袖触れ合うも…いろんな人と出会ったドイツまでの移動(中)

そして、ダブリン空港。


今回は珍しくコペンハーゲン経由なんです。もちろん運賃が安かったというのもあるんですが、この便が717で運行されていると聞いて、ちょっと一度乗ってみたくなったと。…想像以上のアホですね。私は。


ボーイング717と聞いてもほとんどの人は馴染みもないだろうし、ましてや乗ったことのある人のほうが少ないんじゃないだろうか。MD90シリーズの後継機で、マクドネル・ダグラス社がボーイングに買収されてしまい、いちおう156機生産されたんだけどそれで打ち切り。ちょっと珍しいヒコーキ。


しかも、あれだけアホのようにMDシリーズを保有していたスカンジナビア航空もついにMDシリーズを全機退役させてもう乗ることはできない(…って、あのスクラップ工場すら引き取りを嫌がるんじゃないかという感じのポンコツをだましだまし去年まで運行していたことにある意味驚くのだが)。あ、今回乗るのはスカンジナビア航空のコペンハーゲン行きなのですが、運航はBlue1という会社。フィンランドの会社でいちおうスタアラのリージョナルメンバーらしいんだけど…これまたなじみがないわ。


件の717。うん、どー見てもMDだわ。


搭乗は機に備え付けのタラップから。どっかのRyanairの738も機内備え付けのタラップで、結構な高さでかつ急段なので怖いのだが、こちら717は地面からの高さが低いのでそんな怖さがない。


乗った瞬間に思ったこと。


天井が低い。


そう、確かな数値で調べたわけじゃないけど、737や320に比べて天井が間違いなく低い。妙な圧迫感がある。そして…


…なんか古臭い。


機齢はおおかた10年程度のはず。なのにMDシリーズと同じ古臭さを感じるのだ。このあたりの機械も320はタッチパネル式だった気がするが、717のそれはなんとも古臭いノブ式。ただし、ちょっと覗いた操縦席はグラスコックピットだったけどね。ちなみに、レジからググって見たら(登録番号から検索してみたら)、もともと破綻したSpanairの機体らしい。スカンジナビア航空が借金のカタにもらってきたのかな…とかうがった見方をしてみる。


座席は例によって非常口座席で足元は広い。…が、逆にテーブルが通常席と同じだけしか手前に伸びず、キーボードを打つのにちょっと遠すぎる(今、そんな状態でこの日記を書いてます)。


ちょっと前の座席の親子が気になる。通路を挟んで4席にわたり、4-6歳くらいの女の子二人とおそらくその両親が座っている。まあ、「幸せ家族」を体現したらこんな感じなんだろうなと。そのまま住宅メーカーのコマーシャルに採用できそうなホントに幸せそうな一家。


一家は北欧の人らしく、まあ、子供は羽があったらそのまま天使になれる勢い。その子がなんで気になったかというと、父親にハグとキスしたのね。「パパだーいすき」って感じで。


まあ、あと10年もすれば父親はたそがれた背中で「うちの娘にもそんなかわいいころがあったなあ」って遠い目をしながら思い出すことになるんだろうけど、その光景は思わず写真に撮りたくなるくらいほほえましかったわけよ。いや、私が腕のあるカメラマンだったら賞をもらえるくらいのホントにいい写真になったと思うよ。無論、カメラの腕はないし、私がやったらそんなのただの盗撮だから写真は撮っていないわけですが。


で、離陸後ずーっとコバンザメタクシーから始まって今日の日記を書いてたのね。途中、母親と、その天使のような子がトイレに立つ。もちろん私には関係のないことだから気にせず上を書いていたのだが、「搭乗は機に備え付けのタラップから。どっかのRyanairの…」というくだりのRyanairという単語を書いたあたりで斜め後ろから強い視線を感じたのだ。何かと思って振り向いてみると、その天使たんと(←ついにあだ名がついた)母親が立っており、4つの瞳でこっちをじーっと見てる。


母親:「すいません。それ、どーやって書いているんですか」


…と、天使たんともども二人してきらきらした目で私が書く文章を見ているのだ。そう、こっちの人には英語キーボードで日本語がどーやってタイプできるのかって気になるらしく、この質問自体はもはやFAQに入れていい範疇の質問。なので、私ももうよどみなく答える。


母親:「じゃあ、この子の名前を書いてもらえますか」


お安い御用です。はいよっ。


天使たん:「これが私の名前(きゃっきゃっ)」


やばい、天使ちゃんマジ天使だわ(←そういえば今年ゲーム化されるらしいね…ってわかる人だけニヤニヤしててください)


…と、まあ、なんか知らんが今日はいろんな見知らぬ人と話す日になった。


…もう1回だけ続けてもいいですか。