列2の棚34にあるなどとわかりやすく書いてあるので、しっかりメモさえすれば迷うことはない。実に合理的にできてます。

かくして、階下の倉庫で机の天板、それから、足四脚、さらには社長の椅子をカートに載せていると、なぜかひでかすまで同じことしてる。ひでかす、人の熱病に一緒が伝染して、ひでかすも机を買う気になったらしい(それで日曜日の早朝にもかかわらずついてきた)。

それにしてもIKEAの合理的なやり方には舌を巻かざるを得ない。一体全体どーやったら、この(個人経営の)社長の椅子が、この箱の中に納まるんだ?ホントにこの箱で正しいのかよ?

商品名も番号も確実に合っている。なので、これが正しい箱に違いないのだが、それでも本当にこの大きさの箱にどうして入るのか謎。

別の椅子にいたっては、パレットの中で荷崩れをしないように箱が互い違いになっている。もう、すごいな…としか言いようがない。

(IKEAホットドックの罠。何がおかしいか気がつきますか?)

会計を済ませて、IKEAの名物ホットドックを食べて駐車場へ。以前に高さ180センチの本棚をこの車で運んだことがあるから可能なことはわかっていたけど、幅175センチの机の天板を私の小さな車に載せるのは実に難儀でして、聞けば、昔ガテン系のバイトをしていたこともあるというひでかすが実に役に立った。ひでかすが見事に机の天板2枚、いくら小さいとはいえ椅子二脚、さらに机の足その他もろもろを見事に車に乗せる。もちろんひでかすが車に乗るスペースもしっかり残っている。

うちに帰るなり、自分の椅子を組み立て始める大の大人二人。ひでかすの椅子は籐椅子。私なら絶対に選ばない商品。まあ、蓼食う虫も何とやらなんですけど。

机の組み立ても実に簡単。部品が共通化されているので、このように木ねじを締めればあっという間に完成。ちなみに机の脚を二脚だけ買って、別の二脚のかわりに引き出しを買うことも、高さを変えることのできる足を買うこともできる。ホントにこの合理性には舌を巻くのみ。

というわけで、完成。

机の天板、幅175センチ、奥行き75センチは十分大きいと思ったが、モニターを2台置いてみると…もっと大きくてもよかったくらい。幅2メートル、奥行き1メートルのにすればよかったかな。これをひでかすに言ったら、「それは机じゃなくてもはや作業台だ」と突っ込まれました。もっともそれを買っていたら、ここにうまく収まっていなかったと思われますが。

さらに正解だったのは、机の脚を四客買って、足二脚と引き出しにしなかったこと。備え付けのベッドサイドのチェスト…カタカナばかりだな、よーするに寝台脇の小引き出し…ってこれも変だぞ…が机の下にホントに「すっぽり」入ってしまった。これはうれしい誤算。

さて、このすばらしい、(個人経営の)社長の椅子と机のセット、気になるお値段ですが(といきなりテレフォンショッピングのナレーターになる)、椅子が75ユーロ、机の天板26ユーロ、机の脚、一脚2.5ユーロ(計10ユーロ)、計111ユーロ。そう、実は1万円ちょっと…なんですよね。これは、「お、値段以上」です。間違いなく。

ついでに言うと、羽毛布団安かったのに(値段覚えてない)ふかふかー。快適です。

ところで、この記事の書き出しをご記憶でしょうか。

IKEAに行きました。ベッドのマットレスのカバーを買いに。

…どこで話がずれたんだろう。しかも…続く。