【2022日本帰省-2】九州発東京経由新山口行きの乗車券を買う


前回の続きです。前回はドイツの自宅から実家までの長い道のりでした。

お疲れだったものの、ここで家でのんびりしていたらお昼寝→夜寝られない(時差ボケ治らない)ということになることは目に見えていたので、頑張って別府に出かけることにする。東京他へ行くためのJRの切符を買うという目的もあった。

かくして暘谷駅。…地元の人でもない限り聞いたこともない駅だと思うけど。大分県速見郡日出町(やーい、読めないだろう。「はやみぐんひじまち」です)の中心駅が暘谷(ようこく)駅。確か30年くらい前に新しく作られた駅ながら、日出町の中心駅日出駅よりももはやはるかに栄えている。ここから各駅停車で別府駅へ。

交通系ICカードも使えるのにわざわざ紙の乗車券を買う莫迦

別府駅のみどりの窓口。実はこれから買おうとしている乗車券はたぶんその場では買えないくらいとんでもなくマニアックなもの。なので窓口にはぜひぜひJR発足時からいます…という熟練の駅員さんが座っていてほしいと心から願っていた。そんな私の前に開いている2つの窓口はどちらもうら若き女性。これはダメかもわからんね…などと人を見かけで判断してはいけません。

別府駅にはゆふいんの森号が停車していた。未だに乗ったことがない。

ここで挫けては前に進めない。こんなときのために私は旅程などを詳しく書いたラブレターを用意しておいた。ラブレターは後で紹介します。

「ネット予約は券売機でも受けとれます」私のような小心者が穿った見方をすれば「窓口に来るんじゃねえ」と書いてあるように読めなくもない。

まずは窓口に並んでいる人がいなくなるまで待つ(やっていることはストーカーと変わらんな)。頃合いを見計らって私にできる限り最もへりくだって

「このような乗車券を作っていただきたいのですが…もちろんお手すきのときで構いません。なんなら水曜日に取りに来ます」

とお願いする。

私の書いたラブレターを一読したみどりの窓口の係さん。

「これは…今すぐに発券は…たしかに無理です」

「いつならできますか?」

「そうですねー2時間後とかなら」

まじか?即日発券は正直期待していなかった。だけど今日作ってもらえるなら本当にありがたい。というわけで、待ち時間を利用して別府のお散歩。

最初に向かったのはデパートの中にあるZoff(メガネ屋さん)。3年も帰省してなかったからメガネの度がもう合ってない。新しいメガネを作ることは今回の課題の一つ。メガネを二本を作る。ありがたいことに30分でできるとのこと。なんか今日の俺、ツイてるねノッてるね。

ちなみにこのデパートはトキハ別府店でして、バブルの頃すったもんだがあって開店。市に誘致されてコスモピアという専門店街とともに開店したのに市はトキハにバブルの後始末という煮え湯を飲ませた挙げ句に競合他社のゆめタウンを誘致…と調べれば興味深い別府市の黒歴史を紐解…いや、偏見あふれる根拠なきひとりごとです。忘れてください。

メガネが完成するまでの時間つぶしとして竹瓦温泉へ。行ったことはなかったものの有名。駅前高等温泉でも良かったけど…なんとなく。前回の帰省時に友人が訪問していたというのもあった。

活気あふれる…とはお世辞にも言えない商店街。

竹瓦温泉の周りって温泉地あるあるの歓楽街。小学校の時の社会見学でこの辺りに来た。同級生と「回転ヌード」という看板に「えろいー」と大騒ぎになったなあ(今にして思えば、回転ヌードってなんやねん)。

昼間だからか裏通りは静か。地元のおいちゃん(大分方言)に「こんにちはー」と声をかけられたので調子良く「あ、どーも」と返す。数秒後に気がついた。今のおいちゃん、お姉さんが背中を流してたり、なんならもっと親密なサービスをしてくれる(らしい)個室浴場の呼び込みさんじゃん。いやいやいやいや、私は温泉に入りに来たのだ。(たぶん)温泉じゃない特殊な個室浴場にン万円を払うつもりはない。

