パン屋さんの衛生管理について

パン屋さん…ってあるじゃないですか。


今私が話しているのは、日本のパン屋さんね。ほら、スーパーでもデパ地下でもいいけどさ、大した広さはないんだけど入り口にトングとトレーが置いてあって(しかも、殺菌灯つき)、店内を自由に歩き回って欲しいパンを選ぶってアレよ。あの方式のパン屋さんて、少なくとも、私の知るかぎり、アイルランドやドイツには、ない。


あの日本のパン屋さんは、日本的にガラパゴス化したものの一つと言っていいと思う。あれだけいろいろな数のパンが選べるってのはこっちでは見たことがない。しかもおいしい。一つ難を上げれば、値段が高いことかなあ。


いや待てや。ドイツでもパン食うだろう…って話になると思うけど、確かに、パン屋さんは、あるの。うちの近所の町、人口1万人もいないだろうにパン屋さんだけは5-6軒ある。考えてみたらすごい数だわ。大手スーパーに併設されたパン屋さんから、おそらく地元の人がやってるパン屋さん、果ては、ガソリンスタンドの中に併設されているレストランとパン屋さんとかね。


で、そのすべてのパン屋さんに共通してるのは、対面方式。つまり、日本で言えばケーキ屋さんとか全国チェーンのドーナッツ屋さんのように、ガラスケースの向こうに店員さんがいて、ほしいのを頼んだら袋に入れてくれるってやつね。少なくとも衛生という面ではいちばん優れているやり方だと思うけど、いつも係の人がつきっきりじゃないといけなくなるから非効率とも言えるかも。


で、そうじゃない店もあるの。スーパーの中にベーカリーコーナーがあって、自分で袋に包んでレジに持って行ってね…というパターン。今日は、そのお話。


ドイツ発の格安スーパー、Lidlが数年前から工場で作ったパンを各店舗内で焼いて売るということを始めました。アイルランドでもドイツでも。発想自体はいいんだわ。ベーカリーコーナーに近づくといい匂いがして思わず買いたくなる。


こちら、アイルランドの某Lidlのベーカリーコーナー。金太郎飴的に同じ店舗を出店したがるLidl、どのLidlに行っても同じような感じです。


トレーもトングもないです。いや、トングは申し訳程度に数個その辺に置いてあるけど使ってる人を見たことがない。写真中央にリュックを背負った女性がいるのが見て取れると思うけど、その人が取ったのが袋。その袋にテキトーにパンを詰めてレジに持って行けと。


さて、ここで問題。パンはどーやって袋に入れるの?


さっきも書いた通り、いちおうトングは置いてあるよ。だけど、使っている人のほうが珍しい。しかもさ、パンによってはとてもトングじゃつかめないようなのもあるし。それをみんな、ショッピングカートを押したその手で平気で掴んで袋に入れている。いや、こうなるとさあ、パンをつかむときに当然カゴの中の他のパンに手が触れる…ということは当然で起こるわけで。ただ、そんなことを気にしているのはどうも私だけのような気がする。


翻ってドイツ。


同じくLidlで撮影。ドイツではいちおうケースに入っている。で、これまた形だけながら手袋が用意されている(たぶん使っているのは私だけ)。私のように考える人が他にいたかは知らないが、このケースにいちおう努力の跡が見られるの。


微妙に私が写り込んでるけど細かいことはキニスンナ。伝わるかな~。この写真で。熊手みたいな金属が中にあって、その柄がガラスケースの外に出てるのね。それ使って、パンを手前にやると手前の取り出し口にパンが落ちてくると。なるほど、確かにこの方式なら誰か赤の他人が自分で買わないパンに触れる…という問題は起こらない。だけどさあ、ツメが甘いというかなんというか…


問題点。


★ もし必要以上のパンを取り出し口に落としてしまったら、戻す方法がない(よく取り出し口にパンが残されているが、気分的にそれを買う気にはならない)。
★ クロワッサン等、柔らかいパンはこの熊手で潰される。
★ 手袋を使っている人がいないから、結局パンに素手で触れる。


たぶんこんなことを気にしているのは私だけなんでしょうねー。もう15年とか海外に住んでいるのですが、どこまでも私は日本人です。