バカバチと牡鹿の頭

突然自爆テロの被害者になってしまいました。あ、こーゆー言葉を軽々しく使うな…とお怒りの向きもあろうかと思います。おっしゃる通りです。テロの被害者の方が万が一これをお読みだったりしたら、不愉快でしょうね。が、しかし、それでも私は言いたい。これはテロだと。まあ聞いてくださいよ。


話は金曜日の夜にさかのぼる。私は同僚のお別れ会のために町へ行く途中。家の近くのバス停でバスを待っておりました。バス停でバスを待っていたイタリア人(男)と雑談。彼はウェブディベロッパーらしくうっかり私が「ボク、実はなんちゃってシスアドなんだ」って言ったらリナックスがどうこうわけのわからんことを言い出して私はどん引き(知っとけよ)。


わけのわからん宇宙語で語っていた彼が突然わかることを言った。


彼:「襟の所にミツバチがとまってるよ」


ホントだ。私は体を一歩引いてミツバチを逃す。で、その後も彼の宇宙語を聞くとはなしに聞いていると突然左手の親指に激痛が走る。なぜだか知らんが、そのハチに刺された。


…ってか、なんでよ?


私はハチでも何でもたいがいの昆虫はミョーに攻撃したりしない限りこっちを襲ってくることはないと今日まで信じてました。が、このバカバチはなーんの意味もなく私を刺しやがった。だいたい、このバカバチは花一つないこの不毛のバス停でいったい何をしとるのだ?


そこからの対応がまずかった。そのバカバチが刺した後に一生懸命飛び去ろうとするのだが、抜けない。一生懸命飛び去ろうとしてるのを不思議な思いで数秒見つめる。すると、ちょいグロいが針がバカバチの体から線を描いて抜けて飛び去って行った。…いや、飛び去って行ったかどうかは知らん。気になったのは自分の体のほう。バカバチの針が体に残ったぞ。


私は大したことになるとは思ってなかったので、そのウェブディベロッパーと会話を続ける。が、気になったので町に着くなり午後8時を過ぎても開いていたBoots(マツキヨみたいな化粧品なんかも売っている薬局)へ。薬剤師さんが暇そうにしていたので話しかける。


私:「ハチに刺された。なんとかしてくれ!」
薬剤師:「このスプレー効くわよ。ほら、しゅっとかけてみて」


…って金払う前にシュッとかけちゃっていいのかよ。かけると、おおお、冷却効果あり。サロンパスみたい…と言えば一部の人にはわかってもらえるのでは。小心者の私、買わないわけにはいかないのでそれを買う。


私:「これもらうわ。いくら?」
薬剤師:「7.95ユーロ。そうそう、針が残ってない?」
私:「あ、残ってるかも」
薬剤師:「口で吸ったほうがいいかも。あ、ダメ、薬塗っちゃったから」


どっちなんだよ。


かくして、そのスプレーをポケットに忍ばせてThe Stag’s Headというパブへ。昔からあるよく知られたパブ。基本的にはおじさんパブ。ただ、「街中でアイルランドの昔ながらの雰囲気のあるパブを試してみたい」という観光客の方には結構薦められるパブかもしれない。地階はちょっと場末のダメダメ感が漂っているが地上階は悪くないかも(ただし、トイレはご多分にもれず汚い)。


そんなことはどーだっていい。行ってみるとなんのこたーない、会社をやめる当人(送別会の当事者)ともう一人しか来ていない。…ってか私ですら30分遅刻したのにこのアイルランド人の時間に対するいい加減さはある意味で芸術だ。で、やめる当人がバーに行くというのでドイツの瓶ビールを頼む…が置いてない。ならギネスでいいや。


出ました。アイルランド名物buying a round。なんて訳したらいいんだろ、要するにね、アイルランドのパブはその場での支払い。で、バーカウンターに行く人がテーブルにいるみんなの分を頼んでみんなの分を払っちゃうわけ。で、おごられた人は次に自分がカウンターに行ったときにみんなの分をおごるというわけ。以下に、このやり方の利点と不利点を挙げます。


利点:
運が良ければ金を払わなくていい可能性がある(おごられっぱなし)。


不利点:
アイルランド人のペースで次から次へと酒が来るので酔っ払う。
運が悪いと費用対効果で著しい損害が出る(自分は2杯しか飲んでないのに10杯分買わされたなど)。
人数が多いとえらい支出になる(10人いたら50ユーロ(8000円とか)にすぐなる)。


…と、まあ、私が考える限りではあくまで私ら日本人には不利なやり方なんですよ。だってさ、この飲兵衛どもについていくなんて日本人は無理っすよ。そうそう、結局最終的に10人くらいの同僚が集まったんだけど、私以外全員アイルランド人。かくして、ものすごーい高速で次のギネスがやってくる。私のギネスがまだ半分くらい入っててもお構いなし。


この日の新