ルフトハンザにちょっと無理を言ってみる

いつものように会社を1時間早上がりして午後3時に会社を出た私。向かうは空港。もう14年選手となったわが愛車は今日も快調。M50(高速道路)を快調に飛ばし空港へ。途中渋滞に巻きこまれそうになったのでN2で高速を降りて裏通りから空港へ向かう。そのおかげもあって予定通りに空港の長期間駐車場へ。


もう抜け目のない私はきちんと事前予約で一日4.5ユーロの割引価格で予約をしている。で、入り口のゲートは私のナンバーを見て自動で開くはずなのだが…開かない。クレジットカードも読んでくれない。インターホンで係を呼び出し、5分くらい予約番号はなんだだのあれこれやりとり。係氏、最後にさじを投げ


係:「なんでゲートが開かないのかわかんないや。しょうがないから駐車券を取って中に入って。で、帰りに係に申し出て」
私:「ええ?それで本当に大丈夫なの?」
係:「大丈夫だよ」


出た。このホームページの主題をしつこいですがもう一度繰り返させていただきます。


アイルランド人の言う大丈夫ほど大丈夫じゃないものはない。


どーせ、帰りに問題になります。そして、これを始めとしてこのあといつもと同じドイツへの移動がおかしなことになっていくことを私はまだ知らない。


で、抜け目のない私はすでにネット上で搭乗手続きを済ませ、座席を確保。そのまま保安検査へ。日本的にいえばSkipサービスってやつ。保安検査をさくっと終わらせ、ラウンジへ。何を偉そうにラウンジだ…とおっしゃる方、聞いてください。前回と比べて15倍の運賃を払ったんですよ。前回1ユーロだったのに今回は往復15ユーロ。…どっちにしてもふざけた運賃ですが。


話はずれるけど、bmiのビジネスラウンジ。入った瞬間に目に飛び込んでくる本棚があるんだけど。そこにある本棚が、このラウンジにいる人たちがどんな人たちかを単純かつ明快に教えてくれている。


Making Money
Moneywise

金儲けの本ばっかりかい。


まあいいや。そんなことは。で、フランクフルトまでは実に快適。問題なし。定刻どおりにフランクフルトに到着。もう、勝手知りたるフランクフルト空港、次のハノーヴァー行きはAエリアから出ると知っているので搭乗案内を確認すらせずそのまま連絡地下道を歩き始める。Aエリアについて初めて搭乗案内を確認。


ハノーヴァー行き、1時間遅れ。


やられた。前回に続き、1時間遅れ。たかが1時間と侮ることなかれ。午後11時15分到着予定のヒコーキが1時間遅れるってどーゆーことかわかりますか?そう、問題は終電


終電は午後11時36分空港発。それを逃すと私は空港から出られなくなってしまうのだ(正確にはその30分後に別の列車があるけど中央駅からの私の接続列車には間に合わない)。だいたい空港で20分の接続時間ってことはヒコーキが定刻に着かない限り接続できないというほとんどバクチ状態の接続(だって仮に定刻にヒコーキが着陸しても、外に出るまでには最低でも10分はかかる)なんだけど、今までそれこそ何十回もやったが問題になったことは前回と今回のみ。また空港でハマるのは嫌だー、とフランクフルトで私は一計を案じた。


ルフトハンザの乗りかえ案内所(Transfer Centre)へ。


私:「かくかくしかじかでハノーヴァーで終電に乗り遅れるから明日の朝一便の振り替えることはできるかな?」


係のお姉さん、最初は「文句があるならカスタマーサービスに言ってくれ、これが住所だから」と木で鼻をくくったような対応だったのだが、私が自分でホテル代を出すつもりであること、そして、別にいちゃもんをつけて示談金か何かをふんどろうとしているような困った客ではないということがわかると親切に対応してくれた。


結果、ホテル代は自己負担になるけど「特別割引価格」でルフトハンザを通じてホテルを予約してくれること、そして、翌日の朝一便に変更手数料なしで予約を変更してくれることになった。私としては文句のない展開。正直ルフトハンザには振り替えの義務はもちろん、ホテルを予約する義務などなかったわけで、よくやってくれたと感謝している。…ってか感謝していた。…翌朝までは。


私の選択肢としては午前8時に出る一便か、その1時間半後に出る第二便。朝起きることは大して苦にならない私は朝一便を選択。これが大失敗であったことをこの時の私はまだ知らない。


いやー、私はルフトハンザが手配してくれたNHホテルなるホテルに期待をしておりました。…ってか名前を聞いた瞬間、全日空(NH)ホテルかと思ってしまった(聞けば、けっこう名の知れたホテルチェーンらしいですね。しらなんだ)。


以前bmiロンドン経由で移動中、ロンドンでやっぱり一泊する羽目になった。その時は空港近くのマリオットホテルを予約してくれたのだが、このホテルがけっこうきれいでよかったのよ。未だに無料で機内サービスをするルフトハンザのこと、ホテルもいいホテルに違いない。


かくして、わくわくしながら予約してくれたホテルへのシャトルバスに乗る。客は私だけのシャトルバスに揺られること15分、たどり着いたそこにあったのは…


(写真は翌朝撮影。あれだけ雨が降っていたのにそんな感じに写ってないのはなぜ?)


