ドイツに不法滞在中です(をい

ただいまドイツにいます。金曜日の夜にダブリンを出て日曜日の深夜にダブリンに戻るといういつものパターン。ただ、今回はひとつ問題が。


私、不法入国致しました。


ええっとね、話を始める前に、シェンゲン協定について。平たくいえば、だいたいのEU加盟国が署名してて、この加盟国内では出入国審査がないの。例えば、ドイツからフランスにヒコーキに乗りました…って時に出入国審査はない。大雑把に言ってヒコーキが国内線扱いになるといってもいいかも。


興味のある人はWikiで内容を確認してもらうとして、なぜか、イギリスとアイルランドはこのシェンゲン協定に署名してない。なので、アイルランドからドイツにヒコーキで飛んだら、ドイツへの入国審査がある。空港の運用の問題の都合だと思うが、シェンゲン協定外の国から到着すると、入国審査とともに、保安検査も行われる。


まあ、ぶっちゃけ、めんどいのよね。アイルランドがシェンゲン協定に署名してさえいれば、私のパスポート、ハンコで埋め尽くされることもなかったわけで。乗り換えだって素早くできたはずだし。…以上が話の前提。


話は金曜日、フランクフルト空港に戻ります。ダブリンからのヒコーキ、今日はバスでもなければターミナルBでもなければAに着きました。蛇足ながら、デュッセルドルフ空港の一部職員がストライキをしたおかげで一部に欠航便が出たらしく、A321からA320に機材変更されてました。…ホントに蛇足だな。


このターミナルAのほとんどの部分、シェンゲン協定内、シェンゲン協定外の両方の離発着に対応してます。1階がシェンゲン内の乗客用になってて、2階がシェンゲン外の乗客用になってるの。この階を行き来するためには出入国審査、及び、「外」から「内」に行くためには保安検査も受けなければならない。なので、同じ搭乗橋でも「内」ならA、「外」ならZに指定されている。


ダブリンからの私の乗ったヒコーキはZ20に到着。次のヒコーキはA16からなので、すぐ近所…なのだが、入国審査と保安検査を一度受けなければならない…はずだったのだが、ヒコーキの搭乗橋から建物に入ると、目の前にA21の搭乗口があった。


あれ?


その原因はすぐにわかった。Z20に出てくるべきところを階下のA20に出てきたんだ。ラッキー、入国審査と保安検査を受けずに済んで、搭乗口もすぐそこだぞ…って待て待て、私は不法入国したんじゃないのか?


これ、日本的に考えたらかなりまずい。例えばさ、羽田空港の国際線の到着で、国際線の到着客が国内線に着いたら大問題でしょ。しかも、出発客に紛れ込んじゃったとしたら。日本でこれが起こったら、おそらく離発着をすべて停止、一度客を外に出し保安検査等をやり直し…となり、翌日の新聞に大きく報道されることになると思う。


気になったので、ラウンジの受付にいたルフトハンザの地上職員さんに状況を報告した。上のようなことが頭をよぎったので、もし、自分の乗り継ぎ便が遅れるようなことになったら嫌だなと思いながら。


私の話は完全に理解してもらえたが、話を聞いてくれた地上係員さんの反応は、なんとも歯切れの悪いものだった。


係:「…アメリカなどならともかく、ダブリンですから、EU内ですし、その、あまり重要な問題ではないかもしれません…」
私:「ごもっともですが、いちおうダブリンはシェンゲン協定外ですのでいつもは入国審査等があるわけで…問題はないとは思うんですが、いちおう報告をしておいたほうがいいかと思いまして。私としては、手間が省けてありがたかったのですが…」
係:「上に報告の上、結果をお知らせします」


1時間の乗り換え時間で、普段ならラウンジになど寄っているヒマがないほどなのだが、保安検査等がなかったので、30分も滞在することができた。


ラウンジを出るとき、同じ係の人がまだ受付にいたので話しかけてみた。


係:「先程はありがとうございました。入国管理局にも連絡をし、今回の件を報告いたしました。貴重な報告をありがとうございました」


以上。


まあ、係の方も言われた通り、大した問題じゃないだろう。だけどさあ、現在、私はドイツに不法滞在してるんだよねえ。シェンゲン協定が有名無実化してるというなら、ダブリンからの客への出入国審査は廃止すべきだろうし、そうでないのなら、今回のようなことが起きたら問題だと思うのだが。


…ところで、これ書いてたら、ルフトハンザからメールが来ました。


「明日(日曜日)の搭乗予定のヒコーキ、キャンセルになりました。ごめんなさい(はあと)」


…続く。