うちのぬこのお話

うちのぬこ、リリーさんのお話。


リリーはたぶん苗字ではなく、名前です。なので、リリー・フランキーさんとはたぶん一切関係ないと思います。


とにかく、このぬこがかわいくないのである。


そもそもが、私は完全に犬派の人間。実家に住んでいた頃はいつも犬がいたし、どこかの家におじゃました時に犬がいたらずっと遊んでいるような感じ。実家に今も犬がいるんだけど、年に一度も帰省しないような私のことをちゃんと覚えてくれていて、家族の誰よりも私を歓迎してくれる。あの犬の直接的な感情表現が大好き。


なので。あのちょっと斜に構えたというか、ひねくれたようなぬこって好きになれないのだ。人が呼んでも知らん顔してるし、餌をあげても嬉しそうにするわけじゃなし。もうかわいくない。そもそもCさんのぬこで、私のぬこじゃないし。


最近人が仕事をしていると部屋にやってくる。…と言っても私のことなど完全に眼中にないように窓辺に座って何が見えるのか知らないが、じーっと外を見ている。


そうかと思ったら、いつの間にか寝ている。まったく可愛げがない。


ただ、人の仕事中に部屋にやってくるようになってひとつ新発見をした。


Cさんが帰ってくると、その足音か車の音かは知らんがを聞きつけて、窓辺からぽんと飛び降りて仕事場のドアの方に歩いて行くのだ。そして、ドアが開くのをじっと待っている。


やがてCさんがやってきてドアを開けると、このぬこ、あたかもドアが開いたのが当たり前のような顔をして、Cさんを無視して外に立ったと出て行く。…なんだよ、Cさんを待ってたんじゃないのかよ。これがぬこのご主人様に対する歓待方法なのかよ…って多分そうなんだろうなあ。


ぬこはぬこなりに懐いているんだろうけど、やっぱり犬のほうがいいや。