おそらくNothing Special Hotel Awards(どーでもいいホテル賞)というのがあったとすれば、おそらくかなりいい線を行くであろうと思われるホテル。


室内。

いや、何が不満と言われると困るんだ。きちんときれいだったし、部屋の広さもそこそこだった。ちゃんとバスタブつきのバスルームもあった。強いて文句を言えば歯ブラシが備えつけでなくてフロントまで取りに行かねばならなかったとかあるけど、本当に文句のつけようがない、だけど褒めようもないホテル。


ちなみに、ルフトハンザの斡旋「特別割引価格」にてこのホテルは素泊まりで一泊59ユーロなり。客観的に見てどこら辺が「特別割引価格」だったのか聞いてみたい。どー見ても、通常価格59ユーロの3つ星ホテルにしか見えなかった。


なんだか知らんが眠れそうになかったので、バーでビール二杯、さらに部屋でもう1本飲んで散財。翌朝は8時のヒコーキに乗るために5時半に起床。


窓を開けると、そこにはアドリア海の絶景。


…なわけはない。ここはフランクフルト郊外の住宅地…ってかどー見てもただの住宅地だな。ここ。ヒコーキが何気なく写りこんでいるあたりが空港近くといえなくもないけど。外は土砂降りの雨。まー、嫌な予感がしますな。


そして、30分に一度のシャトルバスに乗り空港に戻る。往復税別15ユーロしか払ってないのに偉そうにラウンジに行き朝食。それにしてもラウンジにいるこの前の日記で書いたのとは別の意味でのクソガキの多さ。


目の前のガキは母親に偉そうに「ママー、空港からはタクシーで帰ろうね」なんて言ってやがる。ざけんな。自分で稼いで往復15ユーロ払えるようになってから言いやがれ。ガキのうちから贅沢してんじゃねえ。ぶつぶつ文句を言いながら、少しでも元を取るべく日ごろ食べない朝ごはんをむしゃむしゃ食べる。ああ、ラウンジに行ってもどこに行ってもどこまでもビンボー人な私。


そして、輝くキリ番のフライトナンバーLH1000ハノーヴァー行きは、定刻どおりに保安検査場から一番便利な搭乗口A1より搭乗開始。ルフトハンザはこのヒコーキに何らかの思い入れでもあるのだろうか。


搭乗完了したヒコーキはエアバス319型機。8割がたの席が埋まっており、けっこう忙しそうな印象を受ける。搭乗完了のアナウンスはあれどヒコーキが動き始める気配はなし。定刻まであとわずかという段階になって機長からアナウンス(あ、全然関係ないけど、もと青社の機長が書いた機長からアナウンスって本、面白かったです)


機長:「当機はお客様のご搭乗も終わり、荷物も載せ終わり、離陸準備が整っております。…が、運行上のコンピューターにひとつ問題がありただいま取り替えのために整備に新しい部品を持ってくるように申し付けております。部品取替え終了次第の出発となり、部品交換までおおよそ10分から15分を予定しております。


ああそうですか。


で、15分後…


機長:「再び機長です。問題のありました部品は高度や速度を計測するコンピューターでして…」


…って、あれかい、今エアフランス機の事故で一気に脚光を浴びることになったあのコンピューターかい(注:これを書いている6月8日現在、大西洋に墜落したエールフランス機は、速度計が故障し、不適切な速度で乱気流に突入したのではないかという説が出ている)。


機長:「…部品交換は完了いたしましたが、不具合は解消されませんでした。ただいま代替のヒコーキも用意できませんので、このヒコーキは残念ながらキャンセルとさせていただきます。降りましたら搭乗口にて係員が待機しております。ハノーヴァー行きの続行便はおよそ1時間後に離陸の予定となっております」


…何のために早起きしたんだ。オレは。これならゆっくり寝て第二便に乗ればよかった。


ところが。よーく考えたら世の中そんなに甘くないんだよね。8割がたの座席が埋まっている第一便の客が同じ機材を使用予定の第二便に全員乗るためには第二便には2割の予約しかないということが前提となるわけでして。むろん世の中そんなに甘くない。かくして、座席の争奪戦が始まったのだった。


座席の争奪戦と言えば、ひでかすが友人から聞いた話(また聞きの話につき、信憑性についてはちょっと疑問符をつけといてねということ)。それはまだ、東西冷戦だとかいう言葉が語られていたころ。そして、凍ったままのメシを出し、ヨーロッパに行くためには「監獄ホテル」と揶揄されたホテルで一泊することを条件に格安で飛べたあの航空会社のお話。