全くの蛇足ながら、私、その手の場所に足を踏み入れたことがない。別に女性の尊厳がどうとか高尚なことを思ってるわけじゃないの。ただ単にお金がもったいないというだけです。ケチなのね。要するに。

達筆すぎて読めない竹瓦温泉。

かくして竹瓦温泉。入湯料は300円。…なのだが、共同浴場は洗い場も何もないやつ。これなら永石温泉100円のほうがいいなあ。砂湯などもあるらしいがこちらは行ってないのだからどんなものかもわからない。湯は熱め。ぬるい人生を送っている私には微妙に辛い。とはいえ別府の湯を満喫する。

ところで、湯上がりの飲み物といえばコーヒー牛乳と相場が決まってます(弊社基準による)。なのでここでも飲んだのだが

はい皆様ご唱和ください。「ちーがーうーだーろー」

みどり牛乳じゃない。わかってないなぁ。大分で牛乳といえばみどり牛乳と相場が決まってます(これをつぶやいたーに書いたら県南在住の人から突っ込まれたなぁ)。

メガネを受け取ったものの、まだ時間がある。

そうだ 別府タワー 登ろう

とJR東海に触発されて突如思い立ってしまう。

よく聞く話では東京で生まれ育った人は東京タワーに登ったことがないらしい(今じゃこの例えはスカイツリーに取って代わられてるのかしらん)。同様にして、大分県民たる私は別府タワーの脇の国道はそれこそ何百回も通った気がするが未だに登ったことがない。これはまたとない機会だ。昭和のかほりがプンプンする別府タワーにいざ登らん。

ん?なんか変だぞ。

こうして別府タワーに登ろうとした私の前に現れたのは

展望台の営業は休止中です

別府タワーに全力で拒絶される。

そうですか。風は海から海へと帰るもの。私と別府タワーはきっと交わるはずのないレールの二人なのね。(何を分けのわからんことをほざいてるんだこのアフォはというお方。いちおう元ネタはあるのよん。)

こうして失意の私はデパートに戻りデパートの立体駐車場最上階へ。ここ、展望台として開放されている。海側の眺望は望めないものの、山側はこのとおり。高さも実は別府タワーと変わらないというすごいオチ。ちなみに別府で眺望を楽しみたいなら、ビーコンプラザ、十文字原展望台などがおすすめ。別府タワーは行ったことがないからわからん。

ようやく指定の時刻になったので別府駅へ戻る。

ここでようやく今回のきっぷの説明。基本的に東京往復が目的。途中で友人などに会う。ここでJRのきっぷの(たぶん)無駄知識。

JRのきっぷは長距離になるほどキロあたりの単価が安くなる。

この法則を利用すると、たとえばわかりやすい例では、東京から金沢を往復しようという場合、北陸新幹線で単純往復するよりも

東京→(北陸新幹線)→金沢→(北陸本線)→米原→(東海道新幹線)→東京

と一周するほうが運賃が安くなる(もちろん逆向きも可)。同様に東京から名古屋に行くときも

東京→(中央本線)→名古屋→(東海道新幹線)→東京

とすると運賃は安くなる。細かいことはあるけど端折る。気になる人はこのあたりのサイトが詳しいです。調べ始めるときっぷマニアの沼にはまるかもしれませんがそうなっても私は責任持てません。

ただ上の名古屋の例で分かる通り、たとえ運賃がいくらか安くなったとしても中央線経由では時間は余計にかかるのであまり意味は無いように見える。実際その通りで、よほどのアホでない限りこんなことはしない。

