日本の郵便局の優秀さをべた褒めする

かくして、一年ぶりに祖国の土を踏んだ私。まだ家までは遠い。バスで◯分へ。実は到着前にちょっとした事件が起きていた。


その前に、これは今日の本筋とは全く関係のない話なんだけど、福岡空港到着後のお話。


到着時の荷物は実に少なかった(当社基準による)。大きめのスーツケース1つと、機内持ち込みできるサイズのスーツケースのみ。ところが、税関の係官氏には大きな荷物らしく、言われたことは


「海外にお住いですか」


…はい。…ってか、そんなに大荷物じゃないと思うんですけどね。


その後到着口を出ると、前日の日記に書いたWelcome to Fukuokaの小冊子をいただく。すいませんね、せっかく頂いたのですが、福岡には目もくれずに別府行きのバスに飛び乗りましたよ。


福岡から大分に向かう公共交通機関は通常2つ。すなわち、天神からバスに乗るか、博多駅から小倉まわりの特急電車(にちりん)に乗る。このバスと電車が潰し合いとしか言いようのない勝負をしているのだ。JRの特急が一日29往復(感覚的には30分に1本)とかなりの高頻度運行をしているのだが、バスはさらに多く一日50往復以上。


ほんの20年ちょい前は大分から福岡(正確には佐賀県の鳥栖)までの高速などなかったので、鉄道の独壇場だったのだが、高速道路が完成して、高速バスが運行されるように。JRにとってとことん気の毒なことは、高速道路は大分と福岡をほぼ直線で結ぶのに対し、鉄路は小倉(北九州)を経由する。これにより距離がだいぶ長くなるのだ。結果、(カラクリ=後述はあるのだが)バスと電車の所要時間はほぼ同じ。バスの運賃は3000円ちょいなのに対し、鉄道は特急料金を入れると5000円を超える。これだと、お客は当然バスに流れてしまうから、JRは2枚きっぷ、4枚きっぷなどと称して実質片道3000円で乗れる割引券を販売して巻き返しを図っている。ただし、この方法は片道のみだと使えない。


これ、今回ネットで調べていて知ったことなのだが、どうも博多駅のすぐ近所にある金券ショップに行くと、この割引きっぷの片割れが2500円程度でバラ売りされているらしいのだ。よし、これで行こうと上海出発前日に決める。


ところが、ヒコーキが遅れたおかげで乗ろうと思っていた特急はとうの昔に逃し、今から地下鉄で博多駅まで行き、金券ショップに寄ることを考えると次の特急にちょうどタイミングがよろしくない。反面、福岡空港国際線ターミナルビルから発着する別府行きのバスは15分後の発車とまさに渡りに船状態。うん。こっちに乗ろう…とJRから早々と浮気する。


国際線の到着ロビーにはバスの案内所があって、そこにバスの乗車券の自販機がででんと置いてある。まあ、この辺が素晴らしき日本なのだろうが、自販機の横に有人の窓口が2つあるにもかかわらず、自販機の前に係が立っていて案内をしている。


この係のおばちゃんが実に優秀。日本語はもちろん、中国語、英語までペラペラ話している。しかも、語学の面で優秀なだけでなく、運行状況をきちんと把握している。私の前の二人組の客も偶然別府行きだったのだが、この二人が別府というとすかさず有人の窓口に


係:「今度の別府行き残り3枚だったよね。まだ3席ある?はーい」


と言いながら自販機のタッチパネルをさっさと操作して発券。…これなら自販機いらないじゃない…とか意地悪なことを言ってはいけない。きっと自販機にしなければいけない理由があるのだ。


係:「お次のお客様ー」
私:「その、別府行きの最後の一枚を、くださいっ」


というわけで、平日昼下がりの別府行きの最後の一枚の乗車券を得る。…満席とは随分儲かってますねえ。


満席だったこともあってか、天神発のバスは7-8分遅れて空港に到着。ここからさらに多数のお客を乗せたせいで、遅れはさらに広がり出発。


大分自動車道の大分県内区間の制限速度は80キロ。ここをバスは90から100キロのスピードで走っていく。そもそも80キロという規制速度がおかしい気がするのだが、悪法もまた法なり。高速路線バスもこの速度を守らなければいけないはずなのだが、遅れを取り戻すためか、制限速度以上のスピードで他の車を抜きながらスイスイ進んでいく。