この航空会社、なぜかモスクワから(って書けばどこの会社かバレバレなのですが)ロンドンだかへのヒコーキがオーバーブッキングしており、何十人かが乗れない状況になったそうな。で、この状況への対応法。


ヒコーキの周りを3週ランニングして、早いもん勝ち。


どこまでもうそ臭いです。預託荷物はどーなったんだと聞きたいです。が、この話は本当らしい。


閑話休題。話を数日前のフランクフルトに戻します。


降りた乗客には待機命令が下る。待つこと15分後、カウンターに来るように呼ばれる。人によっては搭乗券をもらえたり、人によっては「搭乗待ち券」なるわけのわからん券をもらっている。ま、高い運賃を払っている人から優先的に乗せていることは疑いようのない事実。幸い私には


中央席ながら座席ゲット。


…ネタとしては座席がもらえず空港でドツボにはまる…というほうが面白かったのだが、残念ながら乗れてしまいました。


ここでもう一度元航空会社勤務で航空ヲタク評論家、ひでかすさんのご登場願います。ひでかすいわく、「乗れない人がいるなら、まず最初にボランティアを募るべきだったのではないか」と。日本でもあるらしいですよ。「フレックストラベラーズ制度」なる名前で。要するに、自分から席を譲れば、いくらかの協力金がもらえるという制度。そういえば、そんなことはなかったなあ。つまり、最終的には全員乗れたか、または、私がその案内放送を聞き逃していたかのどちらか。真相は闇の中。


ちなみに、この日記を書いているのは帰りのヒコーキの中だったりします。現在午後10時10分。このフランクフルト発ダブリン行は午後10時発(ずいぶん遅いですが)。たった今機長よりはいったアナウンス。


機長:「機長です。本来ならもうタクシーより滑走路へ向かっているはずの時間ですが、貨物室のドアが閉まらないために出発できません。整備と確認をしておりますのでしばらくお待ちください」


…だって。


それってなんか心配だぞ。確か70年代に貨物室のドアーがちゃんと閉まらないまま離陸したDC10かなにかが空中で爆発したんじゃなかったっけか。しかもエンジンをかけていない機内は空調が利いておらずサウナ状態。あちいー。


で、話は再び数日前のフランクフルトに戻る。第二便はA320に機材変更。座席が4列分(24席)増えたがおそらく焼け石に水だろうなあ。ともあれ、問題は土砂降りの雨の中、バスにて機内へとなったこと。こりゃ濡れるぞ。


この日記で世界一最悪の航空会社と名指しで非難しているくされRyanair。この会社、たとえその設備があっても搭乗橋を使わない。理由は簡単。利用にお金がかかるから。で、ある日、インタビューで「搭乗橋を使わないと雨の日にじょうきゃくに不便じゃないですかね」と聞かれて、こう答えたらしい(以前読者さんに教えてもらったネタ)。


「なーに、そのほうがはやく搭乗が終わっていいよ」


Lufthansaは違いましたよ。客を人間として扱ってます。


この写真じゃわかりづらいですが、搭乗のための階段は屋根つき、かつ、バスは最前部のドアーがこの階段から50センチ程度の位置に停車。うまーく濡れないように配慮してくれました。さすがです。


で、話は現在。サウナ状態で貨物室のドアーが壊れたはずのヒコーキは、「ただの接触不良だった」とかで20分遅れで離陸。一路ダブリンに向かっております。無事に着けばいいけど。


で、最後に。ダブリン空港の駐車場。案の定といえば案の定ゲートは開かず、クレジットカードを入れてみたら、飲み込んで返してくれない!ゲートが開かないのは想定の範囲内だったけど、クレジットカードを没収されるのは予測外だぞ。ゲート備え付けのインターホンで係に連絡すると…


係:「今クレジットカード返すから準備しといてねー。はいゲート開いたよー。じゃーね」


と、クレジットカードが差込口から戻ってくると同時に、ゲートが開いた。


推理ですけど、このいい加減王国の玄関口の空港駐車場、駐車料金を免れることは結構簡単だと思われます。あ、「簡単だと思われる」という仮説を立てただけで、論証をするつもりも、論証を誰かにお願いするつもりもありませんのでくれぐれも誤解なきよう。


と、まあ、かくして、久しぶりにヒコーキではまったわけですけど、今回の経験を通じて思ったことは、まともな航空会社なら何か起こったときもまともな対応をしてくれるということ。いわゆる格安航空会社以外で、まともな対応をしてくれなかったのはエールフランスだけです。今回の事故とはまったく無関係に、私はもう7-8年前から「たとえただでもエールフランスには乗らない」を公言しております。


まあ、それは例外としても、やっぱり何か問題が起きたときのためにも、まともな航空会社を選びたいと思うわけです。