【準更新強化月間】ドラオアの休日(2)

空港に着き、外に出てバス停を探す。あった。…さすが日曜日、バスが毎時1本しかない。しかも、そのバスは出たばっか。50分ほど時間をつぶさねば。まずはバスに乗るため最低限の小銭を両替。そう、デンマークはユーロじゃない。両替所では中国人っぽい顔をした係のお兄さんがたった30ユーロほどを両替する私に「空港内だけでしたらユーロも使えますよ」と助言してくれるが、バスの運賃をカードで払えるとは思えないし、何より空港外に出るのにまったく小銭がないのも不安なので両替してもらう。


そして、カフェにでも入ろうかとも思ったが、物価がアホのように高い北欧、結局空港のベンチにぽつねんと座る。…と言っても決して暇をもてあましていたわけではない。空港内に無料のWi-fiがあったので、それを使ってスマホをいじっている間にあっという間に時間は経った。


10分ほど前にバス停に行ってみるとバスはすでに停まっていて、ドアも開け放たれているが…運転手さんがいない。まあ、運転手さんが来たら運賃を払えばいいと思い、堂々と車内に座って待つ。


出発時刻直前になり運転手さんがどこからともなく登場。早速運賃を払う。24クローネ(450円)…高い。もしか、ダブリンバス同様現金だとすごく高い設定なのだろうか。というのも、10人か15人かけっこうな数の客が乗り込んできたのだが、現金で支払いをしたのは私だけ。特筆すべきは半分くらいの客がスマホの画面を運転手さんに見せて乗り込んでた。…そんな時代なんだねえ。


バスは空港の反対側に回りこみ、倉庫前などのバス停にわざわざ回り込んで入ったりしながら15分ほどでドラオアへ。ちなみに空港からの距離は…さあ、7-8キロ程度じゃないかな。たぶん本気になって早足なら1時間ちょいで歩ける。しかも、もし、空港の滑走路を突っ切って近道をすれば距離はたぶんその2/3で済む。たぶん(ってか絶対)そんなことしたら空港内の別施設に案内されるなどただじゃすまないからやらないほうがいいとは思うけどね。


到着。


なんかよくわからんが歩いてみよう。


運がよいことに天気が最高によかった。快晴で気温は20度前後。これ以上の観光日和はないと言っていいくらい。海の方向に歩き始めると程なく歩行者専用の通路になり、日曜日なのに店がぽつぽつと開いている(デンマークのことはよく知らんけど結構珍しいことだと思う)。


数分でマリーナに到着。そこからちょっと街の中に入ってみる。


…なるほど。


いい感じ。


自分でもなぜかはさっぱりわからないのだが、ここを歩いていて上海郊外の水郷を思い出した。いや、洋の東西も違うし、どこら辺が似てるのか自分でもよくわからなかった。強いて言えば、都市近郊で、なんとなく観光地なんだけどそんな有名じゃないから団体客がわさわさしているわけではなく落ち着いた感じ…そんなのが似ていたのだろうか。まあ、とにかく水郷を思い出したの。

この美観地区というか、歴史のありそうなところでそんなに広くない。数分歩くと当然の帰結として外に出てしまった。そんな私の目に飛び込んできたもの。


…なんだあれは。


また大戦の遺物かと思いつつ、行ってみる(ヒマだし)。私のカンは当たっていた。1910-1914年に建てられた要塞。つまりは第一次世界大戦前夜建造の遺物。それはいいんだけど…なんとまあ、これ、ホテルだよ


北欧ってなんかヘンなもんをホテルにしたがるよなあ。私の記憶が正しければ対岸のスウェーデンのLundには寝台列車を改装したユースホステルがあるはず(今、リンクのために検索したら…あら…なくなったらしい)だし、どっかに747を改装したホテルがなかったっけか。まあ、寝台列車とかは「ああ、設備をそのまま流用したのね」とわからなくてもないけど、窓もほとんどない要塞をホテルにするっていったい誰が得するのよ。


ちょっと興味があったので中に入ってみたが、なんのこたーない、真っ暗な洞窟のような雰囲気だったので早々に立ち去る。すると、要塞の上に登る階段を見つけたので行ってみる。


うおっ。


デンマークとスウェーデンを結ぶオーレスレン・リンクも遠望できて、ドラオアの街も一望できる。これはいいや。

(注:これ、ホテルの屋上です。誰がなんと言おうと。)


かすかな風が気持ちよくてしばらくここでぼーっとしていた。


ふたたび町の中に戻ると、通りのベンチでコドモが(たぶん)勝手に蚤の市を開いていた。なんでそーなったのかは定かではないが、大人の目から見るとどう見てもゴミの、フィギアとか目覚まし時計とかを売っている。親に「お小遣いが欲しければ自分で稼いでこい」とでも言われたのかな。まあ、なんというか、ヒサンな感じとかとは無縁で微笑ましかったです。


しばらくしてバスを降りた瞬間に発見した「ビストロ」(Dragør Bistro)へ。なんか知らんけど、私、ビストロという言葉の響きに弱いの。なんかお手軽な値段でそこそこのものを食べさせてくれそうなイメージで(そのイメージ自体、おそらく間違ってないだろうけど)。


頼んだのは、ビールとハンバーガー。芋がほくほくしてておいしかった。…とはいえ、これで131クローネ(2500円)というのはもう暴れていいレベル。どこら辺が「ビストロ」なんだかもはやわからない。まあ、これはこのビストロがぼったくりなのではなく、むしろデンマークとしては良心的な価格設定だった気がした。


食べ終わった後、まだ1時間に一度のバスの時刻まで20分ほどあったので、ちょけっていた(注:旧男子寮のまっきーがたまに使っていた言葉。そもそも日本語なのかどうかすら自信はないので、正しい使い方をしているかどうかはまったく自信がない)私は…


…アイスクリーム、うまーっ。


このあとは1時間に一度のバスで空港へ戻り、一路ダブリンへ。私にとっておいしいアイスクリームを食べられた日は、いい日です。ゆえに、今日は、いい日でした。


ちなみに本文中、Dragørの表記はドラオアで統一したけど、これでよかったの?あまり信用出来ないGoogle Mapはドラウエアだったし、素直に読めばドラゴアだし…。少なくとも、バスの運転手さんに「ドラゴア」って言ったら通じたよ…って、「ドラゴア」って発音したのか。俺。