ひでかす、日本へ行く

私が布団の中でシアワセにペンギンとワルツを踊っている夢を見ていると、ノックの音がした。…なんだよ、もう5時過ぎたのかよ。

話は前日に戻る。うちの同居人ひでかすからSMSが届きまして、

「明日空港まで送って行って(はあと)」

とのたまう(注:「はあと」は捏造)。

私がいまさら指摘するまでもない、日本は震災だ、津波だ、原発事故だで今まで経験したことのない状況に。そんな中偶然にもひでかすは帰省予定。こりゃいくらなんでも帰省を中止するんじゃないかと思ってた。というか、ヒコーキは東京に飛ばない(中部に行き先変更)、東京ではまともに電車が動いてない(計画停電とやらで電車が間引き運行されている)、すべては自粛ムード…と、まあ、どう見ても行っても楽しくないでしょ…という状況なので「行くな」と説得してた。ちなみに私は3週間後に帰省予定。3週間も経てば状況は変わっているだろうと期待しているのだが…。

まあ、ひでかすは結局日本に帰省することを決めまして、空港まで送って行けと。で、やつのヒコーキは私にはおなじみのルフトハンザで、私が数日前に乗った午前6時50分発。ええと、空港に6時に着けば十分早いから、うちを5時半に出れば充分早い。だから5時15分までは眠れるな…と思っていたわけ。

で、話は最初に戻る。ノックの音がした。

うう、もう5時過ぎたのか…と思って時計を見ると

午前4時。

その昔、バブルの絶頂期だったころ、志村けんのだいじょうぶだあという番組がありまして、その中でダンナ役の志村けんがニョーボ役の石野陽子に「明日、5時起きなんだ」と言うと、石野陽子が「ご、ご、5時?!」と聞くお約束コントがあった。それでも朝の5時。朝の4時ってなんだよ。…はいはい、知らないならそれでいいです。

かくして、朝の4時に起こされたかわいそうな(当社比)私。のそのそと起きだすと、ひでかすのオンラインチェックインをする。フランクフルトから成田に飛ぶはずなのに、行き先は名古屋。しかもソウル経由。もう私ならこの時点で行かない。…と思う人が多いのかどうか知らんが、座席指定をしようとすると、全部…は大げさだけど、8割方の座席は選択可。つまり、がらがら、すかすかなわけね。

すごく納得した。そっか。日本から脱出しようと日本発ドイツ行きの航空券はプラチナチケット化しているけど、逆のドイツから日本行きの航空券は価値がなくなっているのね。こりゃ、ひでかす、座席1列を独り占めして横になって日本に行けるな…(注:飛行中はシートベルトをしないとだめです)などと思っていた。結果、ひでかすは足元の広い席をまんまとゲット。

かくして、半睡眠を保ったまま、空港まで運転。で、ひでかすをおろしたあとガソリンを入れて帰宅。あ、ガソリン、リッター1.5ユーロだって。話すの本筋とは関係ないけど…痛い。

うちに帰って、1時間ほどうちにいて会社へ。会社からなんとなく気になってルフトハンザのホムペをチェックしてみた。

ひでかすの乗るヒコーキ、キャンセル。

よくよく調べてみると、フランクフルトから中部行きは一日2便。そのうちの一便はフツーのフランクフルト=中部間の運行。もう一便は、そもそも成田行きだったのに中部に行き先変更された便。この時点でピンときた。さては、この成田に行くはずの便を運休にして、乗客を中部行きに詰め込もうという魂胆だな。

案の定、ひでかすは、成田に行くはずだった無駄にソウル経由の名古屋行きではなく、名古屋直行便に変更されたということ。この結果、ソウルに無駄に寄らないものだから、到着時間も早くなるらしい。…結果オーライで運のいいやつ。

ただ、この事実から推測されること。

日本から脱出を図ろうとしていた人たちの脱出はほぼ終了したんではないだろうか。

もし、日本からドイツに向かうヒコーキに予約が殺到していたなら、たとえドイツから日本に行く便が空だろうと運行したはず。それをしないのはよーするに客がいないからではないかと推測。あくまで推測なんですけど、そんなわけで、これも今回の騒動が終息に向かっている傍証になるんじゃないかと希望的観測を含めて思いました。

(全然関係ない雑談)
今回の騒動の中で、「枝る」なる、わけのわからん言葉が流行っているのだそうな。確かに枝野官房長官、テレビに出ずっぱり。個人的にはNHKの山崎淑行記者のほうがよっぽど出ずっぽってると思うので、どっちかというと「山る」という言葉のほうが流行するすべきじゃないかと考えている。この人、東電の情報隠蔽を厳しく批判したりして、なかなかの人だと思っている。