【嫁つき日本帰省2017-04】奥日光湯元温泉のお宿「ゆ宿美や川」


かくして、華厳の滝でマイナスイオンと昭和の香りを満喫したのち、いよいよ本日のお宿のある奥日光湯元温泉へ。

 

その前に中禅寺湖を見てみようか…とか思っていたら、遅れていた湯元温泉行きのバスがちょうど到着している。悩んだ末にこのバスは見送って中禅寺湖の観光に。

 

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…という選択は明らかに間違っていた。もう紅葉も終わってしまった晩秋の中禅寺湖なんて(少なくとも私の節穴のような目では)寒いだけで見るべきものなんてなかったわ。まさかボートに乗ろうとも思わないし。おとなしくバスに乗っておけばよかった。

 

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バスが時刻表通り運行されていないので、次のバスがいつになるかわからずバスターミナルで少し時間を潰して次のバスで湯元温泉へ。午前中はあんなに混み合っていたバスも、午後になり、しかも華厳の滝を過ぎた奥日光となるとお客さんの数もまばら。…いや、今までが多すぎたからそう思うだけで、地方のバスでこれだけお客さんが乗っていたら運行会社ほかは安泰だろうな…。

 

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そういえばこのバス、外国人観光客が多い土地柄か、車内放送がちょっと違っていた。日本のバスってさ…

 

「次は、中央銀座入口。中央銀座入口。インド人もビックリのスパイス、レストラン聖餐カリーはこちらからどうぞ。富勢警察署からのお願いです…」

 

…なんて、広告などのアナウンスが延々続く印象があるのですが、この路線ではそんな広告は一切なかった。その代わりに、日本語、英語、中国語、韓国語の四カ国語でアナウンスが延々続くという…。(中国語韓国語の)意味がわからんという意味ではこっちのほうが耳障りだな。

 

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中禅寺湖畔を過ぎると、海抜1200メートルをゆうに超えた車窓の風景は高原のそれに明らかに変わりまして、もう初雪が降ったらしく、一部には溶け残った雪が。

 

40分ほどの乗車で湯元温泉に到着。今回予約した宿は…

 

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ゆ宿美や川

 

日光市街地くんだりからバスで途中で華厳の滝観光をはさみつつ1時間半近くかけてやってきたのは伊達や酔狂じゃない。このお宿がすごそうだったのだ。

 

何がって、なにはともあれ、温泉が。なにせ、わずか5部屋しかない宿に温泉が4つ(と、特別室には別に部屋の中に専用の温泉があるとか)。つまり、いつでも貸切風呂が楽しめるという。しかも、自前で源泉を持っているのみならず、露天風呂と内湯でも泉質が違うとか…おんせん県出身の私をしても唸らざるをえないお宿。しかも料理も美味しそうだし。

 

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そんなわけでか、月曜日だと言うのに満室。旅館で稼働率100%ってすごいことじゃないかしら。

 

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ごめんくださーい…と入っていった先には

 

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囲炉裏。

 

おー。

 

出迎えてくださった女将さんが館内を案内してくださる。この女将さんが驚いたことに英語はもちろんなぜかドイツ語まで操れるというお方。女将さんの人柄もさることながら、日本中探し回っても英語ドイツ語の話せる女将さんってそうそういないんじゃあないだろうか。

 

そして、自室へ。

 

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このお部屋、一番奥の角部屋…と言えば響きはいいが、その実、5部屋あるうちでいちばんお手頃価格のお部屋。つまり、狭い。宿のサイトには「眺めはよくありませんが、風呂と料理は同じで寝るだけだからというリピーター愛用の部屋」とかなりぶっちゃけたことを書いてらっしゃる。

 

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お部屋は、まあ、なんというか、特筆するようなことはない…かな(注:掃除も行き届いていたし、アメニティも揃っていたし、なんの不満もない)。ただ、それは予約時点から納得済なんだから文句などない。さあ、温泉に行くぞー。と、さっさと露天風呂へ。

 

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露天風呂。

 

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…露天には違いないけど、建物裏の崖地との間なので眺望は全くダメ。まあ、私には奥日光の湯ノ湖に向かって自らのすべてをさらけ出そうなどという趣味はないのでそれでいい。それよりも何よりも

 

熱い

 

何がって、お湯が。

 

おんせん県出身だとかなんとかほざいておいて情けないのだが…私、熱いお湯、苦手。おそらく源泉からほとんど距離もなくやってきたと思われるお湯がこんこんと注がれる湯船は熱湯コマーシャルも逃げ出すんじゃないか…ってくらい熱い。選択の余地などない。水で埋め始める。

 

ん?あまり埋めすぎると次の人に迷惑かな…とも思ったが、熱いお湯がどんどん湧いてくる様子を見て意見を変えた。ちょっと埋めすぎたとしてもこりゃまたすぐ熱くなるわ。

 

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かけ湯代わりにシャワーで身体を洗ったのですでに身体は濡れていて、寒い。かと言ってお湯は熱くて入れない。ひとりで忙しく、「熱いー、寒いー」と格闘すること数分、ようやくなんとか足が入れられる程度の湯加減になった。

 

入って気がついたのだが、湯船の半分程度は寝湯になっている。適温になり

 

「あー、よきかなー」

 

ようやく湯船に落ち着いて浸かることができるようになり気がついたのだが、これはかなりいい泉質。ぬるぬるしていていかにも「効きそうな」感じがする。いやー、これはいい。

 

…のだが、嫁はこのぬるぬるゆえに錆びてしまった水道の蛇口その他を見て

 

「掃除が行き届いてない」

 

などと言っている。違うんだよ。ばかちん。多分だけど、新品の蛇口も数ヶ月でこうなってしまうのではないだろうか。ちなみにお部屋には指輪などを保管しておける…あれ、なんていうの、木の幹みたいになってて指輪ほかを引っ掛けられるやつ…がありました。

