【SASがっすのスカンジナビア航空2016】新ビジネスクラスシート搭乗記


SASがっすのスカンジナビア航空のビジネスクラスに乗ってます。去年から導入された新シートに。

Google大先生に軽く問い合わせてみたところ、どうも新シートの日本語の搭乗記は未だにネットにない模様。というわけで、本来なら日本旅行記の最後に来るはずの成田からコペンハーゲンのフライトの搭乗記を先に載せることにします。ネタは新鮮ですよ。…だって、今機内で書いているんだから。この情報を探している方のために、かなり微に入り細に入りレポートをしていることを最初にお断りしておきます。もし、おヒマな方、マニアな方は過去記事を読んでいただけると、旧型シートでのビジネスクラスと比較ができます。また、エコノミークラスとの恐ろしいほどの格差はこの記事あたりを見ていただけるとご理解いただけるかと。

とりあえず、成田空港の様子などは端折ります。ラウンジなどのレポートは以前にしてるしね。

本日の機材はOY-KBM、スタアラ塗装機です。

小市民的優越感をどこかに感じる分かれ道。ビジネスクラス方面はカーペットを赤くしているあたりが小市民を喜ばせる仕様といえる。ビジネスへ。ちなみにビジネスクラスの後方席に座るなら実は右に進んだほうが良かったりする。

こちらがSASがっすのスカンジナビア航空の新シート

座った時の第一印象…なんだ、このエアマットレスのような感じは。

原因はほどなくわかった。このシート、硬さを調節できるのだが、前に乗った人がそうしたのか一番硬い状態になっていたのだ。おそらく空気で調節しているのだろう。それでエアマットのように感じたようだ。ちなみにシートに針を刺したらどーなるかは試していない(それ、たぶんデンマークの器物破損罪に問われます)。

(わかりやすいようにシートベルトを三点式にしてみました)

この新シートの何がいいかって、もちろん水平に寝られることなんだけど、個人的に良いなと思ったのは、シートベルトが三点式になったのだ(ビジネスクラスの場合)。これで安全性は確実に増したと思う。

(肩からのベルトは脱着可能。つまり二点式のベルトとしての利用も可能。だが、少なくとも離発着の時は三点式でのベルトを私は強く推奨)

どこかの英語サイトでだったか、離発着時からシートは倒せるようなことを書いていたサイトがあったような気がしたが(少なくともこの便では)シートは倒していない状態にしておくように指示があった。

(画像はSeatguruより拝借)

私が座ったのは1Dという最前列。シート配列は1-2-1(A(通路)D,F(通路)H)なので、どの席でも通路に直接出ることができる。お一人様なら当然窓際兼通路際となるAまたはH席が良いと思う。

シートは最近巷でよく見るスタッガードシート配列で、互い違いになってる座席。座席の脇にミニテーブルがあるのだが、この下に後席の人の足が入る形になっている。誰が考えたのかは知らんが、これは特許ものの発想だと思う。

で、窓際の席、席が窓に面しているものと通路に面しているものがある。まあ、好き好きはあると思うが、個人的には窓際に面している方が、通路を通る人やカートに当たることがないのでいいのではないかと思う。そういう意味では偶数席のほうが当たり席といえる。窓に面していない中央席も同様の理由で偶数番ならD席、奇数番ならF席が当たりといえる。

(こちら1D席。足を入れるスペースの左のほうがすぼまっているのがわかりますか。)

(こちら1F席。収納された布団が折れ曲がっていないことからもわかるように足元がより広い。)

私が選んだのは1D席。より足元が広いという意味ではいい席なのだが、乗って気がついた。通路の関係で足を入れるスペースがすぼまっている。他の1A, 1F,1H席ではそのようなことはなかったので、その意味ではハズレ席。また、通路際に面しているという点でもハズレ。最前列を選ぶなら、1Dは避けるべきかも。…と言ってもさほど気になるレベルではない。あくまでこだわるなら…の話。それに、2列目以降の席はそれより狭い。

