日本人でよかったわ…と思った航空会社のカウンター

クリスマスまで残すところほぼ1週間となりました。なんかダメですね、会社でも雰囲気が明らかに浮き足立ってるし落ち着かない。踵が5センチくらい宙に浮いているというか。もう早い人は今週末からクリスマス休暇に入る人もいるみたいだし。そんな中私は、今年のクリスマスは初体験をするんです。信じてもらえないでしょうけど、アイルランドに住んで十数年、実は今回、初めてクリスマスをアイルランドで過ごすんです。…ということは…です。なーんもしない…ということです。


なんだか知らんけど、クリスマスを特に予定もなく過ごすということは、とんでもなく哀れなことらしい。あちこちからお誘いをいただきました。ありがたいことに。たださ、この時期だけ仏教徒になる私、どーでもいいんです。クリスマスなんて。所詮、周りの雰囲気に飲まれてクリスマス祝ってるだけで。そんな思いがあったので、今年はクリスマスの休暇を取らずに会社に出勤するボランティアを買って出たんです。ただ、クリスマスの前の週末と後の週末はドイツに行くんだけどね。


というわけで、ドイツ。素晴らしきかなルフトハンザの冬ダイヤ、ダブリンを午後6時頃出てもHannoverに午後11時につき、帰りはなんと午後8時までHannoverに滞在できるんですよ。週末を文字通り目一杯使うことができます。


この素晴らしい接続、まあ、逆に言えば余裕が無いのよね。行きも帰りもフランクフルトでの接続時間は1時間ほど。ヒコーキが定刻に着いてもけっこう忙しい乗り換えになる。もう、こんなこと書き始めたんだから、想像つくでしょ。はい、接続に失敗しました。


ヒコーキはフランクフルトに定刻のわずか10分遅れで到着。…確か15分以内の遅延は「定刻」とされるんじゃなかったっけ。まあ、10分なんて、私の個人的感覚でも遅れたうちに入らない。なので、私も乗り遅れる心配なんてツユほどもしていなかった。が、着陸前にアナウンス。


「ベルリン行き、ミラノ行き、プラハ行きのお客様は『再予約』されましたので、ルフトハンザ地上職員までお申し出下さい」


再予約…ってよーするに接続に失敗したのね。10分遅れただけなのに。が、Hannoverは出て来なかった。ルフトハンザとしても私の接続はできると踏んでるのね。


着陸。が、ここからが長い。最近フランクフルトに新しい滑走路ができて、どうも着陸はこっちを主に使ってえいるような印象を受ける。その滑走路がターミナルから遠いのよ。延々タクシーを滑走して、ようやくターミナルに着いたものの、運用の関係でバスで別のターミナルに移動。この時点で午後9時半。もう残り30分しかない。確かに、この先入国審査、保安検査を受けて長い通路を移動して(機内で再予約を宣告された)定刻9時45分のヒコーキに乗ろうなんて無理だわ。


何気なくケータイの電源を入れる。メールがいくつか入ってる。お、ルフトハンザからメールが来てる。


一通目:フライトステータス。22時ちょうど発Hannover行きはキャンセルされました。ごめんなちゃい。


二通目:搭乗券。(翌朝)午前6時半発の搭乗券です。どぞー。


なるほど。そーゆーオチでしたか。


どっちかというと、私はルフトハンザのカイゼンに感心した。去年の冬がとてもヒサンで、雪や荒天で、多くのフライトが遅れたりキャンセルされた(私は3度ほど接続を逃した)ので、フライトがキャンセルされた場合は、客に早急に連絡するようにカイゼンしました…なんて機内誌に書いてたけど、ホントだよ。搭乗券までもらっちゃった。

(どーでもいいけど、機内でベルリン行きは再予約とか言ってたけどこれ見ると遅れてるね。乗り継げたんじゃないかな)


が、しかし、出発前ならまだしももう中継地まで着いてしまっている。フランクフルトで放り出されても困るから、乗り換えカウンターへ。


何を間違ったか、私、スターアライアンスのゴールドカードを持ってるんですが(多分来年限り)、こーゆー時にはホントにありがたいカードになります。乗り継ぎに失敗した人たちが行列している乗り継ぎカウンターの脇にある別のカウンターへ。

(写真整理してて思ったけど、大して混んでないね)


私:「というわけで、私のヒコーキ、キャンセルされたみたい」
係:「申し訳ないですねえ。Snigel様、ドイツのビザはお持ちでしょうか?」


は?こいつ頭悪い?目的地がドイツなんだから、ビザ持ってるに違いないでしょ…と思ったが数分後にこの質問の謎は解けた。


私:「日本のパスポートですから(えっへん)」


ホントに日本のパスポートは素晴らしい。御存知の通り、短期滞在なら、ヨーロッパ内(あるいは世界の多くの国では)いちいち渡航前にビザを取得するという手間がない。それに対し、中国を含めアジアの国のパスポートでは、いちいちビザを取る必要があるみたいなのよねん。日本のパスポートのお陰で、そんなことを意識しなくて済むというのはホントにありがたい。


係:「そうですか。それでは、ホテルの手配をいたしますね。…空港前のシェラトンをお取りしますね」


…シェラトンかー。がっかり。


…って5つ星ホテルにタダで泊まれるくせになんの文句を言っとるんじゃ…とお思いの方もいらっしゃるでしょうが、この理由は後で。


係:「それでは明日の朝6時半のヒコーキに再予約をさせて頂きました。こちらが搭乗券でございます」


…ってケータイに搭乗券あるのに。


ここで私はダメ元で言ってみた。


私:「あのー、もし、もしも可能でしたら、帰りのヒコーキ、日曜日じゃなくて、月曜日に変えてくれたら嬉しいなー…なんて思うんですけど。ほら、滞在時間短くなるから、ちょっと困るんですよねえ。もちろん、変更不可能の航空券ということは理解してます。『できたら』のお願い…ということで…」


