【日本帰省記5】日本航空の機体整備整備場見学記

前回は、とんでもなく重い文章で失礼しました。でも、私の伝えたいことはおそらく伝えきれていないと思う。520のいのちの重さは、私ごときの拙文では語れるものではないと思います。

ともあれ、二泊三日の長野滞在を経て東京へ。長野なんて近いですね。長野新幹線でほんの1時間ちょいで東京まで着いてしまう。

そういえば数日前の新聞で、大阪のあいりん地区にある「笑笑」(ショウショウ)という飲み屋さんが、全国チェーンの「笑笑」(わらわら)に看板がパクりだと訴えられて書類送検されたという事件魚拓)があった。長野の幹線沿いにこんな看板があったけどこれはセーフなのかな?


私の判定ではビミョーにアウトです。これは。

東京到着後、向かったのは


日本航空の機体整備場。JALメインテナンスセンター。メンテナンスではなくンテナンスであるところがステキです。

日本航空の関係者の方がこのブログをご覧になったらあるいは不快に感じられるかもしれない。御巣鷹の尾根の話の続きが機体整備場ということは。だけど、御巣鷹の尾根への登山道ですれ違った日本航空の若いエンジニアの方々と思いを同じにしたい。安全以上に大事なことはないと。

おっと。文章が重くなりつつある。今回は軽い感じで書こうとしているので路線修正。

日本航空の機体整備場見学は、毎週土曜日に行われている。ちなみにライバルの全日空は週末を除く毎日。どちらも結構な人気らしく、半年ほど前から予約を受け付けている盛況ぶり。考えてみたら、無料でコドモが喜ぶ(私のような外見だけは大人も)。よっぽど浦安にあるネズミ島なんかより安上がりだし不況の世の中の強い見方と言えるかもしれない。

かくして、数ヶ月前から予約してなければいけないんだけど、ダメ元で、直前に電話してみた。その時の日本航空の広報の担当者の方がよかった。電話の向こうで

広報:「たった今二名のキャンセルが出たんですよー」

運がいいとか悪いとか、人は時々口にするけどそーゆーことって確かにあると私を見ててそう思う。JALさん、ありがとうございます。


まずは、どう見ても部外者お断り、怪しい動きしてたらすぐに通報するけんねという雰囲気をかもし出している入り口を抜けてビルの内部に。エレベーターで3階へ。ん?なんだ、この場所、なんか見覚えがあるぞ。次の写真をご覧になって、それがなんだったか思い出してみてください。わかる人にはわかるはず。


正解は上戸彩主演のテレビドラマ、アテンション・プリーズの撮影場所。なるほど、あの番組、ある意味日本航空のちょうちん持ちみたいな番組だったけど、実際に広報の息のかかった場所が撮影場所だったのねん。


ここ、けっこう興味深いものがある。


用済みになったコックピット。


思わず座ってしまうアホな私。あの大きなヒコーキを飛ばしている心臓部はこんなに小さいのかと改めて驚く。そういえばあの忌まわしき9・11まではコックピットの見学もできたんだっけなあ。古きよき時代なのか。

そして、広報部の方による説明の開始。30分ほどの説明は大人版と子供版があるらしい。残念ながら今回の参加者は子供のほうが多かったらしく、子供版による説明。とはいえ、揚力の説明などは純文系、高校の物理ではかろうじて0点を0で免れた私には実に興味深かった。

あ、蛇足ながら、高校の物理の期末試験の話ね。もともと文系志望だったから最初から授業など聞いてなかった。当然の帰結として試験のときに何もわからない。でさ、回答に窮して全部の答えを0(ゼロ)にしたのよ。理由は簡単、0以外だとナントカキログラムジュウとか単位を書かなきゃいかんでしょ。その単位がわからなかった。そしたらさ、たぶんサービス問題だったんだろうね。「ボールを投げ上げたときの一番上での速度を述べよ」って問題がまぎれていたのよ。それにより0点を免れましたとさ…というあまりに情けないお話です。


説明会場ではパイロットや整備士へのなりきりキットがあります。ええ?盗まれたら問題じゃないかとご心配の方。ご安心ください。


ご覧のとおり。前から見ればなりきりパイロット。後ろから見ればおぼっちゃま君の貧乏耐三状態。こんな格好で空港内をうろついてたらすぐに捕まります。ちなみにこのうしろ姿は私じゃありません。


エアフランスの事故では大西洋の海底に沈んで回収不能になったブラックボックスなどを眺めつつ、いよいよ、機体整備場へ。説明をされていた50代と思われる思しき広報部の男性、実にウィットあふれる説明をしてくださっていたのだが、機体整備場に行く前に、おおむねこんなことをおっしゃった。

「ただいまより皆様を機体整備場へご案内します。くれぐれも床に落ちているものなどをお持ち帰りにならないようにお願いします。いま日本航空は困ってますので」

かなりの自虐入ってます。子供は意味がわからず、大人は笑っていいものかと微妙な空気が流れる。はい。私が指摘するまでもないですね。日本航空は目下再生できるかどうかの瀬戸際。日本という経済大国のナショナルフラッグがここまで追い込まれることをだれが想像したろう。どうかどうか、日の丸を模した尾翼のヒコーキが飛び続けることを心の底より祈ります。でもゴメン、実は私はいつも全日空を利用しているんだ。世界最大のスターアライアンスには勝てない。負けるな日航。耐えろ日航。雨の日ばかりじゃないさ。


渡り廊下を渡っていよいよ機体整備場へ。ちなみに、この渡り廊下も、件のアテンションプリーズを見た方にはおなじみの場所だったりして、私は「おおっ」と思ったのだが、もちろん見てない人には何のことだかさっぱりわからない。


なんじゃこの整備場は。

床は塵ひとつないほどきれい。こんなきれいな整備場(工場)に私はほかにお目にかかったことがない。この整備場を見る限り私は信じることができる。日本航空のエンジニアたちの愚直なまでの真摯な姿勢を。御巣鷹の尾根ですれ違ったエンジニアの方々の本気を。もう一回だけ言わせてくれ。がんばれ、日本航空。


こちらは重整備中のMD90。このヒコーキ、燃費は悪いは機体のサイズが中途半端だわとあまり評判がよろしくない。ヒコーキの後ろのほうにエンジンがあり、後ろのほうに座ると騒音もひどい。だけどね、だいぶ前にMD81の機上で偶然隣に座った非番のパイロットさんの話を伺って以来、このヒコーキのことを少し見直した。

すなわち、このヒコーキ、エンジンが後ろにあるので重心が後ろのほうにあるので万一の際の不時着水のときに有利なんだと。いつも使うSASがダブリン線にこのポンコツMDシリーズを使うのだが、それ以来、このヒコーキのことを毛嫌いしなくなった。


この扉の向こうはもう誘導路。離発着機が目の前を掠めてゆく。自分が普段立ち入ることのできない場所にい