(画面にモザイクがかかっているのは私が反射して写り込んでいるからです。画面の電源を切っていると自分の疲れ果てた姿が映ります。よほどのナルシストさんでもない限り、これは嫌なんじゃないかなぁ。)

ちなみに、足元が広い分、画面は遠い。もし、このタッチスクリーン式の画面でゲームをしたい…という場合、この席は体を起こして画面に近づく必要がある。(そんな人がいるかどうかは知らんが)もし、ゲームが主目的ならこの席はハズレ。

(ゲームは全15種類。見た限りではファミコンでも再現可能な程度の単純なゲームばかり。)

映画は全部で59種類。最新作から旧作ながら名作までいろいろ揃っている。いいと思う。

画面は見ての通り、大型化、そしてクリアな画面になった。これも改善点として指摘しておきたい。

ウェルカムドリンクを頂いているうちにドアクローズ。定刻前に離陸。

改修機のもうひとつの利点は、ネットが使えるようになったこと。上級クラスと自社マイレージ上級会員は無料で、エコノミーの場合、€15でネットに接続可。

接続は画面で私の名前とメアドを入れることで出来た。自社マイレージカード会員だからなのか…詳細は不明。なお、同じ個人情報で複数の端末をつなぐことも可能。

ネットの速度は12Mbを最大約250人でシェアすることになるため速度は期待できない。(あくまで理論値。上級クラスでもネットを使っていない人はいるだろうし、エコノミーでお金を払ってもネットにつないでいる人もいるだろうし、一体何人の人がネットに接続をしているかは謎。この注意書きを見たいというとことんマニアックなお方はここここをクリック。)

肌感覚ではラインのチャットなどは問題なく利用できるが、Google検索ですらストレスを感じるレベル。動画サイトなどは単純に無理。この日記の更新のためにFTPサーバーに接続を試みたが失敗。また、ちょくちょく接続がハングする。とはいえ、残念ながら、ビジネスマン諸氏はメールの送受信程度なら問題なく出来てしまうので、「機内で仕事してね」という社命がくだる可能性は高い。まったく嫌な時代である。ちなみに離陸後20分と、着陸前20分は利用不可。

今日はとことんまで細かく行くつもりなので突っ込むが、離陸前に携帯電話はフライトモードにしろという案内があったが、フライトモードだとWifiに繋げないのではないかと思うのだが。

サイドテーブル。後席の方の足の上にあるこのスペース。実に実に便利。USBポートと電源で同時充電可…と思ったら、USBポートの充電機能はほとんど期待できないことに気がついた。充電しながらスマホを使っていたら、実は電池は減り続けていた。

テーブルはこのボタンを押すと出てきます。ただ、動きに制約があって、旧型シートのように席を離れるときにテーブルを斜め前に押し出すことは不可能。つまり、テーブルのものを全部どけてサイドテーブルに移す必要があります。なお、テーブルを縦にして外に出ることは可能。

(画面にモザイクがかかっているのは…略)

テーブルを収納したいときは、テーブルを一番前まで持って行って横方向に押すと収納されます。

トイレ。以前は窓ふたつ分のスペースがあったが、ひとつ分に減った。…と言っても私のような重箱の隅をつつくような嫌な客でもない限り、誰もこんなことに気づきはしないだろうけどね。そのせいで、改修以前では窓なしハズレ席だったビジネスクラス最後部の窓際席にも窓がついた(Seatguruの10Aと10Hがハズレ席というのは間違いです)。

(ご参考までにこちら改修前の同じL2トイレ。窓が2つある…こんな写真を用意できる自分がある意味情けない…。)

さて、座席。水平にして寝る分にはこの新型シートは申し分がない。…が、斜めにして座る…自宅で言えば足置きを利用して座椅子のような感じで利用する場合、実は旧型シートのほうが良いのではないかと気がついた。というのも、このモードの場合、足首から先を支えるものがないのだ。旧型シートの操作盤、ややこしい分いろいろな設定があった。新シートは単純化されわかりやすくなったが、表裏一体で細かい設定ができなくなったきらいがある。