もう、今までの経験で悟ってしまった。こんな時に偉そうに


「君んとこの会社がヒコーキがキャンセルされたお陰で大迷惑だよ。帰りのヒコーキの日程を変えてくれたまえ」


なんて言ったらダメ。相手だって人間なんだから、カチンときたら、できることだってできないと言ってやりたくなりますよね。逆にていねいにお願いしたほうがホントはできないこともできると言ってくれる気がします。もちろん、時と場合によるんだろうけど、こと、航空会社での交渉は下手(「したて」ね)に出たほうがいい結果が出ると経験則で断言できます。


あとね、こんな時に電話予約センターに電話するのもダメ。実は空港の職員の方が遥かに大きな権限を持ってるんですよね。なので、電話予約センターでは無理でも、空港のカウンターでなら可能なことも多いです。今回のお願いも、電話予約センターでは間違いなく「お客様の航空券は変更不能なものですので」とにべもなく断られる。


そんなわけで、フランクフルトのカウンター。係の人


係:「困りましたねえ。お客様の航空券、特に安いやつでして、変更は承れないんですよね」
私:「ですよねー。わかりました。お手数をおかけして申し訳ありませんでした」
係:「わかりました。特別に変更を承りましょう」


交渉成立。ありがとうございます。


かくして、日曜日から月曜日のフライトにまんまと手数料なしで変更する。え?会社?いーんですよ。どーせ私の所属するヘルプデスクは全員いるけど他の部は2割くらいの人はおおかた休んでるだろうし。


突然ですが、ここで問題:クリスマスで一番踵が浮いている人はだれでしょう。


さてさて。空港のカウンター。中国からのヒコーキが遅れたか何かで、若い中国人連中がわさわさと並んでたのね。ふと気がつくと


…信じらんない。機内備え付けの毛布盗んでる


…って思ったわけよ。だけど、ルフトハンザの地上職員がほいほいほいと客に毛布を渡してる。


…信じらんない。ルフトハンザ、客へのホテル提供やめたの?


…って思ったわけよ。で、ふとさっきの航空会社の社員の質問が頭をよぎったわけ。


係:「Snigel様、ドイツのビザはお持ちでしょうか?」


ああ(ぽんっ)。


中国人のこの人達、おそらくドイツ経由でどっかに行くんだわ。それで、ドイツでヒコーキの乗り継ぎに失敗したと。普段なら、ルフトハンザはそんな顧客のためにホテルを提供するんだけど、この人達はきっとドイツ滞在のビザがないんだ。だから、ドイツに入国できないからルフトハンザはホテルの提供ができないんだわ。納得。で、さっきの係の人、そんな人ばかり相手にしてたから、見てくれが同じ私に「ビザはありますか」って聞いてきたんだわ。納得。


いやはや、日本人でよかったわ…と思いました。


ま、ここで話を終えてもいいんだけど、おまけのシェラトンの話ね。


フランクフルトのシェラトンホテル。超一級のホテルですよ…立地は。なんてったって、空港のターミナルから渡り廊下を渡るだけだし。それだけ。5つ星らしいけど、ぶっちゃけたいしたもんじゃない。

(渡り廊下。これを渡ればもうターミナルのど真ん中。なんと、ドイツ国鉄の駅より近い)


部屋。


まあ、広いといえば広いんだろうけど、どうせ寝るだけ。


航空会社向けの格安料金というオチなのかもしらんけど、なんと、歯ブラシすらおいてない。前回泊まったときはただ単に置き忘れただけくらいに思ってたけどもう確信した。わざと置いてないんだわ。朝になってそういえば、髭剃りもないことに気がついた。5つ星ホテルでそりゃねーだろ。そういえばネットも有料だったな。


午後11時までダイニングが開いていて、ルフトハンザが30ユーロまで出してくれるというので行ってみた。すごく感じのいいウェイターさんがテーブルまで案内してくれた。


メニューを開いて、本日のオススメはあーだこーだ言い出すので…


私:「いや、なんかすごく軽いもんが食べたいんです。ほら、サラダとかなんかないですかね」
ウェイター:「チキンサラダがございます。それからサイドでサラダなどいかがでしょうか。」
私:「んじゃそれで」
ウェイター:「お飲み物はいかがなさいますか」
私:「ビール!」


そう、ビールを飲みに来ただけ。あとはおまけ。そんなわけで、「サラダにサラダ」というわけのわからん提案をされたことに気がついていない。


周りを見ると、同じような境遇の人が多いのか、お一人様が実に多い。いや、どうもお一人様って敷居が高いですよね。そりゃ、吉野家とかなら平気ですよ。だけど、たとえばフランス料理店にお一人様で行けるかっていうと…なかなか難しいよ(行ったけど)。ひとりでカラオケボックスに行けるという人は、もうある意味尊敬するね。だけど、このホテルのレストランでは割とフツーみたい。ビジネスマン風の人が何人もおひとりさましてた。


はい、ご飯到着。


なるほど、サラダとサラダの理由がわかったよ。


ビールを二杯飲んで帰ることに。チキンサラダに、サイドサラダ、ビール2杯のお会計は32ユーロ。


…なるほど、値段は5つ星ホテルね。自腹じゃ絶対払わんわ。こんなもん。あ、もちろんルフトハンザのバウチャーは30ユーロでしたので、足が出た分とチップは自腹でしたよー。