地方自治体の打ち出の小槌の税徴収方法、教えます。

何を血迷ったか、私、結婚するんです。


これがさあ、容易なことじゃないのよ。正直こんなに面倒なこととは思わなかった。


面倒なことはいろいろあるのだが、今日は「服」のお話。そして、話は明後日の方向へ進む。


結婚式って、服がいるのね。…とはいえ、こっちの人の服装って相当いい加減というか、ヘタすると、ジーンズにネクタイとかいう超絶スタイルの人もいるもんね。なので、私も、仕事で使うスーツの中で一番いいやつ着ていけばいいじゃん…くらいに思っていたわけ。ところが、Cさんにダメ出し。された。地味すぎるって。ちなみにこの問題は未だに解決していない。


私:「じゃあお前はどーすんだよ」


Cさんの勤め先に、まあ、よくいる手合のおばちゃんがいる。まあ、おしゃべり好き、お世話焼き好きのおばちゃんね。このおばちゃんが私らが結婚すると聞き、目をキラキラさせていろんな情報を持ってきてくれたらしいのだ。その中に、「この店に行くといいよ」というのがあった。どうも、女性用のドレスを扱っている店だとか。


これが…また…辺鄙な場所にあった。


いや、うちの近所のヒルデスハイムだとか、州都のハノーファーとかいうならわかるよ。じゃないの。聞いたこともないような街。まあ、とりあえず、行ってみよう…というわけでとある土曜日の午前中に行ってみた。


ドイツのお店は基本、日曜日はガソリンスタンドなどのごく一部の例外を除きお休み。平日は普通に仕事のある私は、土曜日しか動ける日がない。しかも、大きなデパートなどはともかく、こと田舎町では土曜日は半ドン…午前中のみの営業というところも多い。これはなかなか厳しい条件。件の店も土曜日は昼までの営業らしい。


というわけで、うちから車で小一時間走ったところにある聞いたこともない街へ向かった。街に入った瞬間にそのダメそうな雰囲気に私はすでにあきらめモード。…とてもじゃないけど、何かありそうな感じじゃない。ミチコさん(ナビ)が指し示す場所は、フツーの住宅地。そこに、店は…あった。


思い出したのは、私の地元にあった「ふるさとのデパート」田中呉服店(仮名)。中学の頃に見たっきりだから、未だに存在するかは疑問だが、イナカの寂れきった商店街の、すかっすかの店内に申し訳程度に置かれたおばさん用の服と、外に書かれた「ふるさとのデパート」の文字が、哀愁を誘っていたのを覚えている。…まあ、それを思い出したくらいダメな感じだったんだわ。


…ところが、中に入ってみると、なんというのか、イナカにしては女性のドレスに的を絞って一応ひと通り揃っている。いい意味で期待を裏切られた。


で、ウェディングドレスではなく、パーティドレスに向かうCさん。いわく…


「純白のドレスを着るような年齢じゃないでしょ」


…なぜか怒られた。それは年齢だけじゃないだろとか余計なことを言うと火に油を注ぐので黙っておくことにした。


話は前後するのだが、この後いろんな店を回るうちに、ついに、Cさんがウェディングドレスを着る機会があった。…うーん、やっぱり、花嫁は…これだろ…と思わなくもなかったが、上のような理由により却下。あとはさ、ウェディングドレスのお値段にもいささかくらっときた。ざっとパーティドレスが5着かそれ以上買える。で、パーティドレスは他の機会でも着られる可能性があるのに対し、ウェディングドレスはまさに一生に一度しか着られない。そんなもんに、こんな値段を出す価値があるのかと、婚期を逃した女性は夢のないことを考え、婚期を逃した男(私)はそれに同意してしまうのだ。


ともあれ、ここでは何着か試着したものの結局「これ」というのは見つからなかった。まだ昼ごろ、このままうちに戻るのはもったいないと思っているとCさんが言うのだ。ヒルデスハイムに連れて行けと…。いや、簡単におっしゃいますが、それ、ここからまるっきり逆方向なんですけどね。