 

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のんびり温泉に浸かったあとには、まあ、かゆいところに手が届くというか、アイスキャンディのサービスまである。

 

部屋でのんびりしても良かったのだが、せっかく湯元まで来たのだからと、温泉街を散策してみることに。

 

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湖畔を歩き始めるとあっという間に日暮れ。季節的なものもあるのかもしれないけど、もともと静かな温泉街は、ややもすればうらびれた印象すら受けてしまう。でも、いろいろうるさいんだけど「鄙びた」ともまた違うのよね。なんか私の知る温泉街と違うのだ。

 

書きながらいろいろ思ったのだが、なんとなくわかった。私が考えるおんせん県の温泉街って、渓谷沿いの急な傾斜地に無理やり建物を作ったようなのを思い浮かべるのよね。それに対し、ここ、日光湯元温泉は湖畔の平坦な場所に広がっているものだからやたらとだだっ広い印象を受けるのだ。

 

あとはね、うらびれた…とかひどいことを書いたけど、温泉街にありがちなパチンコ屋とか派手なネオンサインなどは見かけた限り全く存在しなかった。それでやたらと落ち着いた印象を受けたような気もする。はい、うらびれたはある意味褒め言葉です。日光市街地の喧騒が嘘のよう。とても同じ市内とは思えません。落ち着いた温泉街にある落ち着いた宿です。

 

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ちょっとした散歩から戻ってくるともう真っ暗。あとは6時の夕飯を待つのみ。

 

夕飯は部屋ではなく階下の食堂で出される。内線で「お食事の用意ができましたー」と呼ばれたので、さっきの囲炉裏の先にある食事処へ。

 

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ごていねいに私たちの名前まで入った献立が置かれている。

 

嫁いわく、日本食のこの「ちょっとの量でたくさんの品数」というやり方がすごくいいと大絶賛。わかる。翌日思わぬところでこの話が蒸し返されることになる。

 

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蒸すと言えば土瓶蒸し(話のつながりに無理があるような…)。中にちゃんと松茸入ってました。

 

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日頃、日本酒など全く飲まないものの、せっかくだからと一合だけいただいてみる。難しいことはわからんが、すーっと飲める感じ。

 

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伊達鶏鍋博多水炊き風。

 

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日光岩魚塩焼き。若干ほぐして嫁に食べさせたが、ほぼ私が食べることになった。まあ、想定内。もちろん美味しくなかった…という意味ではなく、間違いなくおいしかった。ただ、嫁には尾頭付きの魚という「見かけ」という意味でちょっと拒否感があったらしい。まあ、わからなくもない。写真で紹介した料理以外にもいろんな料理があったのだが、省略。気になるお方は宿のページに出てます。

 

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ご飯とお味噌汁でいよいよお腹いっぱいになったのですが、デザートは…洋の東西を問わず「別腹」らしく、お腹いっぱいだったにも拘らずどこかに収まりました。

 

翌朝。

 

実は、昨晩ももう1回温泉に入ったのだが、さらにもう1回朝風呂。今回も昨晩に続き屋内の湯へ。屋内の湯は完全に自家源泉らしい。それで5組しかお客を取らないというのは、随分贅沢な話だわ。どうも宿のサイトを拝見した限りでは昔はもっとたくさんの部屋があったらしい。なんだけど、昭和の時代に旅館での火災などが続いたことで、改正された消防法に準拠するためだのという大人の事情に対応するために部屋の数を減らしてこうなったらしいのだ。

 

その秘密に気がついてしまったのは、私がわざわざ温泉の成分表を見るというヒマなことをするから。

 

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よーく見ると「男子浴室」って書いてある。なるほどなあと合点がいった。5部屋しかないのなら、「屋内と屋外にそれぞれひとつづつ男性用と女性用の浴室があります」っていうより「屋内と屋外に2つづつ、計4か所の貸切浴室があります」って書くほうがよっぽどいい。私だって貸し切り温泉…というのに興味を持ったんだし。そもそも貸し切りじゃなかったらこんなふうに堂々と浴室の写真なんて撮れない…。

 

 

こちらが元男子浴室。今じゃ貸切風呂。男子浴室…としては手狭だけど、貸し切りならば広すぎるくらい。手前が寝湯。私の身体だとちょっとお腹がお湯の外に出るくらい。もうちょっと深いほうがいいのかなとか、いや、このほうが熱くなりすぎなくていいのかなとかおもいつつ極上の源泉のお湯を楽しむ。いやー、この宿、いいわ♪

 

美や川さんの朝ごはんは朝8時から…とずいぶんのんびり。まあ、こんなところまで来て朝早くから慌ただしく出ていこう…というアホタレは…いた。それは私だった。今後の一日の流れ上、どーしても朝8時半発のバスに乗らざるを得なかったのだ。計画を立てた時点では特に朝早いとは思わなかったのだが、宿に到着後、朝ごはんが8時からと告げられて「ありゃ?」っとなった次第。今回の旅での大きな反省点の一つ。このやどでチェックアウトまでのんびりする日程を立てるべきだった。朝一番に足早に去るにはあまりにもったいない宿でした。

 

ともあれ、女将さんはじゃあ朝ごはんは7時からにしましょうと快諾してくださった。…どこに行っても他人に迷惑ばかりかけるダメ人間で申し訳ないです。

 

そんな朝ごはん。

 

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…朝からすげえな、これ。そう、最初はご迷惑だろうし朝7時半からでもいいかな…とか思っていたら女将さんの方からちょっと早めに…と申し出てくださった。この量を30分とかで食べるのは無理だわ。

 

というわけで、素晴らしい温泉と料理で充電完了。長い一日が始まります。