アイルランド「らしい」免許証の更新

4月1日は私の、さんじゅう、ええと、さんじゅう…何回目だっけ…の誕生日でした。こんなことを言っては祝ってくださった方に失礼なのですが、嬉しくないっす。また一歳年をとったよって思うだけで凹みます。


まあ、そういうわけで、当日も私、当然といえば当然フツーどおりに出勤しまして、フツーどおりに勤務。そしたらね、同僚(女性)がやってきまして、

同僚:「誕生日おめでとう!」
私:「いや、大きな声で言わないっ。ありがとう」
同僚:「今日は、何かお祝いするの?」
私:「いや別に。特に予定はないけど」
同僚:(数秒の沈黙のあと)「…うちにご飯でも食べに来る?」

…と心底同情された声で言われてしまいました。そう。こっちの人にとって、誕生日って日本人のそれよりはるかに大きな思い入れがあるようです。日本人だと確かに子供のときは誕生日を親などが祝ってくれますが、大人になると実際自分の誕生日なんてどーでもよくなってくることが多いような気がします。

が、こと5年と10年おきの節目の誕生日はこっちの人は大いに祝います。ちょっと前もベルリンに友人の誕生日パーティーに行ってきたのですが、なんとまあ、ナイトクラブを借り切って100人規模の人が来た盛大なパーティーをやってました。いつも「金がない金がない」と文句を言っている人なのに、こーゆーことには金に糸目をつけないようです。「あ、ありえねー」と思ったのが正直なところ。

ちなみにその日は、フツーに帰宅して、アイロンかけて、ご飯作って、それからのんびりしてという感じでフツーに終わりましたとさ。

そうしてまた一歳トシをとったわけですが、別の驚愕の事実が判明。

運転免許証の更新期限が近づいている。

それがどうしたという方。聞いてくださいよ。これ、アイルランドの運転免許証なんですよ。10年前に日本の免許証と交換した。…ってこたーですよ、つまり、10年アイルランドに住んでいる…という話になるわけです。

この免許証を取った時のことは未だによく覚えてます。アイルランドで初めて就職できたときに「これはしばらくアイルランドにいることになりそうだ」と思い日本大使館に翻訳をお願いして、日本の免許証と引き換えに取得したもの。それから10年が経ってしまったわけです。ごく正直に言って、10年もここにいることになるとは思わなかった。そりゃあ誕生日が来ても嬉しくないよなあ。

いや、そんな感傷浸っている場合じゃない。いったいどうしたら免許証の更新が出来るんだ。便利な世の中です。ググればすぐに出てきた

ふむふむ。まず、医師の診断書を用意…あ、これは高齢者とかだけで私はいらないのね。それから、書類を用意…え、郵送で出来るの?

なんでも書類は最寄の警察署、それから図書館(なぜに図書館)で入手可。ただしインターネットでのダウンロードの選択肢はない模様。そのほかの選択肢として、書類を郵送するように頼めるそうな。どうせこねーだろうと思いつつ、郵送を頼むと驚いたことに数日できた。

そして、必要事項を書いた書類と写真二枚、それから10年用の免許は25ユーロ分の小切手と失効する運転免許証の原本を送る…と。すると28日以内に新しい免許証が届きますと。

なんですと?

運転免許証のコピーじゃなくて原本送ったら、いったい私はどーやって車を運転すればいいの?

相変わらずのいい加減王国ぶりなのですが、実はほんの数年前まで運転時に運転免許証の携帯は義務付けられていませんでした。もし、警察官に提示を求められた場合は、確か1週間以内とかに最寄の警察署に運転免許証を見せればいい…とかそんな感じでした。その名残なのかどーかは知りませんが、どうやら運転免許証の更新時は運転免許証なしでも運転していい模様。確かに郵送で運転免許証の更新ができるというのは便利ですが、いいのか、それで?

もしアイルランド政府がそれでいいと言ったとしても、私、今週末、ドイツに行くんですけど、万が一に運転免許証の提示を求められた場合、「免許の更新中でーす」って言い訳がドイツで通用するのか?言うまでもなく、日本で免許証を持参せずに運転した場合は、「免許証不携帯」という立派な違反行為です。

ともあれ、28日かかるというから、更新期限まで2ヶ月を切った時点で免許証を郵送した。数日後、ケータイが鳴る(私のケータイが鳴ることは非常に珍しいことです)。電話の向こうにはもろにダブリンアクセントの兄ちゃん。

相手:「Snigelさんですか?こちら、ダブリン市運転なんちゃらのなんとかです。実は運転免許証の更新申請の書類を受け取ったんですけど、いくつか問題があるんです。まず、あなたの運転免許証の更新はまだ2ヶ月も先でしょ?こんなに早くフツー誰も送ってこないんですよ。こんなに早く送ってくるときは、例えばオーストラリアに旅行に行くだとか、特別な理由があるときだけなんですよね。おたく、そんな特別な理由はあります?」
私:「いえ、別にないですけど」
相手:「じゃあ、とりあえずこれ、送り返します。そうですね、更新期限のせいぜい10日前に送ってくれば十分ですから」

…絶句。ってさ、10日前に送って郵送の期間とかを考えてちゃんと期限内に更新できるのか?郵便でなくなったりとかトラブルが起きないと保証できるのか?いまさらですが、この国のいい加減さには呆れるばかり。

電話を切ったあとに気がついたのだが、申請に「いくつか」問題があると相手は言っていた。確かに言っていた。で、彼はひとつの問題しか言わなかった。さあて、いったいほかの問題とは。

続く…のか?