さらに、重箱の隅をつついているとしか言いようが無いのだが、座席にあるこの隙間。実に危険。デジカメやスマホは余裕ですぽっと落ちる(実際落とした)。降機の際には持ち物をよーく確認する必要があると思う。パスポートが落っこちていたとかシャレにならない。

アホなことを言っているうちに機内サービス開始。まずはナッツから。これ、温めてあるのだが、オーブンの設定温度を間違えたか、はたまた設定時間を間違えたが暖めすぎだった(焦げている感じ)。文句を言ってナッツリターン事件になっても困るので黙っていたが。

前菜…ごめん。文句を言って。でもさ、なんでいつも同じメニューなの?シートが改修されても同じメニューというのはいかがなものか。

というわけで、メインコースもいつもと同じ。やれやれ、特筆すべき点はない。

こちらは嫁のご飯。…どちらももうひと工夫欲しいと思うのは贅沢ですかね。

デザート。同上。

というわけで、フルフラットのベッドを試してみましょう。…シートを倒してみる。

(背もたれと座面の間です)

…再び重箱の隅で恐縮ですが…汚い。これは正直大減点。

その汚いものを隠すべく、シーツを敷いてみる。ちなみに、フライトアテンダントさんがベッドを用意してくださる…といった他社で見られるサービスはSASがっすのスカンジナビア航空さんに期待するだけ無駄です。…あれ、思えばシーツって新しいかも。今までそんなもんはなかった。それでふっと気がついたのだが、このシートってたぶん忘れたころにしか清掃してないよね。つまり、ホテルのベッドで言えば洗わないシーツに直に寝ているわけで。…ということは…。

で、いざ横になってみたのだが、残念ながら眠れなかった。これはシートが悪いのではなく時間帯の問題。日本時間で昼日中から眠れんわな。というわけで、1時間もしないうちに起きる。

(床に近い低い位置から見上げた風景。眠れずにBusinessにはSが3つあるんだなあ。複数形Businessesにすると4つだなあとか無意味なことを考えていた。)

フルフラットにすると、前席のテーブル下に足を入れるためシートの位置がさがる。ふと頭上を見るとかなりの空間がある。これさ、単通路にして横に三段式のベッドを入れたらいいんじゃないかな。…機内食はどーするとか、非常時はどーなるというのは全く無視して…ですが。

そんなこんなで5時間ほど経過して、個人的にアジアとヨーロッパの分水嶺だと思っているウラル山脈を飛び越える。退屈…である。ネットのニュースを見たり、こうやって日記の更新をしながら過ごす。楽しかったホリデーが終わり(詳細は後日)、かつ祖国の日本から刻一刻と離れていくことを考えると心が沈む。思えばフルフラットにしていない限り、あまりビジネスクラスの価値はないような気がする。

そして、着陸前の食事。…うん。特筆できるようなことはない。

新型シートと旧型シートの両方を体験した嫁にどちらが良かったか聞いてみた。すると、「旧型のほうが良かった」という意外な答えが返ってきた。確かに寝ない限りは新型シートの価値はあまりないわな(サイドテーブルという付加価値は確かにあるが)。

あとは、サイドテーブルのおかげで嫁と話をするのに苦労した。シートは改修されていても、哀しいかなもう生産されていないA340という古い設計のヒコーキ、エンジンからの雑音のせいもあって、隣席の嫁に話しかけようとすると、お互いに顔を近づけないと無理。確かに話をする…という点では旧型のほうが優れている。ただし、肘が当たるほどの距離というのは、お隣さんが他人だった場合はストレスになるわけで、一概にどちらがいいかは断じかねる。もう旅疲れして話すのも億劫だったので、それはそれでよかったのだが。

とりあえず、SASがっすのスカンジナビア航空のビジネスクラスは、新型シートに改修したことで良くなりました。(こらこら、今までがひどすぎただけだろとか言わない。)フルフラットシートはもうファーストクラス並のサービスだと思うのですごいと思います。嘘は書けないので正直に書きますが、良いフライトだったと思います。