これをさらに拗らせたのが今回のきっぷ。発券していただいたきっぷをご覧いただきましょう。

…意味不明ですね。あなたがきっぷマニアでない限り。

つぶやいたーと違いここには文字数の制限がないので詳しく書きますが、これは単なる片道きっぷです。杵築(きつき=日豊本線の特急が停まるもののローカル駅)から新山口までの。ただし、途中に東京や金沢を経由する長い片道きっぷです。

片道きっぷにはゆるいながらもいくつかの規則があり、同じ路線を2度使うことはできないというのがあります。新幹線はあくまで在来線と同じ路線の扱い(マニア対策:一部例外があります)。なので、例えば東京から静岡を往復するのに行きは新幹線、帰りは在来線だからこれは片道きっぷだけんね…という理屈は通用しない。

これの意味するところは、九州から本州までの「片道きっぷ」は買えない。なぜなら関門海峡があるから。なので、目的地は山陰本線と山口線を使い新山口になる(山陽新幹線は行きに使う)。なぜかは知らないが、終着駅に限り同じ駅を二度通ることが可能。

いや待て、だったら新山口じゃなくて下関でもええやないか…というツッコミが入りそうですが、これにももちろん理由がある。山陰本線がローカルすぎて時間がかかりすぎるのだ。なので新山口にした。

2枚めのきっぷは件の杵築から新山口までの長い片道きっぷに付随する連続乗車券。別に発券しても良かったのだけど、有効期限が伸びるなどの理由で同時に発券してもらった。なので連続乗車券。なお、連続乗車券に金銭的な利点はない(別々に買うのと同じ運賃)。

このややこしい片道乗車券にはさらにややこしい話がある。もはやほとんどの人が読み飛ばしているだろうけど今後の話を進める上で避けて通れないから続けます。

JRの切符の発券にはマルスという専用の機械を使う(らしい)。マルスは優れた機械ながら限界があり、具体的には乗り換えが16回を超えるとエラーを起こしてしまうらしいのだ。まあそうだよね。通常の片道切符で16回も乗り換えるアホタレはいない。こうなると人力での発券となる。これがすぐに発券できない、そして私が熟練の駅員さんを熱望していた理由。そして、そのややこしい経由はきっぷの中に書ききれないので補充券(業務連絡書)という名の別紙に書かれることになる。

先程の別府駅の駅員さんにお渡ししたラブレターをご紹介します。

これと「別紙」旅程のエクセル表を渡した

専用のアプリで経由地を指定して、かつ営業キロまで明記してある。とんでもなくマニアックかつ有能なアプリを使い、経由についてはどこぞの首相よろしく検討に検討を重ねた。それをラブレターの中に書いたのだが、別紙となる業務連絡書には

まさかのコピペ!私の別紙をコピーしてそのまま貼ってある!

これにはさすがの私もぶっ飛んだ。先輩諸氏の特殊な片道券はネットで拝見していたが、このコピペバージョンは初めて見たぞ。

さて。別府駅のみどりの窓口。窓口で

「こちらがきっぷになります。経由や営業キロ・運賃等に間違いはございませんでした」

…私が優秀なんじゃないです。無料のアプリが優秀なんです。とはいえ、数日は覚悟していた発券がわずか2時間で終わる。ごめん。別府駅のみどりの窓口の駅員さん。素晴らしい仕事をしてくださいました。…まあ、窓口の後ろに熟練の駅員さんがいた可能性は否定出来ないけど、少なくとも手書きの文字は今どきの若い女性のそれよね。

ご参考までに、この旅程を作るにあたりとってもお世話になったのは経路運賃営業キロ計算アプリFarertというアプリです。無料でここまでというくらい優秀でしたが、こんな特殊な用途でもない限り普通に使うものではない気がする。

 

 

それにしても エチ カレチ は読めなかった。エチ・カレ子と誤読してググったらとんでもない結果が出てきた(ググるなよ。絶対だぞ)。

こうして帰省一日目は実に実り多きものとなる。そのまま夜眠れたので時差ボケにも絶大なる効果があった。