まあ、私、運転、好きなんです…車載動画を撮影するくらい。なので構いませんよ。行きましょう。


今回やってきた街は、日ごろ出かけるのとはまったく逆の方向。つまり、たまにしか通らない道。前に通ったの…もう一年以上前だな。片側二車線の自動車専用道なんだけど、路側帯がなく車線も若干狭い感じがする。


100キロ規制の中、途中3ヶ所にカーブや合流路などの理由で70キロ規制の部分が3か所ある。そのうち2箇所にオービスが設置されている。…まあ、嫌な道なんですわ。


2か所めの70キロ規制の部分はややきついカーブ。まあ、100キロでも余裕で曲がれるけど安全をとっているのだと思う。ただ、ここはオービスはないからやや速度超過気味に走っていたのね。すると…なにやら目の前で光ったぞ。はい。オービス。


…って、もしかして、このオービス、新設ですか?


慌てて速度計を見ると、90は出てない。かつ、ありがちだが、Cさんのこのポンコツイタ車(「痛」じゃなくて「イタリア」ね)速度計は実際の速度よりもやや早めに表示される。つまり、70キロ制限のところ、80-85で走っていた計算。…これで光るとはドイツのオービス、容赦無いね。


それからきっかり3週間後、お手紙が届きましたよ。


なんでも、70キロ規制のところ、79キロで走ってたんだと。…って9キロオーバーかよ。まあ、若干低めに出ているんだろうけどね。


あらー、よか男が写っとるばい…って、アホなことを言っている場合じゃない。さすがにモザイク無しで公開する勇気はないのですが(その価値があるとも思えんし)、私の顔がくっきり写ってます。ごていねいにナンバー部分は拡大され、プライバシー保護目的か、助手席部分は白く塗りつぶされてます。


なんかで読んだか聞いたかしたんですけど、日本のオービスが光るってのはけっこう深刻な事態らしいですね。オービスが光ったら最後、免停レベルの違反確定だとか。


他方、某アイルランドの場合、一説によると、(移動式を含め)オービスが光っても、検挙される確率は半々だそうな。なんでも、写真がピンぼけで使いものにならないとかそんなことがけっこうあるらしい。まあ、そのゆるさがアイルランド的とも言えなくもないんだけどね。


残念なことに、ドイツの場合、光ったら最後、逃げ切れません(アイルランドナンバーだったら追っかけてこなかったけど)。かくして、今回もステキな写真が送られてきたわけで。振込用紙が同封されていました。曰く、「不服がないなら1週間以内に罰金を払えコラ。払えばこれ以上の罪は問わんが払わなかったら出るとこに出てもらうぞこのボケ(超意訳)」と書いてある。


そして、その振込用紙には…


罰金€10(1350円)。


…はい。月曜日に銀行が開き次第、耳を揃えて払わせていただきます。


ふっと思ったんだけどさ、これ、もしかしたら日本の税収不足の切り札になるんじゃないだろうか。軽微な10キロ未満の違反もオービスでばんばん取り締まれば、不当に厳しい速度規制があちこちにある日本のこと、私のようなアホタレがどんどん撮影されるに違いない。そいつらから少額の罰金を徴収すれば、けっこうな金額の罰金が集まる。


で、地方自治体に罰金徴収の権限を移譲して、オービスの設置も自由化したらオービス設置の億単位の初期投資費用はかかるものの、オービス1台1億、罰金2000円で徴収にかかる費用を無視してどんぶり勘定すると、5万台以上の検挙はその地方自治体の丸儲けになる計算になる。


一日100台検挙できれば1年ちょいで元が取れる計算。一日20万円の金がなる木ができちゃうという…。まあ、まじめに検討すれば穴だらけの計算でしょうけどね。