不況で起こったダブリンのパブの革命的出来事?

アイルランドは不況です…ってなんどこの出だしでこの日記始めたかな。この不況のせいでパブの数、ちょっと減ったらしいですね。実際家で飲む人が増えたらしい。例の公共の場所での禁煙を定めた法律が追い討ちをかけたという人もいるけど、私に言わせれば単に不況だからだと思う。何せ、一度出かけたら平気でビール10杯とか飲んじゃう人たち。それだけでざっくり50ユーロが飛ぶ計算になるし、それにタクシー使ったりしたら一晩100ユーロ。うん、やれ増税だ賃金カットだとかいう中で支出を減らそうと思ったら、まず減らすべき部分だわ。


かくして、水曜日にホントに久しぶりに街に出かけてパブに行った。市中心部の某場末のパブ。午後7時という時間もあってかがらがら。ここで数年来気になっていた「アイスビール」を頼んでみる。何でも氷点下の温度で出されるとか。


カウンターでバーマンの動きを見ていた私の目が点になった。なんと、グラスを冷蔵庫から取り出したぞ!アイルランドに住んで10年。ビールのグラスはカウンターの下にあるのが常識だと思っていたのに(つまり常温で置かれてるのね)、冷蔵庫からグラスを取り出した。日本では当たり前かもしれないけど、アイルランドでは初めての体験。


こちらが、件の「冷たいバドワイザー」(いうまでもなく右はギネスね)。バドワイザーなんて、一部のアイルランドのギネス党のおっちゃんに言わせりゃ「おしっこ」なんだけどね。


飲んでみる。つめたいバドワイザー…嫌いじゃない…ってかむしろ好きだ。やっぱり日本人だから「冷たい」ってことに高ポイントを与えてしまうのだ。 だけど、アイルランドでこれが流行するかはまったく謎。そういえば、このビール、アイルランドの気温が20度以上になったら参加しているパブで無料!なんてキャンペーンやってるけど、言い方を変えれば、20度以上になることが少ないからこんなことができるわけで。気温が20度にも満たないような場所でこんなビールははやらない気がする。そういえば、大昔、Extra cold Guinnessなるビールがあったけど、最近まったくお目にかからないな(←間違ってたらツッコミいれてください)。


8時過ぎにConnolly Stationの構内のパブに移動。ここもまたがらがら。店の一つのエリアが貸切状態。友人がカウンターからビールを持って戻ってきた。


は?なにこれ?


友人:「1個買ったらもう1個無料のキャンペーン(buy one and get another one free)やってた」


は?これも不況?ビールを1杯買ったらもう1杯無料なの?ありがたいようだけど、考えてみると、テーブルの上にビール置いてたらぬるくなるじゃん?


そして、不況のせいだかなんだか知らんが、午後9時半になると


「そろそろ閉店でーす」


をい。まだ9時半じゃねえか。ありえねえぞ(個人的には一向に構わんが)。確かに客はいないけど。


こりゃ、ダブリンの(いや、アイルランドの)パブ文化の危機じゃないのか…と思ってたら、面白い新聞記事を発見(英語)。


James Joyceの代表作ともいえる、ユリシーズの主人公、Leonard Bloomが本の中で言うのだ。「ダブリンの中心部をパブの前を通過することなしに横断できるルートを考えることは、いいパズルの問題になるだろうね」


…と新聞の記事の出だしをテキトーに訳しただけなんですけど、なるほど、確かに1000を超えるとも言われるダブリンのパブ、どこの通りにもパブはある。それを避けて市内を横断するって至難の業だわ。


世の中にはヒマな人がいます…じゃなかった、向学心に燃える人がいます。コンピューターにパブから35メートルに入らない市内を横断するルートを発見したらしい。それがこちら


なんでも、これ、裏通りはもちろんのこと、途中で夜間には閉鎖される公園や、博物館の敷地を通過してようやく成立するらしい。しかも、ホテルの中のパブは勘定に入れないなどいろいろ制約があるらしい。そういえば、35メートル以内…という35という中途半端な数字がすでに苦しさを示している気がするなあ。不況のせいでか、一軒のパブが潰れたこともこのルートを成立させることになったらしいです。