ところが、別府に着いてもこの遅れはまったく取り戻せなかった。…つまり、言いたいことは単純。このダイヤ設定に無理があると思うのだ。鉄道と同等の所要時間にするために、高速路線バスは敢えて速度制限を無視しなければいけない設定になっているのではないかと。不吉なことを予言すると、今後、万一大きな事故が起きたら、この点はきっと問題になるよ(事故が起きることなど期待しておりません。念のため)。


閑話休題。今回の上海出張、かなり突然決まったのだ。で、アイルランドの免許で日本で車を運転するためには国際免許が必要。あ、私の車の運転免許証はアイルランド発行なのね。さすがEUと言っていいのか、ドイツではアイルランドの運転免許証で運転できるのだ。そういえば、車も買えた。この話もしなければいけないんだな。…ああ、(更新サボってたから)ネタが溜まっている。


しかも、早晩改定されるらしいが、ドイツでアイルランドの運転免許証を使って運転すると、違反時に点数が加算されない。例えばスピード違反を犯しても、罰金は払うことになるが、点数を引かれることはない。もちろん、それに甘えて交通違反を進んで犯してはいないけど、まあ、気分的には楽。


ただし、国際免許を得ようとすると、話は若干ややこしい。私の国際免許を発行できるのはアイルランドの機関。ドイツ住みの私、上海に出発までの短い間にアイルランドに行く機会はなかった。


幸い、ゆるいアイルランド。この国際免許、郵送で申し込むことができる。しかも、私のアイルランドの運転免許証のコピーとクレジットカード番号を送れば、世界中どこにでも国際免許を郵送してくれるという。ドイツに郵送を頼むと多分出発までに間に合わないので日本のQ州の実家に郵送を依頼する。


で、上海では忙しかったのよ。日本の実家に帰省すること旨連絡することをすっかり失念する。上海滞在中のある日、おかんからLineで連絡が来る。


「アイルランドからなんかの会員証みたいなのが届いたからそちら(ドイツ)に転送しました(はあと)」


(はあと)は書いていなかったが、まあ、そんなことはどーでもいい。国際免許を見て「なんかの会員証」と思うおかんのセンスもなかなかだが(前に何度も見たことあったろうに…)、ドイツに送られたらもう日本で車を運転することはできない。すぐさま返事を書く。


「それ、郵便局に今すぐ行って取り返して来て!」


この時、忙しさで私は完全にボケていた。私、ノートパソコンにLineを入れて使っているのだけど、このノパソの時計はアイルランド時間。それでこのLineのメッセージが1時間位前に送られたと勘違いした。実際には8時間も前に送られていたのだが。そして、この時点で日本は午後7時とか。


本当に日本の郵便局がすごいと思ったのは、こんな時間でもお客様相談室のような電話番号に電話すると、電話がつながったそうな。そして、その書留でもなんでもない普通郵便の封筒の特徴を伝えると、翌日にはその郵便物は発見され、無事、手元に戻ってきた。ちなみにその手数料は500円ちょっとらしい。日本の郵便局員さん、優秀すぎるわ。なお、費用には、おかんにグチグチ言われたことは含まれていない。


そうそう。日本滞在中、いよいよ明日ドイツに明日戻るという最後の時に良い知らせが届いた。私が息子のようにかわいがっている(と少なくとも私は思っている)とある高校生が大学の推薦入試に合格したという連絡が入ったのだ。


私はお祝いをしようと画策。…と言っても大したことはできないので、金一封を送るくらい。ところが、私がドイツに戻る日は日曜日。そして時刻はすでに土曜日の夕方。当然郵便局はすでに閉まっている。


うーん、どうしようかと思って調べると、郵便局の本局には「ゆうゆう窓口」なるものがあるらしく、これ、簡単にいえば「時間外窓口」で、なんと24時間開いているらしい。


まったく非常識にも程があるのだが、土曜日の午後10時過ぎに某都内の郵便局の本局に自転車を漕いでいってみた。


…本当に開いている。


まあ、無事に現金書留を投函することができたのだけれども、24時間開いている郵便局って…優秀すぎないか?日本、ある意味怖いぞ。


というわけで、日本の郵便局をべた褒めしてみた。郵便局さん、どうぞご遠慮なく、お礼の金一封をドイツまで送ってくださいね(にっこり)。